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JATA、旅行会社に向けて災害時の対応や「旅の安全の日」を案内。外務省も海外旅行の安全対策を解説

「旅行安全マネジメントセミナー2024」

2024年6月4日 実施

一般社団法人日本旅行業協会 理事・事務局長 池畑孝治氏

 JATA(日本旅行業協会)は6月4日、会員会社向けに「旅行安全マネジメントセミナー2024」を開催した。

 2014年から取り組んでいる「旅の安全の日」(7月1日)の周知、旅の安全・危機管理に対する意識向上などを目的としているもの。来場・Webのハイブリット方式で開催し、合計296名が参加した。

 はじめに理事・事務局長の池畑孝治氏が登壇し、「旅の安全の日Week」の概要を発表した。JATAでは例年「旅の安全の日」にあわせて緊急事態が発生した際の模擬訓練を行なっており、2024年は7月1日~7日に実施する(2023年は58社が参加)。

 続いて国内旅行推進部 部長の野浪健一氏が、「観光産業共通プラットフォーム」について、現状や災害時の対応について説明した。

 共通プラットフォームは2023年12月から運用を開始。5月28日時点で宿泊事業者6091施設、旅行会社93社、宿泊団体・自治体・DMOなど15組織が参加しており、宿泊施設会社の営業情報発信や災害時の情報集約機能を備えている。

 災害時の情報共有について、これまでは宿泊施設から旅行会社・自治体へ個別に回答していた約1300項目を整理。震度5強以上の地震が発生すると、宿泊施設へ自動メールが送信される仕組みとなっており、令和6年能登半島地震では発生から約13分で対象エリア4県にある施設にメールが送信された。

 旅行会社や自治体は回答状況を一覧で見ることができ、宿泊施設は無料で使えるものの、旅行会社契約施設の登録率は約8割にとどまっている。また2~3か月に一度行なっている定期訓練の参加率が6割、能登半島地震発生時の回答率が4割(通信状況により回答できなかった施設を含む)とのこと。

 これを受けて、野浪氏は「プラットフォームの普及はもちろんのこと、日本の観光産業全体において危機管理能力の底上げを行ないたい」と述べた。

一般社団法人日本旅行業協会 国内旅行推進部 部長 野浪健一氏
自然災害発生時の情報集約について
現状の課題
今後の進め方

 後半では「最近の国際情勢を踏まえた安全対策」として、外務省 領事局 海外邦人安全課 課長の三角崇人氏が登壇。海外安全ホームページ「危険情報」および情報配信サービス「たびレジ」を案内した。

 たびレジは、海外渡航時に訪問先を登録しておくことで、現地大使館・総領事館から安全情報が日本語のメールで届くサービス。自然災害やテロなどで緊急事態が発生した際に注意の呼びかけなどを行なう。

 三角氏は「直近ではニューカレドニアの騒乱発生時に、たびレジ経由で短期滞在者に連絡を行なったが、メールアドレスが登録されていなかったり、日本の携帯番号が現地でつながらなかったり、連絡を取りづらいケースもあった」と説明。

「旅行者がパッケージツアーだから安心と思っていたものの、添乗員とはぐれてしまうケースも。離島など中心地から離れた地域への滞在や体験型企画など旅行自体が多様化していることから、旅行者本人が滞在先のリスクについて具体的にイメージしてほしい」とも述べた。

 なお、外務省 海外邦人安全課(通称りょーあん)では、音声配信サービス「Voicy」の「海外安全チャンネル・りょーあん」でも海外で安全に過ごすための情報を案内している。

外務省 領事局 海外邦人安全課 課長 三角崇人氏
海外安全ホームページ「危険情報」
たびレジの登録を呼びかけた

 最後はJATAアドバイザー 東洋大学国際観光学部 客員教授の越智良典氏が、観光庁編集「旅行安全マネジメントのすすめ」をはじめ、旅行会社の安全対策について6つのポイントを紹介した。

JATAアドバイザー 東洋大学国際観光学部 客員教授 越智良典氏
旅行会社の安全対策について6つのポイントを紹介
観光庁編集「旅行安全マネジメントのすすめ」(左)、ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル(右)