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沖縄県が夏本番。2019年観光月間は「環境美化」がテーマ。初日にはオーバーツーリズム対策の講演も

2019年8月1日 実施

沖縄県と沖縄観光コンベンションビューローは「観光の日」イベントを開催した

 沖縄県とOCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)は8月を観光月間と位置付け、県民への観光産業に対する理解と関心を深め、観光客を温かく迎え入れる機運向上を図っている。観光月間の初日である8月1日は、「観光の日」として各種のイベントが開催された。

 同日14時からは、「めんそーれ沖縄県民運動推進協議会」の総会と表彰式が那覇市内ホテルにて開催。同協議会会長の玉城デニー氏(沖縄県知事)が欠席のため、開会のあいさつを副会長の下地芳郎氏(OCVB会長)が代読した。

「沖縄県の入域観光客数は平成30年度(2018年)は999万9000人と6年連続で過去最高を更新。また、この夏休みの国内旅行先として沖縄県が1位という報道もあり、好調に推移している。

 令和3年(2021年)度までの目標である観光消費額1.2兆円、入域観光客数1200万人の達成に向けて、これまでの取り組みをさらに継続させていくので、皆さまに協力をたまわりたい」と述べた。

めんそーれ沖縄県民運動推進協議会で副会長を務める下地芳郎OCVB会長

 続いて、平成30年度事業報告および令和元年(2019年)度事業計画の報告があり、平成30年度「めんそーれクリーンアップ推進事業」において34件の支援、軍手やゴミ袋の提供を実施したことを報告。また、観光月間キャッチコピーの募集や県内各地域イベントとのタイアップPR活動、春には「花のカーニバル」の実施、「かりゆしウェア着用キャンペーン」、県内全小学4年生を対象にした「観光学習教材」の配布(1万7100冊)なども報告された。

 令和元年度の実施計画は、前年度に引き続き「めんそーれクリーンアップ推進事業」を展開するほか、観光月間中は「沖縄まるごとクリーンアップ大作戦!」と名付けたビーチや街中の清掃活動を実施することなどが報告された。

沖縄県 文化観光スポーツ部観光振興課長 雉鼻章郎氏による平成30年度の事業報告および令和元年度の事業計画報告

京都市観光協会によるオーバーツーリズム対策などの講演

 続いて特別講演として、京都市観光協会 事務局次長の赤星周平氏が登壇。「京都市観光協会(DMO)の戦略 ~世界で輝き続ける、持続可能なデスティネーションを目指して~」と題し、京都市の観光事情やオーバーツーリズムの問題、今後の取り組みなどの講演がなされた。

公益社団法人 京都市観光協会 事務局次長の赤星周平氏。公益財団法人 京都文化交流コンベンションビューローの国際観光コンベンション部 部長も務める

 京都市には年間5000万人の観光客が訪れ、平成27年(2015年)には過去最大となる5684万人を記録。その後は横ばい~緩やかな減少となっているが、5000万人超は変わらず。そのなかで問題となっているのが、オーバーツーリズムによる住民と観光客の摩擦である。

 とはいえ、人口減少社会である日本では、観光産業は重要なマーケット。持続可能な産業とするためには、今後は量より質へ方向転換する必要があると説いた。

 京都市では宿泊キャパシティの不足問題は解決しつつある。今後はラグジュアリーホテルの誘致などが進むと見ている。また、消えつつある京町屋を宿泊施設にリノベーションする動きなども出てきている。

 一方で、投機的ホテルが急増したことで価格競争が起きたり、一定のエリアにホテルが集中しているなどの問題も出てきている。民泊についても住民からのクレームが多いため、条例を厳しくした。2018年からは宿泊税も導入している。

 取り組みとしては、良質な旅行ガイドの育成や観光地の分散化などが挙げられた。DMOには観光業界だけでなくマーケティングのスペシャリストやITの専門家なども招きいれ、観光市場を可視化できるよう取り組んでいるとのこと。

