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沖縄県が夏本番。2019年観光月間は「環境美化」がテーマ。初日にはオーバーツーリズム対策の講演も
2019年8月5日 13:12
- 2019年8月1日 実施
沖縄県とOCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)は8月を観光月間と位置付け、県民への観光産業に対する理解と関心を深め、観光客を温かく迎え入れる機運向上を図っている。観光月間の初日である8月1日は、「観光の日」として各種のイベントが開催された。
同日14時からは、「めんそーれ沖縄県民運動推進協議会」の総会と表彰式が那覇市内ホテルにて開催。同協議会会長の玉城デニー氏(沖縄県知事)が欠席のため、開会のあいさつを副会長の下地芳郎氏(OCVB会長)が代読した。
「沖縄県の入域観光客数は平成30年度(2018年)は999万9000人と6年連続で過去最高を更新。また、この夏休みの国内旅行先として沖縄県が1位という報道もあり、好調に推移している。
令和3年(2021年)度までの目標である観光消費額1.2兆円、入域観光客数1200万人の達成に向けて、これまでの取り組みをさらに継続させていくので、皆さまに協力をたまわりたい」と述べた。
続いて、平成30年度事業報告および令和元年(2019年)度事業計画の報告があり、平成30年度「めんそーれクリーンアップ推進事業」において34件の支援、軍手やゴミ袋の提供を実施したことを報告。また、観光月間キャッチコピーの募集や県内各地域イベントとのタイアップPR活動、春には「花のカーニバル」の実施、「かりゆしウェア着用キャンペーン」、県内全小学4年生を対象にした「観光学習教材」の配布(1万7100冊)なども報告された。
令和元年度の実施計画は、前年度に引き続き「めんそーれクリーンアップ推進事業」を展開するほか、観光月間中は「沖縄まるごとクリーンアップ大作戦!」と名付けたビーチや街中の清掃活動を実施することなどが報告された。
京都市観光協会によるオーバーツーリズム対策などの講演
続いて特別講演として、京都市観光協会 事務局次長の赤星周平氏が登壇。「京都市観光協会(DMO)の戦略 ~世界で輝き続ける、持続可能なデスティネーションを目指して~」と題し、京都市の観光事情やオーバーツーリズムの問題、今後の取り組みなどの講演がなされた。
京都市には年間5000万人の観光客が訪れ、平成27年(2015年)には過去最大となる5684万人を記録。その後は横ばい~緩やかな減少となっているが、5000万人超は変わらず。そのなかで問題となっているのが、オーバーツーリズムによる住民と観光客の摩擦である。
とはいえ、人口減少社会である日本では、観光産業は重要なマーケット。持続可能な産業とするためには、今後は量より質へ方向転換する必要があると説いた。
京都市では宿泊キャパシティの不足問題は解決しつつある。今後はラグジュアリーホテルの誘致などが進むと見ている。また、消えつつある京町屋を宿泊施設にリノベーションする動きなども出てきている。
一方で、投機的ホテルが急増したことで価格競争が起きたり、一定のエリアにホテルが集中しているなどの問題も出てきている。民泊についても住民からのクレームが多いため、条例を厳しくした。2018年からは宿泊税も導入している。
取り組みとしては、良質な旅行ガイドの育成や観光地の分散化などが挙げられた。DMOには観光業界だけでなくマーケティングのスペシャリストやITの専門家なども招きいれ、観光市場を可視化できるよう取り組んでいるとのこと。
観光の質を高めることで消費額アップにもつながり、良質なファンやリピーターを増やすことが今後目指す方向とのことだった。
粟国島の中学生ボランティアガイドが「おきなわの観光」意見発表コンクールでグランプリ
続いて、沖縄県観光に大きく貢献した個人・企業・団体などへの表彰式を実施。表彰式では、沖縄県観光功労者5名が日々の活動などがたたえられ表彰状、感謝状が贈られた。また、清掃活動など地域の環境美化などに貢献した4団体に「めんそーれ沖縄クリーンアップキャンペーン」の表彰状を贈った。
続いて、第16回「おきなわの観光」意見発表コンクールでグランプリを受賞した作品の発表会が行なわれた。
受賞者は、粟国村立粟国中学校3年の新城れあさん。観光客の多い沖縄において、新城さんの住む粟国村は観光客が少ない島。そんな島で自分たちでガイドをやったらどうなる?と、中学生ボランティアガイド「あずにーず」を結成した話を発表。観光客に喜んでもらえるような観光ガイドを組み立てていると、地元のおじぃおばぁが喜んでくれてうれしかったとのことだった。
この発表をもって閉会となり、夕刻18時からはパレットくもじ前広場にて観光月間オープニングセレモニーを開催。
ミス沖縄の3名をはじめ各市町村の観光レディたちが地元の魅力を伝え、またご当地キャラクターも集合して会場を和ませた。BEGINの比嘉栄昇氏が手がけた沖縄観光ソング「いちゃりば結」をみんなで歌って踊って、笑顔いっぱいのセレモニーとなった。