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バンヤン・グループ、京都への旗艦ブランド進出は「戦略の始まりでしかない」。2025年以降にニセコ/箱根/北海道ボールパーク/白馬

日本におけるホテル開業計画明かす

2024年8月22日 発表

創業30周年のバンヤン・グループが日本における今後のホテル開業計画を説明

 バンヤン・グループは8月22日、東京・日比谷で記者発表会を開き、今後の日本におけるホテル開業計画などについて説明を行なった。登壇したのは、創業者でありバンヤン・グループ会長のホー・クウォンピン氏と、同グループ社長兼CEOのエディ・シー氏。

 シンガポールに拠点を置く高級ホテルチェーンのバンヤン・グループは今年で創業30周年。日本では現在5ブランド(バンヤンツリー、ダーワ、ギャリア、フォリオ、ホーム)、全8軒のホテルを京都、大阪、沖縄で運営している。そのうちの1軒、旗艦ブランドであるバンヤンツリーが日本初進出を果たした「バンヤンツリー・東山 京都」は、8月20日にグランドオープンを迎えたばかりだ(7月26日からソフトオープン)。

8月20日にグランドオープンした「バンヤンツリー・東山 京都」

 バンヤンツリー・東山 京都は、ラグジュアリーホテルが競合する同エリアで唯一、天然温泉の源泉を持つインターナショナルホテルであり、日本古来の“温泉旅館”スタイルを取り入れている。地下1階・地上4階建に温泉付き客室など6タイプ全52室を擁し、温泉大浴場やスパを併設。

 メインダイニングには(バンヤンのシグネチャーであるタイ料理「サフロン」ではなく)、その土地に合った体験を提供したいという想いから和食割烹「りょうぜん」をオープンさせた。隠れ家的なバー「BAR RYOZEN」では、30種類以上の京都の地酒とプレミアム日本酒を取りそろえ、希少銘柄を含むジャパニーズウィスキーや抹茶ジントニックなどの和カクテルも提供する。

 デザインアーキテクトは隈研吾建築都市設計事務所が担当。清水寺のすぐ側、自然豊かな東山の高台という立地を活かし、伝統的な日本建築とモダンエレガンスを融合したホテルが完成した。

 ヒノキなどの天然木材をふんだんに使ったエントランスの門構えや中庭に設けた本格的な能舞台など、これまでの外資系ホテルにはない和の佇まいを特徴としている。

京都で唯一、天然温泉の源泉を持つインターナショナルホテルとなり、東山の自然と調和した“温泉旅館”のスタイルを取り入れた。客室や館内の至るところに日本の伝統工芸や自然素材を用いる

 2022年の「ダーワ・悠洛 京都」「ギャリア・二条城 京都」に次ぐ、京都3軒目の「バンヤンツリー・東山 京都」開業と、この日の記者発表に合わせて来日したホー・クウォンピン会長。

「2024年は我々にとって大切な1年です。創業30周年を迎えたこと、日本初進出のバンヤンツリーブランドをオープンできたこと。過去20年、毎年日本に訪れ、国内中を旅してプロジェクトの地を探してきました」と振り返り、バブル崩壊後に経済が低迷する時期があったものの、コロナ禍ながらこの数年でプロジェクトが順調に進行してきたことをアピールした。

バンヤン・グループ 会長 ホー・クウォンピン氏

 また「観光業においては後進国である日本ですが、今後に対する期待はますます広がっています。経済においても重要な役割を期すると考えています。その反面、インバウンドの増加によるオーバーツーリズムの問題においては、大都市以外の地方にも観光客が流れることで自然破壊が進む」と危惧。

 それについて「我々のミッションは、日本の美しい自然や文化を継承にできるよう努めること。食、旅の体験、デザインなどを通じて“日本文化のショウケース”となるホテルをつくっていきたい。バンヤン・グループが他国で展開している“西洋のホテル”をそのまま日本に持ってくるのではなく、日本のよいところを集めたホテル、日本の美しさを体験してもらえるホテルにしていきたい」と意気込んだ。

