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国営昭和記念公園とロマンスカーミュージアムでの記念撮影は「マチカメ」で

カシオとKDDIが観光スポットへの導入を進めるサービスの魅力

カシオ計算機とKDDIが全国各地の観光スポットに導入を進めている「マチカメ」

 カシオ計算機とKDDIが全国各地の観光スポットに導入を進めている「マチカメ」。プロ仕様の高画質カメラをスマートフォンから操作することで、ベストショットを撮影できるサービスだ。

 東京近郊で同サービスを体験できる「国営昭和記念公園」と「ロマンスカーミュージアム」を巡りながら、両社と施設側の担当者に導入の背景や現状の課題、同サービスに期待することなどを聞いた。

国営昭和記念公園

 国営昭和記念公園には、立川口ゲートそばの「カナールとイチョウ並木」と昭島口ゲートそばの「かたらいのイチョウ並木」の2か所にマチカメが9月11日~11月30日の期間限定で設置されている。実は、同公園では今春、3か所にマチカメを設置していたが、緊急事態宣言下において休園が続いたこともあり、本格的に利用できるようになったのは今回が初となる。

立川口ゲートそばの「カナールとイチョウ並木」
昭島口ゲートそばの「かたらいのイチョウ並木」
マチカメで撮影した写真

 同公園 企画グループ マネージャーの峰岸徹氏は、導入の背景について、「元々、カシオさんに公式アプリを作っていただいており、その流れのなかでマチカメというサービスを紹介いただいた」と振り返る。

 観光スポットでの記念撮影というと、近くにいる人やスタッフに声をかけ、カメラやスマートフォンを渡して撮影してもらうというスタイルが一般的だが、コロナ禍において、物を渡したり渡されたりすることに抵抗を感じる人も多くなっており、こうした課題を解決する仕組みとしてマチカメを導入してみることにしたという。

アプリのインストールは不要で、スマホのカメラでQRコードを読み込むと2回まで撮影できる
撮影データをダウンロードするには、解像度に応じて380円~800円をクレジットカード決済で支払う

 マチカメを開発したカシオ計算機 羽村技術センター 開発本部 先行開発部の是木卓氏によれば、1週間に2か所あわせて150~200人が利用し、購入率は3~4割で推移している。

 実際、峰岸氏によれば、同公園ではマチカメの導入後、スタッフがカメラを渡されて記念撮影を手伝う機会が目に見えて減っており、ほかの作業に集中できるようになったという。設置してしまえば人手がかからず、無人のオペレーションでも収益が得られるのも魅力の一つだろう。

(左から)カシオ計算機 羽村技術センター 開発本部 先行開発部の是木卓氏、国営昭和記念公園 企画グループ マネージャーの峰岸徹氏、KDDI 事業創造本部 ビジネスインキュベーション推進部 インキュベーション推進1グループ マネージャーの北崎修央氏

マチカメのさらなる進化の可能性

 カナールとイチョウ並木は11月あたま、かたらいのイチョウ並木は11月中旬が見頃を迎える見込み。

 前者については中央に水路があるため、他人が写り込むことはさほど気にならないが、後者については人通りが少ない開園直後でなければ誰かが写り込んでしまう可能性が高い。このため、「写り込みを気にする人は開園直後を狙ってほしい」(峰岸氏)とのこと。

 もっとも、こうした写り込みについては、カシオ側もテクノロジーによる対策を検討しているという。例えば、写り込んだ人をクラウドサーバー側で削除するような技術検討も行なっている。

 また、カメラとクラウドサーバーの通信部分を担うKDDIだが、同社 事業創造本部 ビジネスインキュベーション推進部 インキュベーション推進1グループ マネージャーの北崎修央氏によると、現状は4G(LTE)で通信しているが、今後、5Gの導入により、撮影時のタイムラグをなくすことや使い勝手の向上が期待できるという。

ロマンスカーミュージアム

ロマンスカーギャラリー

 ロマンスカーミュージアムには、同施設の目玉となるロマンスカー・NSE(3100形)、LSE(7000形)と一緒に撮影できるアングルでマチカメが設置されている。

 同施設 広報担当の小泉李緒氏によれば、「普段は撮影できないようなアングルから撮影できるのが魅力」だという。このアングルを実現するために、カメラは天井に設置されており、両車両の特徴とも言える展望席や2階運転席がしっかり写るようになっている。

 ちなみに、同ギャラリーには、通路を挟んでSE(3000形)も並んで展示されているが、3台が入るようにすると、どうしても写り込みが気になってしまうこともあり、現状のようなアングルにしたのだとか。

ロマンスカーギャラリーに入ったところに撮影の案内看板が設置されている。こちらの料金は500円
天井に固定されたカメラ
QRコード読み取りスタンドはロマンスカー・NSE(3100形)とLSE(7000形)の間に設置されている

 カシオ計算機 羽村技術センター 開発本部 先行開発部の石田伸二郎氏によると、利用率は入場組数に対して約15~20%、そのうち購入率は約30%となっている。同ギャラリーでは展示物をより引き立たせるような空間を演出するライティングにこだわっており、その色合いを再現できるように画質を調整しているという。

 現時点においては、撮影者の立ち位置によっては顔が暗く写ってしまうことがあるため、クラウド側で自動補正するようにしたいという。また、そもそも利用者がどこに立てばいいのか分かりづらいというところもあり、最適なナビゲーション方法も検討したいとしている。

マチカメで撮影している様子
マチカメで撮影した写真

 KDDI 事業創造本部 ビジネスインキュベーション推進部の大橋麻生氏は、「#マチカメというハッシュタグで各地の魅力を伝えていきたい。まだまだマチカメの使い方を知らない人も多いが、データを購入しなくても、撮影してサンプルを確認するところまでは無料なので、気軽に試してみてほしい」と語る。

 なお、ロマンスカーミュージアム 支配人の真山健児氏によれば、「この冬に向けてアルコールとともに同施設を楽しめる大人向けの企画も検討している」とのこと。そんな特別な瞬間の思い出をマチカメで残してみるのもいいだろう。

(左から)ロマンスカーミュージアム 広報担当の小泉李緒氏、KDDI 事業創造本部 ビジネスインキュベーション推進部の大橋麻生氏、ロマンスカーミュージアム 企画・運営担当の菊地香里氏、カシオ計算機 羽村技術センター 開発本部 先行開発部の石田伸二郎氏、ロマンスカーミュージアム 支配人の真山健児氏
緊急事態宣言が解除されたこともあり、子どもたちの遊び場「ロマンスカーアスレチック」(有料)の営業も開始されている
最新のおみやげはロマンスカーの絵柄がプリントされた「NINJAPANTS」
ロマンスカーがデザインされた各種マスクも販売されている