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ANA、第3四半期は8四半期ぶりの営業黒字。通期見通しは赤字のまま変更なし
2022年2月1日 18:30
- 2022年2月1日 発表
ANAホールディングスは2月1日、2021年度第3四半期決算を発表した。説明を担当したのは、ANAHD 取締役 専務執行役員の福澤一郎氏。
この第3四半期は、10月以降に緊急事態宣言が全面解除されたことを受けて国内線の旅客需要が大きく改善、国際線貨物も5四半期連続で過去最高の売上を更新。さらに同じコロナ禍の2020年度より運航規模を拡大しつつも固定費などの削減に取り組んでおり、コロナ禍で初めて(四半期単独の)営業利益が8四半期ぶりに黒字転換している。
事業別に見ると、国際線は引き続き各国の渡航制限・隔離措置などで低調な推移。そんななか、11月から米国の入国規制が緩和されたことでアジアから北米への渡航が増加したり、12月にはオミクロン株の水際対策強化で駐在員の帰国需要などのために臨時便を運航したりといった具合に、状況ごとに顕在化する需要に対応しているという。また、乗り継ぎ便や貨物の1便当たりの収入を最大化するために、北米線の一部を成田発着に変更した。こうした背景を受けて、旅客数は「コロナ前の7.1%の水準」ながら、前年同期比71.2%増の54万9000人、旅客収入は同49.1%増(158億円増)の482億円となった。
一方、国内線は、緊急事態宣言の解除で週末や連休を中心に需要の回復が見られた。四半期単独の旅客数はコロナ前の5割ほどとしながら、12月や年末年始に移動が活発になり、感染の落ち着いていた12月単独ではコロナ前の6割程度の水準、年末の利用率は70%を超え、回復基調が鮮明になったという。こうした背景から、業績はGo To トラベルが実施されていた2020年度より伸びており、旅客数は前年同期比33.2%増の1319万8000人、旅客収入は同32.1%増(946億円増)の2065億円で、コロナ禍では四半期ベースで最高の結果になっている。
コロナ禍にあっても好調な貨物は、10月以降に成田~香港/台北/青島線に貨物専用機のボーイング 777F型機を投入したことなどで輸送重量が前年同期比73.0%増と大きく伸長し、貨物収入は同134.0%増(1361億円増)の2377億円。5四半期連続で過去最高を更新した。
ピーチ(Peach Aviation)のLCC事業は、こちらも緊急事態宣言の解除を受けて旅客数が回復し、前年同期比84.6%増の292万2000人となった。7月に関空~女満別線、10月に福岡~石垣線を開設するなどレジャー需要の取り込みも進め、旅客収入は同59.8%増(92億円増)の245億円。
以上から、グループ連結売上は7380億円、営業損失は1158億円(2465億円の改善)、純損失は1028億円(2067億円の改善)となっている。
第4四半期の見通しについては、目下オミクロン株の急速な拡大で需要の低迷が見られるものの、第3四半期の収支が計画を約300億円超えた着地になったこと、国際貨物が堅調なこと、コストは引き続き引き締めていくことなどから、通期業績予想の見通しは変更しないとした。