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オーストラリアの見どころを一挙紹介、「Australian Tourism Exchange 18」レポート

オーストラリア各州の観光局がアピール

2018年04月15日 発表

「Australian Tourism Exchange 18」のあいさつを行なう、オーストラリア政府観光局 本局局長 ジョン・オサリバン氏

 オーストラリアの観光業界向けイベント「Australian Tourism Exchange 18」(以下、ATE18)が、4月16日~19日の4日間にわたり、オーストラリアの南オーストラリア州アデレードにあるアデレード・コンベンションセンターで開催される。4月13日には主催者であるオーストラリア政府観光局による、報道関係者向けのイベントが行なわれ、オーストラリアの都市、州、テリトリーによる各地域の観光の目玉や状況などが説明された。

 各州ともターゲットとしているのは、観光客の増加が続く最大の市場である中国、そして2番目に観光客が多い米国などだが、日本からの観光客も日本航空が東京~メルボルン線を開設した影響などで増えており、メルボルンがあるビクトリア州などでは日本からの観光客が急速に増えているという。

「オーストラリアへのインバウンド需要は増加している」とオーストラリア政府観光局

 冒頭あいさつに立ったのはオーストラリア政府観光局 本局局長 ジョン・オサリバン氏。オサリバン氏は「オーストラリアを訪れる観光客は7%増えており、インドネシアやインドなどからの観光客が特に顕著だ。依然として中国と米国がメインであることに変わりはないが、今後も新しい製品を開発したり、ホテルの部屋数の増加などインフラへの投資を行なうなどして観光客を増やしていきたい」と述べ、オーストラリアへの観光客は増加傾向にあり、かつオーストラリア政府観光局としても今後もホテルや新規航空路線開設への投資や、観光客に響くような新しい体験プログラムなどを開発していくことで、海外からの観光客を増やしていきたいと述べた。

 オサリバン氏に次いで登壇したのは、南オーストラリア州観光局 最高責任者 ロドニー・ハレックス氏。南オーストラリア州は、今回のATE18が行なわれるアデレードの地元州となり、かなり力を入れてアピールしていた。そのため、通常の報道関係者向けのイベントなどではあまり見ないような、会見の途中でスパークリングワインや地元産の新鮮な牡蠣も振る舞われるなどしていた。

南オーストラリア州観光局 最高責任者 ロドニー・ハレックス氏
スパークリングワインが振る舞われた
地元産の新鮮な牡蠣も

 ハレックス氏は「昨年州全体では9%の観光客増加が見られた。州都であるアデレードでは、この新しいコンベンションセンターでグローバルの航空業界のイベントが行なわれるなどMICEにも力を入れているほか、食事やお酒などにも力を入れており、アデレードからクルマで25分しかかからないアデレード・ヒルにはたくさんのワイナリーが存在するし、南オーストラリアはオーストラリア全体のプレミアムワインの74%を生産しており、多くは輸出に回っている」と述べ、南オーストラリア州の特徴をアピールした。

ハレックス氏のプレゼンテーションスライド

 ハレックス氏によれば、観光客の目を引く体験プログラムも力を入れて開発しており、ケージの中に入ってサメに近づく体験プログラム、さらには「Lion 360」と名付けられた、人間の方が丸いケージの中に入って、ライオンがその周りに近づいてくるという聞いただけも怖そうだけど行ってみたい体験プログラムなどについて説明した。

 ほかにも、釣りやゴルフ、先住民体験プログラムなど多数のプログラムを開発して好評を得ていると説明した。

 また、昨年の12月にはマクラーレンバレーと呼ばれるワイナリーが集中しているエリアにルービックキューブ型のビルを建設し、そこでワインやフードを楽しむことができる施設を建設するなど、ワイナリー関連の施設の充実にも力を入れているとした。

ルービックキューブ型のワイナリーの施設
上の階からの眺め
中はフルーツのオブジェなどで飾られている
スクリーンで紹介する部屋、絵画を展示する部屋などがある

2017年9月のJALのメルボルン路線の開設後、ビクトリア州への日本人観光客は増加中

ビクトリア州観光局 シュック・イエン・リウ氏

 ビクトリア州観光局のシュック・イエン・リウ氏は、オーストラリアで2番目に大きな都市であるメルボルンがあるビクトリア州の観光の状況などを説明した。リウ氏によればビクトリア州を訪れる観光客で、最大数は依然として中国、2位が米国とのことだが、昨年大幅に伸びたのはインドと日本だという。

 リウ氏は「日本からの観光客が伸びたのは新しい路線ができたことが大きい」と述べ、昨年の9月に新規開設された日本航空の成田~メルボルン線(関連記事「JAL、成田~メルボルン線就航。初便のビジネスクラスを体験」)による影響が大きいと説明した。日本からの観光客は30%以上も増えており、ビクトリア州全体の10%超という数字と比べても大きく伸びている。

 リウ氏は「メルボルンには多数の新しいホテルが建設中で、すでに27階建てのNOVOTELがオープンした。またFormula 1などのスポーツイベントにも力を入れており、今年にはゴルフワールドカップなども開催する予定だ」と述べ、建設中のホテルなどを紹介した。

リウ氏のプレゼンテーションスライド

オーストラリアで訪れるべき観光地 No.3のキャンベラ

キャンベラ観光局 グループマーケティングマネージャー キャサリン・フレーザー氏

 オーストラリアの首都であるキャンベラがあるオーストラリア首都特別地域(ACT)のキャンベラ観光局 グループマーケティングマネージャー キャサリン・フレーザー氏は、キャンベラとその周辺の観光情報を説明した。

