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JR西日本、金沢駅で北陸新幹線の開業式

東京駅へ向かう「かがやき」の1番列車が金沢駅を6時に出発

2015年3月14日開催

JR西日本 金沢駅

 JR西日本は、金沢駅で北陸新幹線の開業式典を開催。金沢駅のコンコースで関係者らが参列し祝辞が述べられたのち、金沢駅長 辻昭夫氏の「出発進行!」のかけ声のもと、6時ちょうどに東京駅へ向かう「かがやき」の1番列車が出発した。

1番列車の「かがやき500号」には、W-1編成が使われた
東京行きを示す電光掲示板
ホームの支柱の上部には金沢の特産品の金箔が貼られている
西日本旅客鉄道 代表取締役社長 真鍋精志氏

 開業式典では、まず始めに西日本旅客鉄道 代表取締役社長 真鍋精志氏が「北陸新幹線の長野駅~金沢駅間は昭和48年(1973年)に整備計画が策定されて以来、長い年月を経て無事に本日開業を迎えることができた。大変多くの皆様にご尽力とご理解、ご支援を頂けたことにお礼を申し上げる。本日このように電光掲示板に『かがやき500号 東京行き』という表示が出ているのを見ると、感慨深いものがある。こういった表示やアナウンスが繰り返される事により、実感的な距離はもちろん、心理的な距離も近くなっていくだろう。北陸新幹線の開業により、首都圏と北陸、北陸と関西圏、北陸と中京圏が2時間半以内のネットワークで繋がる。ビジネスはもちろん、北陸は食や温泉など観光資源の宝庫であり、北陸新幹線の開業を契機により多くのお客様に訪れて貰えるのではないかと期待する。JR西日本としては安全・安心な運行に勤めていくように努力していく」と述べた。

国土交通大臣 太田昭宏氏

 次に来賓の挨拶として国土交通大臣 太田昭宏氏が「1973年に北陸新幹線の整備計画が決定されて以来、40年以上にわたり紆余曲折を経てきたが、本日長年の祈願がようやく達成された。ここに至るまでの地元の皆様の熱意と真剣な取り組みに対して深く敬意を表すると共にお祝いを申し上げる。北陸新幹線の開業により、北陸地域と首都圏は大きく近づくことになり、企業活動の活発化や企業立地の促進に繋がり、生活圏も拡大するため地域の活性化が期待される。今回の開業を契機に観光資源の開発も促進され、観光客の増大も見込まれる。また敦賀駅までの延伸についても3年の前倒しが決定された。北陸新幹線の開業を機に北陸地域が発展することを期待している」と述べた。

 北陸新幹線は、政府が1973年11月に計画を策定した5つの整備新幹線のうちの1つで、東京を起点として北陸を経由し、大阪まで至る延長約700kmの路線。東京駅~長野駅間(117.4km)は1997年10月1日に開業し「長野新幹線」という名前で呼ばれてきたが、長野駅~金沢駅間(228.1km)が開業したことにより、本来の名称である「北陸新幹線」の名前が使われるようになった。現在、金沢駅の先にある白山総合車両所~敦賀駅間で延長工事が進められており、2025年の開業を目指している。

北陸新幹線のルート図。敦賀駅までは2025年の開業を目指して工事が進められているが、そこから先はルートが未定の状態

 北陸新幹線は、4つの列車が設定されており、東京駅~金沢駅間を最短で結ぶ速達タイプは「かがやき」、北陸新幹線の各駅に止まる停車タイプは「はくたか」、富山駅~金沢駅間でシャトル運転するのは「つるぎ」、従来の長野新幹線と同じ、東京駅~長野駅間で運転されるのが「あさま」となる。ちなみに、いずれの名前も過去に北陸地方を駆け抜けた特急や寝台特急から受け継いでいるもの。特に「はくたか」は、越後湯沢駅~金沢駅間の特急として親しまれ、3月13日の運転終了とともに新幹線にその名前が引き継がれた。

北陸新幹線の列車名と停車駅の一覧

 2015年3月14日の開業日のダイヤでは、「かがやき」は10往復、「はくたか」は、東京駅~金沢駅間直通列車で14往復、長野駅~金沢駅間運転列車で1往復、「つるぎ」は18往復、「あさま」は16往復となる。東京駅~金沢駅の所要時間は最速で2時間28分、同じく東京駅~富山駅は2時間8分で結ばれる。また、運賃は普通車指定席の場合、東京駅~金沢駅で1万4120円、東京駅~富山駅では1万2730円となる。

北陸新幹線の運賃総額

 北陸新幹線は専用のE7系、もしくはW7系車両で運転される。JR東日本所属はE7系、JR西日本の所属はW7系だが、基本的には同性能で客室数も同じ934名なので、乗っていて違いを意識することはない。編成は12両編成で最高時速は260km/h。金沢方の12号車は航空機のファーストクラスを意識したという「グランクラス(定員18名)」、11号車はグリーン車(63名)、10号車~1号車は普通席となる。「かがやき」は全席指定、「はくたか」と「つるぎ」1号車~4号車までが自由席、その他が指定席となる。なお、グランクラスでは、専任のアテンダントによる、軽食や飲み物のサービスが受けられるのも特徴だ。(長野駅~金沢駅間の列車では専任アテンダントによるサービスは行なわない)

北陸新幹線の編成と座席の種類
車両別の定員とトイレの位置
グランクラスのシート。3列の革張りシートでフットレストなどが電動リクライニングする
グリーン車のシート。4列で各席にコンセントがあるのはもちろん、ドリンクホルダーや読書灯などがある
普通車は従来と同じ5列シート。新幹線の普通車では初の全席コンセント完備

 北陸新幹線の開業に伴い、併走区間の北陸本線は第3セクター路線として石川県内の区間を「IRいしかわ鉄道」、富山県内の区間を「あいの風とやま鉄道」、新潟県内の区間を「えちごトキめき鉄道」が引き継ぎ運行を行う。また、長野駅~直江津駅間は、新潟県内の区間を「えちごトキめき鉄道」、長野県内の区間を「しなの鉄道」が引き継ぎ、長野駅~妙高高原駅間は「北しなの線」となる。これにより、北陸方面の特急の運行系統は大きく変更になった。金沢駅~新潟駅間の特急「北越」の廃止により、新潟方面へは、上越妙高駅から新設の特急「しらゆき」が役割を担う。また大阪駅からの「サンダーバード」と名古屋駅からの「しらさぎ」の富山駅行きの列車は、金沢駅行きに運転区間が縮小。金沢駅~和倉温泉駅間には新設特急「能登かがり火」、福井駅~金沢駅間には「つるぎ」と接続する「ダイナスター」が運行する。

北陸新幹線のルートと接続する特急列車

編集部:柴田 進