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御殿場市とKDDI、最新テクノロジーを駆使してコロナ禍における富士登山を演出

2021年7月12日 発表

備え付けの高性能カメラでSNS映えする写真を撮影できる「マチカメ」

 御殿場市とKDDIは、コロナ禍における富士山観光の課題解決に向けて、最先端のテクノロジーを活用した「勝俣州和の富士山バーチャルガイドツアー」「バーチャル富士登山」「マチカメ」の3つの取り組みを実施する。

「勝俣州和の富士山バーチャルガイドツアー」は、自然休養林ハイキングコース内の各スポットを、御殿場市の観光大使を務めるタレントの勝俣州和によるバーチャルガイドの形で提供するというもの。コース内と入口の計11か所に案内板が設置され、スマートフォンの専用アプリ「SATCH X」でQRコードを読み取ることで、見どころを解説してくれる。

「勝俣州和の富士山バーチャルガイドツアー」
専用アプリで案内板のQRコードを読み取ると、勝俣州和が登場する

「バーチャル富士登山」は、スマートフォンの画面の向こうに現地の映像が映り、あたかもその場にいるかのような感覚になれる「XR Door」で富士山の山頂の360度映像を配信するというもの。8月8日の山の日には、山頂からの景色を5G経由で生配信する取り組みも実施される。これまでのように自由に登山を楽しめないコロナ禍でも、自宅で安全に登山した気分を味わえる。

ドアを開くと富士山の山頂の景色が広がる「バーチャル富士登山」
撮影時、山頂は大荒れで、カメラのレンズには水滴も

「マチカメ」は、備え付けの高性能カメラでSNS映えする写真を撮影できるサービス。5合目のトレイルステーションに対応カメラが2台設置され、無料で利用できる。コロナ禍においては、自分のスマートフォンやデジタルカメラをほかの観光客に手渡す必要もないため、安全に絶景セルフィーが撮影できる。

富士山をバックに撮影できる「マチカメ」
スマホでQRコードを読み取ると、マチカメが使えるようになる
足跡マークの上がベストポジション
雲海をバックに撮影できる麓に向いたカメラも設置されている
撮影のタイミングはスマホの操作で
撮影した画像はスマホにダウンロードできる

 両者は7月12日、同市内の新五合目にあるマウントフジトレイルステーションにおいて発表会を開催。御殿場市長の若林洋平氏とKDDI 中部総支社 総支社長の岡部浩一氏が、それぞれの立場から今回の取り組みの意義を説明した。

御殿場市の若林洋平市長

 若林氏は、これまであまり人気がなかった御殿場口の活性化を目指し設置したトレイルステーションの役割を説明。登山にあたり、しっかり準備を行なうことを呼びかけるなどの安全啓発、ゴミの持ち帰りなどのマナーの啓発といった活動の拠点という位置づけで、そのなかの一つとして情報発信があり、これをKDDIとともに行なってきたことを紹介した。

 昨(2020)年度は新型コロナウイルスの影響で山開きができないという異例の状況だっただけに、今年はコロナ禍で富士登山が行なわれるということを意識したという。

 岡部氏は、同市との取り組みにおいては、通信事業者本来の役割としてのエリア対策と、富士山を取り巻く課題の解決の2つの方向性を重視しているとしたうえで、IoT技術を使った混雑状況の見える化、外国人向けの翻訳タクシー、ドローンを使った山岳救助といった、これまでの施策を紹介した。

KDDI 中部総支社 総支社長の岡部浩一氏

 エリア対策については、今年は新たに山頂を5Gエリア化。4G LTEとあわせて快適な通信を行なえるようにした。山頂までの通信は麓からの無線エントランスを用いて行なっており、この間の通信速度は700Mbpsとされる。山頂では、これをシェアして使用することになる。

 なお、山頂のエリア化は、山開きにあわせて毎年機材を運んで実現しているもので、閉山とともに機材が撤去され、再び圏外となる。無事に登頂した喜びをその場でシェアできるのは、こうした通信事業者の努力のおかげとも言える。

 一方、今年の富士山の課題としては、コロナ禍において、どう登山者を迎え入れるかと、登山を見送った人の心をどう繋ぎ止めるかを2点を挙げる。前者を「バーチャルガイド」と「マチカメ」、後者を「バーチャル富士登山」でカバーしようというのが、今年の施策となる。

 コロナ禍というやや特殊な状況を意識して導入する仕組みとなるものの、岡部氏は「富士山の魅力の発信につながるのであれば、来年以降も継続していきたい」としている。

7月12日早朝の富士山の山頂からの眺め(KDDI提供)