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東武野田線、全線急行化のための線路切り替え工事を公開。柏~船橋で最大11分、大宮~船橋で最大16分短縮へ

3月14日から運河駅~船橋駅間で急行運行開始

2019年12月15日 実施

2020年3月14日 ダイヤ改正

東武アーバンパークライン高柳駅~六実駅間で行なった高柳線路切替工事での軌道移設場面。多くの人でかけ声を合わせて動かしている

 東武鉄道は12月15日、東武アーバンパークライン(東武野田線)の柏駅~船橋駅間の複線化工事の一部、逆井(さかさい)駅~六実駅(むつみ)間複線化工事のうち、高柳駅~六実駅間の線路切替工事を公開した。

 野田線は、埼玉県の大宮駅から千葉県の柏駅にてスイッチバックし、船橋駅までを結ぶ路線。

深夜の高柳駅。駅舎は改良工事を行なったばかり

 柏駅~船橋駅間の複線化工事は1964年3月12日の塚田駅~新船橋駅間に始まり、1982年10月26日の新船橋駅~船橋駅間、1982年11月10日の馬込沢駅~塚田駅間、1983年7月21日の新柏駅~増尾駅間、1985年11月15日の増尾駅~逆井駅間、1989年11月28日の六実駅~新鎌ケ谷信号所駅(現在の新鎌ケ谷駅)間、1991年11月26日の柏駅~新柏駅間、1999年11月25日の鎌ケ谷駅~馬込沢駅間、2004年10月19日の新鎌ケ谷駅~鎌ケ谷駅間と、長期に渡り段階的に実施。逆井駅~六実駅間複線化工事として、2019年11月17日にも逆井駅~高柳駅間で工事を行なっている。

 この一連の複線化工事の完成を受けて、2020年3月14日から新たに運河駅~船橋駅間において、急行運転を開始するダイヤ改正を予定している。急行列車は毎時2本運転し、停車駅は大宮駅、岩槻駅、春日部駅~運河駅間の各駅、流山おおたかの森駅、柏駅、高柳駅、新鎌ケ谷駅、船橋駅で、この間の所要時間は92分から最短で76分となり(休日の場合)、最大で16分短縮する。また、柏駅~船橋駅間の所要時間も最大で11分短縮する(平日夕夜間の場合)。

急行停車駅と所要時間の短縮イメージ
今回行なった工事の概要図
工事を行なうのは0時34分発の終電後
工事の概要を解説する東武鉄道株式会社 改良工事部 部長 矢野哲郎氏

 公開した工事は終電後から始発にかけて行なわれ、0時50分~4時30分まで。場所は高柳駅近くの踏切(第265号踏切道)。工事はこの箇所のみではなく、高柳駅構内でこの場所を含め5か所、六実駅構内で2か所行なっている。作業員は、軌道工事関連で約450名、電気関係で約100名が携わるかなり大規模な工事。

 工事の当日までに新たな線路はすでに敷設済みで、踏切を含めた単線部分を切り離し、新設された複線の線路に切り替えるという工事となり、「切り結び」工事と呼ばれる。15日の初電から複線にて運行を開始する。高柳駅では現状ダイヤでは1番線と4番線を使用し、ダイヤ改正後に特急が停車するようになると、すべての番線を利用するようになる。

 工事に先立ち、 東武鉄道 改良工事部 部長の矢野哲郎氏から概要説明があり、「連続立体交差事業も含め、少しずつ複線の工事を進め結果50年間かかりました。2020年3月14日のダイヤ改正によって、運河駅~船橋間において急行運転が始まります。大宮駅~船橋駅間の全線で急行運転が開始されるようになり、特に千葉県内の移動、千葉県北西部から都心方向への移動の利便性が向上します。地域間の交流にも寄与すると思われます。柏駅~船橋駅間のエリアが都心通勤圏として魅力が高まります。今後も沿線の魅力向上に努めていきます」とのコメントがあった。

高柳駅付近の工事箇所
工事開始直後、袋に入ったバラストを投げ入れる
移動する線路側でバラストを掻き出す
掻き出しは2人1組で行なっている
移動するレール締結部のボルトを緩めている
踏切部分のコンクリート蓋を移動する
コンクリート蓋の移動にはユニッククレーンも使われる
レールの仮切断が始まる
バーナーを使って切断している
こちらがすでに敷設済みの線路。ここまで移設する
レールを吊り上げ移動する山越器が投入された
山越器は動かす軌道が2つあるので2基使われている
山越器に吊り上げられたレール
多人数でかけ声をかけながら人力で移設していく
枕木は付いたままでバールを差し入れている
意外と移動量は大きく激しい動作
場所によっては微調整も
枕木を新設する部分もある
レールに乗った石などはブロワーで丁寧に取り除いている
レールを枕木に締結
接続部分の不要なレールを切断する作業が始まった
鉄道レー ル精密切断機を使っている
切断を反対側から見た様子
切断には約3分ほどかかる
鉄道レー ル精密切断機
切断した面は丁寧に磨かれる
ピカピカに磨かれた
レールに接続用の穴を開けている
鉄道用レール穿孔機が使われている
接続用の穴を開いた
ボルトを締めて締結
1本が締結された
さらに増し締め
軌陸車でレール上からバラストを運び入れる
線路脇にバラストを投入
軌陸車は線路と地面の両方走ることができる
線路脇は小型トラックを使って投入
人海戦術でもバラストが入った土嚢が投入される
必要な場所に土嚢を持っていく
バラストを掻き込む
移設したレールが2本とも締結された
接合部でレールボンドを溶接している
レールボンド接続部
レールボンドはレールを電気的に接続する
移設にともない架線の位置も調整する
パンタグラフを模した長い棒でレールとの位置を測っている
架線での作業の様子
レールの高さを調整するためジャッキが入れられる
ジャッキアップ中
バラストを震動させ馴染ませている
軌間を計測している
ところどころで位置を微調整
さび取りのレール研磨機を走らせている
電気関係のチェック
線路間を電気的に短絡してチェック
踏切の警報器もチェックしていた
踏切のコンクリートパネルを装着
複線化されている。高柳駅方面を見ている
踏切の舗装工事が始まる
アスファルトを使った舗装
踏切の警報器が正常に閉まるか動作試験する
工事箇所から見た高柳駅ホーム
高柳駅の1~2番線
高柳駅の3~4番線
高柳駅から六実駅に向けて試運転の列車が無事に工事現場を通過
続けて折り返しで六実駅から高柳駅に向けて試運転の列車が通過
高柳駅はダイヤ改正まで当面1番線と4番線を使用
高柳駅から船橋駅行きの4時58分発の始発列車が発車する
一般客が乗車した始発列車が工事箇所を無事に通過。複線での運行が始まった

【お詫びと訂正】初出時、改良工事部 部長 矢野氏のお名前に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。