 今後日本に続々と進出するグローバルホテルの9割が、キーシティ(大都市)や人気を集める観光地に集中していると言われるなか、「日本の美しさは大都市・観光地に限らず47都道府県に跨るものと考えます。残念なことに、伝統ある旅館や美味しい食事、農産地が持続可能なモデルになっていません。それらを次世代にも残していくべく、日本人が誇りに思えるようなホテルを日本各地で展開してきたい」という。

バンヤン・グループ 日本での展開

運営中

ダーワ・悠洛 京都(2022年開業)
ギャリア・二条城 京都(2022年開業)
フォリオ・サクラ・心斎橋 大阪(2023年開業)
ホーム・ステイ・ユミハ 沖縄(2023年開業)
ホーム・ステイ・椛 三条 京都(2024年開業)
ホーム・ステイ・椛 四条 京都(2024年開業)
ホーム・ステイ・椛 嵐山 京都(2024年開業)
バンヤンツリー・東山 京都(2024年開業)

開業予定

カッシーア・比羅夫 ニセコ(2025年開業)
バンヤンツリー・芦ノ湖 箱根(2026年開業)
ダーワ・ボールパーク 北海道(2027年開業)
バンヤンツリー・白馬 長野(時期未発表)

 続いてエディ・シー社長は、日本含む世界でのホテル開業計画を明かした。「1994年、タイのプーケットに開業した最初のバンヤンツリー・プーケットは当時アジア初の全棟プール付きヴィラでしたが、今ではリゾートホテルの当たり前の姿となっています」。

 その1軒のホテルから始まったバンヤン・グループは、この30年間で世界に全12ブランド90以上のホテル、60を超えるスパ、20か国以上で20以上のブランドレジデンスを展開する企業へと成長した。

 2022年には、“ノードア・ノーウォール(窓と壁がない)”をコンセプトとしたバンヤンツリー・エスケープがバリ島に開業するなど、複数の派生ブランドも近年で新設している。現在、世界でおよそ90軒のホテルを展開しているが、2025年初頭には100軒に到達する予定という。

 また「日本での展開も重要視しており、現在運営する8軒は日本における戦略のはじまりでしかない」とエディ・シー社長。すでに決まっているだけでも、箱根、白馬、北海道ボールパーク、ニセコに開業予定であり、「まだ発表できないプロジェクトも含め、今後も精力的にホテル開業を進めていきます」と語った。

バンヤン・グループ 社長兼CEO エディ・シー氏
その土地らしさやサスティナビリティをグループ共通コンセプトとしている。それぞれ個性的だが、体験型メンバーシッププログラム「withBanyan」で補完し合い、一体的にサービスを利用できる
現在世界で運営中のホテルと今後の開業予定地
旗艦ブランドのバンヤンツリーをはじめ、全12ブランドを擁する

 さらに、シンガポールの企業でありながら未だ本国にホテルがなかった同グループだが、2025年にはついに「マンダイ・レインフォレスト・リゾート」、隣の韓国には「バンヤンツリー・雲海台 釜山」が開業となる。

 以降も、スキーリゾートのフィンランド、サファリキャンプのタンザニアやモザンビークなど、各国でその土地に合ったブランドを選び開業していくとした。

2025年は本国シンガポールに初の「マンダイ・レインフォレスト・リゾート」、隣の韓国にも「バンヤンツリー・雲海台 釜山」が開業する

 なお、8月20日に開業した「バンヤンツリー・東山 京都」では、9月1日まで記念プランを販売中。宿泊対象期間は10月31日まで。

 基本価格帯となる2名1室1泊20万円~に、1泊ごとの朝食セット、ディナーまたはランチ(要予約)、1室1万5000円分の館内利用券、ミニバーの無料スナックと軽食のほか、次回滞在に使える20%オフバウチャー、スペシャルホテルギフト、京都駅~ホテル間のプライベートハイヤー無料送迎(要予約)といった特典が付く。

左から、バンヤン・グループ 日本支社代表 椎名祥子氏、バンヤン・グループ 会長のホー・クウォンピン氏、バンヤン・グループ 社長兼CEO エディ・シー氏