 キャンベラはブッシュ(茂み)の中に作られた政治機能のための計画都市となっている。このため、基本的には住民は政府の関係者が中心だが、観光客用のホテルなども用意されており、観光業が盛んな都市の1つとなっている。なお、有名な旅行関係の出版社であるLonely Planetはオーストラリアで訪れるべき観光地のトップ10の中でキャンベラを3位にしたそうで、近年は観光地としても認知されている。フレーサー氏によれば、都市から非常に近いところで大自然に触れる体験などができるほか、冬はスキーやスノーボードなどを楽しむことができると説明した。

フレーサー氏のプレゼンテーションスライド

タスマニアは、手つかずの自然をアピール

タスマニア観光局 PR/アーンドメディアマネージャー シェレーネ・サマービル氏

 オーストラリア南方の島となるタスマニア島を中心としたタスマニア州のタスマニア観光局 PR/アーンドメディアマネージャー シェレーネ・サマービル氏は、タスマニア島の大自然を利用した観光などについて説明した。

 サマービル氏によれば、タスマニア島はスイスと同じぐらいの面積の島で、30程度の大小の島から構成されており、手つかずの自然が残されているという。特に最近力を入れているのは自転車を利用した大自然を満喫するツアーということで、宿泊についても、ほかにはないようなロッジを作ったりしているという。また、ウィスキーやジンの製造に関してはタスマニアは長い歴史をもっているとのことで、それらを楽しむツアーなども人気があるということだった。

タスマニア島のジンが振るまわれた
サマービル氏のプレセンテーションスライド

豊富なアクティビティの西オーストラリア

西オーストラリア州政府観光局 広報担当 ミッシェル・コソネン氏とジェイド・リトル氏
オーストラリア人俳優、ルイス・リンカーン氏

 西オーストラリア州政府観光局 広報担当 ミッシェル・コソネン氏とジェイド・リトル氏は西オーストラリア州の観光資産などについて説明した。

 西オーストラリア州は、その名前のとおりオーストラリアの西側の州で、大きな都市としては州都のパースなどがある。西オーストラリア州もホテルなどのインフラに投資を続けており、2020年までに14のホテルを建設し、2600室を新たに追加する予定であるとのこと。ビーチや、ヘリコプターツアー、さらには先住民ツアーなどさまざまな観光資産を用意していると説明した。

 また、後半には同州の観光大使を務めるオーストラリア人の俳優ルイス・リンカーン氏が登場し、同氏の西オーストラリアでの観光体験などの説明が行われた。

コソネン氏とリトル氏のプレセンテーションスライド

オーストラリアで最も北側にあるノーザンテリトリー、ワニの生態を観察するツアーなどが人気

ノーザンテリトリー政府観光局 国際PR・メディア担当 ターマ・カークビー氏

 ノーザンテリトリー政府観光局 国際PR・メディア担当 ターマ・カークビー氏は、オーストラリアで最も北側にあるノーザンテリトリーについての説明を行った。ノーザンテリトリーには州都となるダーウィンなどがあるほか、こちらも手つかずの自然が残っており、ワニの生態を観察するツアーなどが人気だという。また、報道陣にはノーザンテリトリーにある有名な国立公園であるカカドゥ国立公園をイメージしたスムージーなどが振るまわれた。

カカドゥ国立公園をイメージしたスムージー
カークビー氏のプレセンテーションスライド

グレートバリアリーフの環境保全などについて説明した、クイーンズランド州

クイーンズランド州政府観光局 グローバルパブリシティ・マネジャー シェリー・ウィンクル氏

 クイーンズランド州政府観光局 グローバルパブリシティ・マネジャー シェリー・ウィンクル氏は、グレートバリアリーフなどで知られるオーストラリア北東の州であるクイーンズランド州の紹介と、グレートバリアリーフの環境保全などについて説明した。ウィンクル氏はクイーンズランドのTOP10というランキングを紹介し、1位はグレートバリアリーフでのダイビングだとした。

 その後、グレートバリアリーフの環境保護活動を行なっているカッサンドラ・アーブス氏、レディエリオット島のオーナーだというピーター・ゴッシュ氏をステージに呼んで、グレートバリアリーフにおける環境保護についての説明を行なった。

ウィンクル氏のプレゼンテーションスライド
ピーター・ゴッシュ氏(左)とカッサンドラ・アーブス氏(右)

オーストラリア最大の都市であるシドニーがあるニュー・サウス・ウェールズ州

ニュー・サウス・ウェールズ州政府観光局 コミュニケーション・ジェネラルマネジャー タムズン・アレイ氏

 最後に壇上に立ったのは、オーストラリア最大の都市であるシドニーがあるニュー・サウス・ウェールズ州政府観光局 コミュニケーション・ジェネラルマネジャー タムズン・アレイ氏で、「昨年インターナショナルには420万人の観光客を迎えて、昨年に比べて7.4%のプラスとなった。それに加えてオーストラリア国内の環境客も増えており、国内の観光客向けの商品を増やしたり、投資を行なっていきたい」と述べ、今後もシドニーを中心としたニュー・サウス・ウェールズ州の観光振興に向けて投資を増やしていくと説明した。

 そうした中でソニーミュージックと提携して、シドニー観光をアピールする中国語の歌を作って中国向けに配信したり、シドニーの有名なオペラハウスにプロジェクションマッピングしたり、船などにLEDを飾ったりするVividSydneyと呼ばれる企画を行なうなどして観光客を増やしていきたいと説明した。

アレイ氏のプレゼンテーションスライド