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東武鉄道、2機目のC11形蒸気機関車が南栗橋車両管区に到着。搬入作業を報道公開
大手私鉄初の復元作業。完了は2020年冬
2018年11月15日 15:31
- 2018年11月14日 実施
東武鉄道は11月14日、東武鬼怒川線で現在運行している蒸気機関車「SL大樹」(207号機)にもう1機加えることになったSL車両の搬入を報道向けに公開しました。
同社は2017年8月10日からSLの復活運行を実施しています。今回、SL大樹と同じC11形蒸気機関車が加わることになり、動態保存を目的とした復元のため北海道から南栗橋車両管区にやってきたSL車両の搬入の様子を、私ゆきぴゅーが取材してまいりましたのでレポートいたします!
大手私鉄では初! SLの復元に挑戦する東武鉄道
このSLは、日本鉄道保存協会が静態保存してたものを東武鉄道が譲り受け、動態保存を目的とした復元に着手することになった「C11形蒸気機関車」。製造されたのは1947年(昭和22年)とのことなので今から71年前! 滋賀県の江若(こうじゃく)鉄道で客車を牽引したのち、1957年(昭和32年)から北海道の雄別炭礦(ゆうべつたんこう)鉄道、1970年(昭和45年)から釧路開発埠頭で貨物列車を牽引して活躍した車両なのだそうです。
11月8日に北海道の江別市を出発し、陸路で苫小牧港へ運ばれたのち、12日にフェリーで苫小牧港を出発。13日の昼過ぎに茨城県の大洗港に到着後、トレーラーにてここ埼玉県久喜市の東武鉄道にやってきたというのが今回の運搬経路。海路ではるばる北海道からやってきたSL、朝の段階では運搬用の緑色のカバーにすっぽり覆われていて、お披露目までおあずけでした。
トレーラーがSL検修庫前に止まって、いよいよお披露目の瞬間。青いカバーが作業員さんの手によって外され、全長12m65cm、全高3m90cmの蒸気機関車が姿を現わしました。私には「おお~、かなり古い感じー!」が率直な感想。
東武鉄道は、このSLが復元できた際には2017年8月から運行している現行の207号機「SL大樹」を2機体制にする計画だといいます。というのも、SLは定期的に長期の検査に入らないといけないため、現行機が長期検査に入った期間も、1台増やすことによって運休することなくSL運行ができるようになるから。日光・鬼怒川エリアの地域活性化の推進にもつながると考えています。実はこのようにSLを動態保存用として復元するのは大手私鉄では初なのだとか!
いよいよクレーンで吊り上げ。ゆっくり車体が浮いていく
次にトレーラーに乗ったSLをクレーンで吊り上げて線路に移す作業です。このクレーン作業は少し時間がかかるとのことだったので、そのあいだに「そもそもSLの復元ってどれだけ大変なものなのか?」を広報の方に聞いてみました。
「SLの復元は、いったんすべてをばらして、ありとあらゆる部品を点検する作業になります。壊れている部品は作り直したり、手直ししながら組み立てるのでかなり手間がかかって大変な作業。少なくとも2年ほどかかる見通しです」と教えてくれました。
2019年の年明けから本格的な修繕作業に入り、2020年冬の復元を目指しているとのこと。今回見たC11形蒸気機関車が「SL大樹」として東武鬼怒川線を走るときは、ぜひ私も見に行きたいと思います。
復元チームメンバーが勢揃いして記念撮影
無事に線路に移す作業が終わったところで、SLを背景に今回の復元チームメンバーの皆さんの記念撮影がありました。今回の復元には、JR東日本(東日本旅客鉄道)関係者のOBなどから技術指導を受けながら東武鉄道の社員20人が当たるのだそう。
さらにチームリーダーの須藤和男さんのお話も聞くことができました。現行の207号機を受け入れる際にJR北海道(北海道旅客鉄道)でSLの技術を学んできたという須藤さん。207号機の技術管理担当でもあります。
この日、実際にC11形蒸気機関車を目の前にしての感想を聞かれると、「これからすべてをバラバラにしていったうえでいろいろ分かってくる面があると思います。かなりホコリを被っていて今はわるいところばかり目に付きますが、これから復活に向けて一つ一つ地道にやっていくしかないと思っています。日光・鬼怒川方面でいつも手を振ってくださるファンの皆さんためにがんばりたいです」と豊富を語っていました。
今回は運転台や煙突、砂箱、蒸気ドームのカバーなどは別途搬入されたため、それらはSL検修庫内に置かれていました。そちらも撮影できたのでご紹介します。