 観光の質を高めることで消費額アップにもつながり、良質なファンやリピーターを増やすことが今後目指す方向とのことだった。

オーバーツーリズムの対策には、観光の質を高めることに鍵がある

粟国島の中学生ボランティアガイドが「おきなわの観光」意見発表コンクールでグランプリ

 続いて、沖縄県観光に大きく貢献した個人・企業・団体などへの表彰式を実施。表彰式では、沖縄県観光功労者5名が日々の活動などがたたえられ表彰状、感謝状が贈られた。また、清掃活動など地域の環境美化などに貢献した4団体に「めんそーれ沖縄クリーンアップキャンペーン」の表彰状を贈った。

沖縄フルーツランド株式会社の安里廣氏。名護市の観光産業を発展・拡大させる礎を築いてきたこと、地域の緑化に努めていることなどが評価された
沖縄キリスト教学院大学副学長の上地恵龍氏。琉球大学で観光科教授を務め、OCVB副会長、沖縄県観光審議会会長などを歴任し、長年にわたり観光業界に携わってきたことが評価された
琉球びんがた事業協同組合の大城美登里氏。那覇市伝統工芸館内の体験工房での体験指導ほか、琉球紅型の国内外への普及活動が評価された
一般社団法人 那覇爬龍船振興会理事の平良慶孝氏。沖縄の伝統行事である那覇ハーリーを通じて、沖縄の観光振興に貢献したことが評価された
感謝状が贈られた那覇市立銘苅小学校校長の吉浜幸雅氏。県内の小学4年生に配布されている「観光学習教材本」の監修を務めるほか、海外の子供たちとの学校交流などグローバルな視点を持った観光人材育成に取り組んでいる
受賞者の記念撮影

 続いて、第16回「おきなわの観光」意見発表コンクールでグランプリを受賞した作品の発表会が行なわれた。

 受賞者は、粟国村立粟国中学校3年の新城れあさん。観光客の多い沖縄において、新城さんの住む粟国村は観光客が少ない島。そんな島で自分たちでガイドをやったらどうなる?と、中学生ボランティアガイド「あずにーず」を結成した話を発表。観光客に喜んでもらえるような観光ガイドを組み立てていると、地元のおじぃおばぁが喜んでくれてうれしかったとのことだった。

大城花咲爺会。結成20年間にわたり、道路の草刈や草花の植栽管理などを実施。高齢者の社会参加をとおした生きがい、居場所づくり、地域住民の環境美化意識の高揚にも貢献しているとして表彰された
一般社団法人 うらそえ里浜・未来ネットワーク。海岸清掃活動や小学生の環境学習への協力などを実施。地域、企業、行政と連携し環境保全活動に尽力しているとして表彰された
海遊び・森遊び きじむなあ。2000年から19年間にわたり近隣海岸の清掃活動を実施。民泊事業を通して、中高生へゴミが自然に与える影響や被害などの環境学習も実施していることが評価された
宮城区ウォーキング激励隊。月曜から土曜の18時から20時まで、桑江中学校通学路のゴミ拾いや下校中の生徒への声かけなど、環境美化と防犯活動を実施していることが評価された
受賞者の記念撮影
第16回「おきなわの観光」意見発表コンクールでグランプリを受賞した粟国村立粟国中学校3年の新城れあさん

 この発表をもって閉会となり、夕刻18時からはパレットくもじ前広場にて観光月間オープニングセレモニーを開催。

 ミス沖縄の3名をはじめ各市町村の観光レディたちが地元の魅力を伝え、またご当地キャラクターも集合して会場を和ませた。BEGINの比嘉栄昇氏が手がけた沖縄観光ソング「いちゃりば結」をみんなで歌って踊って、笑顔いっぱいのセレモニーとなった。

ミス沖縄をはじめ、各地のキャンペーンレディが大集合
ご当地キャラクターたちも駆けつけ、みんなで「いちゃりば結」を踊った
下地芳郎会長も駆けつけ、観光月間をアピールした