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ANA、第2四半期は赤字幅が大きく改善も通期予想は赤字に修正

2021年10月29日 発表

ANAHDが2021年度第2四半期決算を発表。説明を担当したのはANAホールディングス株式会社 代表取締役社長 片野坂真哉氏と取締役 専務執行役員 福澤一郎氏

 ANAホールディングスは10月29日、2021年度第2四半期決算と通期業績予想を発表した。説明を担当したのは、ANAHD 代表取締役社長 片野坂真哉氏とANAHD 取締役 専務執行役員の福澤一郎氏。

 新型コロナウイルスが依然として国内外で猛威を振るっていた影響もあり、旅行需要の回復は遅れている一方、国際貨物は過去最高を更新し、売上高は前年同期比47.7%増(1392億円増)の4311億円。営業利益は1160億円の損失(1649億円増)、純損益は988億円の損失(896億円増)で、コロナ禍ではもっとも損失が減少した。

 下半期は緊急事態宣言の解除やワクチン接種が進んでいることで国内需要の回復が見込まれるが、上半期の売上高の減少が予想以上に大きいため、通期予想は下方修正した。通期売上高は前回発表時の1兆3800億円から23%減少の1兆600億円、営業利益は280億円の黒字から1250億円の損失、純損益は35億円の黒字から1000億円の損失を予想している。

 管理費や人件費の圧縮を行なうことでコロナ前より固定費は約30%減少しており、需要回復時には着実な収益が確保できるとし、第4四半期には黒字転換を見込んでいると片野坂氏は説明した。

連結業績
通期見通し

 事業別に見ると、ANAブランドの国際線は引き続き厳しい環境下にあるものの、海外出張者の里帰り需要の回復やアジア各国から北米への乗り継ぎ需要を取り込み、加えて東京オリンピック・パラリンピック大会関係者の輸送を担うことで、旅客数は前年同期比69.1%増の32万7000人を記録した。7月からは1便あたりの収益を最大限にするために北米線の一部を成田発着にするなど運航計画を見直すことで、旅客収入は同54.9%増の304億円となった。

 国内線はたび重なる緊急事態宣言の影響はあるもののワクチン接種が進むことで回復基調にあり、旅客数は前年同期比で52.8%増の714万人、旅客収入は同41.7%増の1118億円となった。

 貨物は引き続き旺盛な需要を背景に好調な推移を見せており、7月からは成田~北京線に貨物専用便(ボーイング 767F型機)を投入し、旅客機による貨物専用便を前年同期比で約3.3倍規模の6900便を運航させた結果、国際貨物収入は同172.4%増の1383億円、国内貨物収入は同40.1%増の121億円を記録。国際線貨物は4四半期連続で過去最高の売上高を更新している。

 LCCについては、国際線は各国で入国制限が続いているため4月中旬より全路線で運休しているが、国内線は利用率が改善してきており、旅客数は前年同期比90.2%増の155万4000人。旅客収入は同54.6%増の130億円となった。

国際線事業
国内線事業
貨物事業
LCC事業

 会見では、通期業績予想を下方修正したことに対して質問があがった。これに対し片野坂氏は、通期業績予想を策定したときの想定を上回る緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などによる移動制限の影響が上半期は大きく、コスト削減や貨物による収益が寄与したとしても下半期でカバーしきれないと見込まれることから今回の修正につながったと説明した。

 原油高騰については、国際線に関しては燃油サーチャージで対応し、国内線に関しては2021年度のヘッジは完了しており影響はないと説明。22年度に関しては市場動向をしっかり見ながら対応していくとしている。