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ANA、赤字幅縮小の第1四半期決算。通期の業績予想は見直しなし

2021年7月30日 発表

ANAHDが2021年度第1四半期決算を発表。説明を担当したのはANAホールディングス株式会社 取締役 専務執行役員 福澤一郎氏

 ANAホールディングスは7月30日、2021年度第1四半期決算を発表した。説明を担当したのは、ANAHD 取締役 専務執行役員の福澤一郎氏。

 依然として新型コロナウイルスの影響を航空業界全体が大きく受けるなか、4月~6月期は3回目の緊急事態宣言や渡航制限の継続があった一方、ワクチン接種の進む一部欧米諸国で回復の兆しが見られており、売上高は前年同期比63.6%増(773億円増)の1989億円。営業利益は646億円の損失(944億円増)、純損益は511億円の損失(576億円増)で、新型コロナの影響を強く受けた前年同期比で赤字幅を大きく縮小した。

連結業績

 事業別に見ると、ANAブランドの国際線は海外赴任・帰国需要が緩やかに回復傾向にあること、アジア各国から北米への乗り継ぎ需要を取り込んだことで、旅客数は前年同期比43.4%増の13万1000人。旅客収入は同36.5%増の129億円。

 国内線はさらに顕著な回復基調にあり、旅客数は前年同期比で約2.5倍の320万人、旅客収入は同123.5%増の502億円となった。

 貨物は4月から成田~ロサンゼルス線に大型フレイター(ボーイング 777F型機)を投入したほか、日本・アジア発の電子部品・半導体に力を入れた結果、国際貨物収入は同159.5%増の660億円、国内貨物収入は同64.3%増の59億円と好調。四半期ベースでは過去最高収入を達成している。

国際線事業
国内線事業
貨物事業
LCC事業

 会見では、4府県を追加、東京・沖縄で延長の決まった緊急事態宣言の影響について福澤氏が言及しており、前日(7月29日)に発表したお盆期間の予約状況にも現われているように、発出後も夏場の予約は大きな低下が見られないという。また同社によると、過去3回の緊急事態宣言では発出のたびに多くの予約キャンセルがあったが、今回(7月12日~)はあまりないとのこと。

 一方で、東京の感染者数が1日あたり3000人を超えるペースになっているが、4月に出した通期の業績予想(純利益35億円の黒字)については見直しの予定はないとしており、「今後はワクチン接種率がカギになる。人の移動はネガティブに映るが、感染防止をしっかりしたうえで(サービスを)提供していく」とした。