ニュース

タイ国政府観光庁、コロナ禍の1年を振り返る。保健省はワクチン接種者の隔離短縮を検討

2021年3月18日 実施

現地の最新情報を説明したタイ国政府観光庁 本庁 日本市場担当の鹿野健太郎氏

 タイ国政府観光庁は3月18日、オンラインセミナーでコロナ禍の1年を振り返った。説明したのはタイ本庁 日本市場担当の鹿野健太郎氏。

 3月17日の政府発表によると、タイ国内の新型コロナウイルス感染状況は、累積感染者数が2万7402名、治癒が2万6339名(治癒率96.1%)、死者88名(死亡率0.32%)となっている。直近の新規感染者は248名で、これはバンコク西部の市場でクラスターが発生したことを受けて、保健省が現地入りして能動的な検査をしている影響だという。

 2020年2月からの推移を振り返ると、2020年3月~4月に第一波があり、その後本誌でも伝えてきたように5月~11月には抑え込みに成功している。一方で、全世界的には10月ごろから第二波が到来しており、タイでも12月から感染者数が急増。その後2021年2月にピークを迎え、現在はなだらかに減少傾向にある。

 ただし別掲の図で分かるように、感染者の分布はエリア的には限定的で、政府の「最高度管理地域」は2月1日時点の4県から1県へ、「管理地域」は20県から8県へ、「高度監視地域」は17県から14県へと推移しており、抑え込みが始まっていることが見て取れる。

 こうした背景を受けて、政府の非常事態宣言は3月31日まで延長しているものの、タイの正月にあたるソンクラーン祭り(毎年4月13日~15日)までには国内旅行などの状況が改善するのではと期待されているという。また、保健省はワクチンを2回摂取したことを証明できる渡航者については、隔離期間を14日から7日へ短縮できないか検討を始めている。事前検査で陰性が証明できた場合も、14日から10日への短縮を検討しているという。

 これはまだ正式な決定ではないが、外国人旅行者の本格的な受け入れに向けて、また大きく前進しそうな状況と言える。

 タイ国政府観光庁では、コロナ後の観光客の回復について、2019年の水準へ戻るまで2~3年かかるという見通しを示している。安価なパッケージ商品で多人数を受け入れる旧来の形から、より高付加価値で目的性のある旅行(もっと踏み込んで言えば1人あたりの消費額の高いターゲット)を手厚くする方針を打ち出しており、グランピングやフリーダイビングなどの素材を紹介していく。

 特にタイはマレー半島の東側(タイランド湾)と西側(アンダマン海)どちらもダイビングが盛んで、クルーズ船を使った洋上泊なども人気がある。

 しかし、同庁が打ち出そうとしているのはスキューバより敷居の低いスキンダイビングやファンダイビングと呼ばれる素潜りで、ライセンスが要らない(ライセンス自体は存在する)ことや、趣味として継続性があること、写真撮影などの楽しみがあること、ダイビングを通じて海洋環境への理解が深まることなどをポイントに挙げている。

 費用面も魅力で、例えばプール講習(半日~2日)+現地の海で実習とフリーダイビング(1日~)の場合、宿泊込みで相場は7000バーツから(約2万4500円~、1バーツ=約3.5円換算)という。ツアー業者はバンコクはもちろん、アンダマン海側のプーケットやパンガー、タイランド湾側のスラーターニーなどに拠点があり、観光客に紹介できるよう準備を進めている。