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首都高、日本橋区間の地下化など「大規模更新事業は順調」と前田社長。呉服橋・江戸橋出入口の橋桁撤去もまもなく

2050年にカーボンニュートラル目指す

2022年5月25日 実施

首都高速道路株式会社 代表取締役社長 前田信弘氏

 首都高は5月25日、東京・霞ヶ関の本社にて定例会見を実施した。会見では、代表取締役社長の前田信弘氏が「2022年度事業計画の概要」「首都高カーボンニュートラル戦略の策定」ならびに「大規模更新事業の進捗状況」。さらに「川口ハイウェイオアシスの開業」などについて説明を行なった。

2050年にカーボンニュートラルを目指すと宣言

「2022年度事業計画の概要」に関しては、計画的で適切な維持管理や大規模更新・修繕など安心・安全の追求、ネットワーク整備、道路交通情報など快適・便利なサービスの提供などを着実に推進すると説明。

 高速道路事業費として3125億円を計上。前年度の2972億円を上回る規模となっている。事業概要として、高速道路の新設・改築(新大宮上尾道路などの新設・改築・日本橋区間・東品川桟橋・鮫洲埋立部・高速大師橋の大規模更新)、高速道路の維持、修繕(首都高速道路327.2kmの維持修繕・大規模修繕など)を挙げた。

 高速道路事業以外の事業には125億円。パーキングエリアの管理(八潮PAなどの管理)、国・地方公共団体からの受託事業(新大宮上尾道路の受託事業など)、そのほか(駐車場事業・首都高速2号線高架下施設事業など)が主となっている。

2022年度事業計画の概要

「首都高カーボンニュートラル戦略の策定」では報道陣向けに冊子「首都高カーボンニュートラル戦略」を配布。2022年3月に首都高カーボンニュートラル戦略の策定しているが、今回はより具体的な内容を提示するとともに、首都高グループとして2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言。「ネットワークの機能強化への新たなアプローチ」「社会インフラ企業としての自助努力」「グリーン社会との共創(産業界とのコラボ)」3つの基本方針を定め、方針に基づき12のプロジェクトを策定した。

 前田社長は「高速道路会社としては初の試みですが、今を未来を生きる人間として行動を積極的に起こさなくてはならないこと。2050年まで約30年に渡る長いターンでの取り組みとなります」とし、具体例の1つとして2030年までに首都高を利用する車両のCO2排出量の3割減(159万トンから110万トンへ)、事業活動によるCO2排出量を5割減(8万トンから4万トンへ)を目指し、2050年にはゼロを目標に動いていくという。

カーボンニュートラル実現に向けた目指すべきゴールの考え方
3つの基本方針と実現するためのリーディングプロジェクト
2050年カーボンニュートラルに向けた具体的なスケジュールなど

 また、「2050年の首都高の姿」として非接触給電システムの採用や高速道路空間の活用なども挙げ、電気自動車の普及と技術革新が進み具合など動向を考慮しながら取り入れていくとした。将来的には首都高速道路の路面からの給電や駐車マスでの給電もあり得ると話した。高速道路空間の活用については「路面だけ見るとどこに場所があるのか?と思われるかもしれないが、地域の再開発計画や首都高が走る自治体との共同計画として考えている。首都高は切り離された場所ではないので、道路の通る地元と知恵を出し合っていきたい」とした。

2050年の首都高の姿で非接触給電システムや高速道路空間の活用なども提示された
冊子「首都高カーボンニュートラル戦略」

「大規模更新事業は順調に進んでいる」と前田社長

 続いては「大規模更新事業の進捗状況」について。3地域に分けて実施中の日本橋区間地下化事業は順調に進んでおり、料金所撤去が完了。床版撤去状況や出入口撤去状況などを写真で示し進捗を報告。6月には出入口撤去工事の橋桁撤去における降下作業状況をメディア向けに公開予定とした。

 東品川桟橋・鮫洲埋立部については上り線は完成済みで現在は下り線の工事を実施中。東品川桟橋で交差する大井水管橋、大井北埠頭橋、目黒川渡河部上の架設を完了。引き続き橋脚の架設工を実施しているとした。また鮫洲埋立部は大型フォークリフトでプレキャストボックスの設置を行なっているという。

 高速大師橋更新事業に関しては、大ブロック橋桁の水上運搬が完了。橋桁移動設備上にて新設橋の組み立てを実施中と報告。高欄。塗装・遮音壁・電気配線などの附属施設物工を実施し、2023年に約2週間かけて、既存の橋を上流に動かし、新たな橋をスライドさせ河川上で架け替えを行なう予定。通行止めの日程が決まり次第発表するとした。

 なお、「首都高速道路の大規模更新・修繕及び機能強化に関する技術検討委員会の進捗状況」については、羽田トンネル・荒川湾岸橋だけでなく、新たな区間についても検討し関係機関と調整・相談しながら計画を2022年度内にまとめ公表するとのこと。資材価格が高騰している現状については、財源確保(利用者からの料金ほか)ならびに借入などを活用し、確実に工事が行なえるようにしていくとした。

日本橋区間地下化事業の進捗
東品川桟橋・鮫洲埋立部について
高速大師橋更新事業に関して
首都高速道路の大規模更新・修繕及び機能強化に関する技術検討委員会の進捗状況

 会見のラストには「川口ハイウェイオアシスの開業」の開業についても触れ、GW前に開業し、連休中は多くの人出があったと話した。具体的には首都高からの利用者は対前年比174%、コロナ前に比べると105%。レストランの利用人数も対前年比391%、2019年のコロナ以前と比べても166%となった。一般道だけでなく首都高から直接公園(イイナパーク川口)にアクセスできるのは首都圏で初。連休中は交通安全キャンペーンなども実施。今後も積極的にイベントを開催していくという。

「川口ハイウェイオアシスの開業」について
GWは多くの利用者でにぎわった。今後もイベントなどを実施する予定だ

 なお、「最近の通行台数状況」については回復の傾向にあるという。ETC専用入口が全35か所となり、対前年2月比96.8%に対し2022年4月の利用率も97.7%と0.9%アップ(前年4月比1.1%アップ)。コロナ後の見通しについて前田社長は個人的見解としつつ「首都高速は重要な物流機能を持っており、コロナ前の水準にかなり戻るのでは」と予想。4月に価格改定があった料金収入に関しては、4月に関しては若干前年に比べ増えたとしながら、料金改定の影響なのか、交通量の回復なのは今後の数字を見て判断したいとのことだった。

「最近の通行台数状況」について