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夜の美ら海水族館でアバターロボットがサメとご対面。ANA・avatarinの遠隔観覧サービスを現地で見てきた

深堀CEO「時差を利用すれば海外からも楽しめる」

2021年11月29日 公開

avatarinと沖縄美ら海水族館が「アバターインナイト」を開始

 ANAホールディングスのスタートアップ・avatarin(アバターイン)と沖縄美ら海水族館(沖縄美ら島財団)は、閉館後の施設を遠隔地からアバターを使って観覧できるサービス「アバターインナイト」を11月18日にスタートした。

 館内を遠隔操作で歩き回るのはavatarinが開発したアバターロボット「newme(ニューミー)」。ユーザーは遠隔地からPCの上下左右カーソルで簡単に操作でき、閉館後の施設を自由に観覧できる。

夜の美ら海水族館。閉館後の時間を有効活用するサービスだ
アバター「newme」。前後の移動、回転のほか、目線(画面)の上げ下げを遠隔操作できる

 両者は3年前から準備に着手。アバターを遅延なく動作させる技術などに苦労したという。

 29日に行なったデモ体験会では、avatarin 代表取締役CEOの深堀昂氏が東京のオフィスからアバターに遠隔接続。「閉館後にアバターを自由に動かして水族館を楽しめる世界初のサービス。今回沖縄美ら海水族館でスタートできてうれしい限り。将来的には時差を利用して、海外の方にも楽しんでもらえるのではないか」と語った。

 また、美ら海水族館統括で副館長を務める佐藤圭一氏は、「体験者から、『初めて美ら海水族館に行くことができた』とコメントをいただいた。時間・空間を超えた観覧が確立できたとうれしく思う。遠く離れた方はもちろん、身体的不自由のため旅行が困難な方にも楽しんでいただけるのではないか。将来的には観覧エリアを広げていきたい」と展望を述べた。

水槽の前であいさつするavatarin株式会社 代表取締役CEOの深堀昂氏(画面)と沖縄美ら海水族館 副館長の佐藤圭一氏(右)

 現在の観覧エリアは、美ら海水族館内の「サメ博士の部屋」。サメをメインとした水槽と、サメに関するさまざまな資料が展示してあるエリアだ。

 夜も休むことなく泳ぎ回るサメたちの様子をじっくり観察。優雅で迫力があり、カッコいい。サメの顎の標本や胎児の標本など、貴重な資料もじっくり見てもらいたいポイントだ。なお、解説員による案内はつかないので、自分で自由にエリアを楽しんでほしい。

「アバターインナイト」の実施エリア、「サメ博士の部屋」の入口
メインの水槽にはいろいろな種類のサメが泳ぐ。サメ以外の魚も共存している
いろいろなサメの顎の標本。一番大きなものはジンベエザメの顎だ
中央柱を囲むように展示されている資料を読んでいるアバター

 この日、19時15分からは一般ユーザーが参加。家族揃っての参加で、最初は操作がおぼつかなかったがすぐにマスター。小さな子供たちも難なく操作していた。水槽や展示物を観覧するだけでなく、現場にいるスタッフや我々取材者にも子供たちが手を振ってくれるなど、遠隔コミュニケーションを楽しんでいた。

サービス開始第1号の一般ユーザーがアクセス。美ら島財団広報の石川氏があいさつ
最初は目線が上を向いたままで「天井しか見えない」とコメントしていたが……
avatarinのスタッフのアドバイスですぐに操作をマスター。水槽のサメたちに歓声をあげる参加者

「アバターインナイト」の当面の実施日程は、12月3日、6日、8日、10日、13日、15日となっており、その後も継続する予定とのこと。時間は18時45分~、19時15分~、19時45分~の3回で、各回15分間観覧できる。

 体験料金は1000円+システム利用料で、アバターインのWebサイトから事前予約が必要だ(3日前まで)。サービス利用のシステム要件も、サイト上で確認していただきたい。