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北九州出身・わたせせいぞうのイラストを使ったラッピング列車、門司港駅新駅舎で出発式
門司港駅構内に特設ギャラリー設置
2019年3月11日 20:44
- 2019年3月10日 出発
JR九州(九州旅客鉄道)は、2012年から進めてきた改装工事を終えた門司港駅を、3月10日にグランドオープンした。
新駅舎の前で記念セレモニーが開催されたほか(関連記事「JR九州、大正3年当時を復元した門司港駅の新駅舎を開業。SL人吉もやってきた」)、北九州市小倉北区出身の作家/イラストレーター・わたせせいぞう氏のイラストがラッピングされた車両がお披露目され、わたせせいぞう氏やJR九州の関係者らが出席して出発式が行なわれた。
主催者側を代表したJR九州 取締役常務執行役員 鉄道事業本部長の古宮洋二氏は、「わたせ先生は、我々50〜60代の青春時代に非常に影響のある方です。私もよくマンガを拝見しておりましたが、そのときは北九州に縁があられる方とは思ってもおりませんでした。前(復元前)の門司港駅の駅舎も描いていただいていて、またぜひお願いをしたいという思いに至り、今日のグランドオープンを迎えられたこと、大変うれしく思います。
なかなか遭遇することが少ないかと思いますが(ラッピングトレインは1編成)、見かけられた際は手を振っていただきたいと思います。また門司港レトロエリア全体がイベントの開催時期となっておりますので、たくさんの方に足をお運びいただきたいと思います」とあいさつした。
わたせせいぞう氏は、「私は18歳までこの北九州で育ちました。絵の大好きな少年でした。あのとき見た国鉄の車体、電車に自分の絵が貼られるとは予想だにしませんでした。
そして、門司港駅のグランドオープンに際し、1枚の絵を描きました。私が門司港の絵を描いたのは6枚目となります。その合計6枚の絵がラッピングトレインとなって、間もなく入線してきます。このことをあのころの少年に教えたら、きっと歓声を上げて飛び上がっていると思います。
画業45周年を迎えるにあたりまして、各地で作品展を巡回させて参りたいと思いますが、その最初として、このふるさと北九州・門司港にあります旧大阪商船ビルにて『わたせせいぞうと海のギャラリー』としてスタートいたします。ラッピングトレインはこの門司港を起点に西に、そして作品展は東へ旅立っていきます。
今日、ここにこうして立っていられるのも、多くの方の支えがあってこそです。ラッピングトレインをどうぞ、よろしくお願いいたします」と述べた。
参列者のあいさつが終わり、12時17分、4番ホームには、811系に鮮やかなイラストがラッピングされた車両が入線。続いてテープカットが行なわれた。テープカットには、北九州市門司区のマスコットキャラクター「じーも」も駆けつけた。ラッピング列車は4両編成で、わたせせいぞう氏のイラスト6種類がラッピングされている。
12時22分、わたせせいぞう氏が台に上がり、「出発!」の合図でラッピングトレインは小倉駅へ向けて出発した。
出発式終了後、わたせせいぞう氏は「車両を見て素敵だな、と思いました。私の父親が九州の港町出身、おふくろが北海道の室蘭という港町、2人が出会ったのも神戸という港町で。そして私が育った北九州、そして門司港もそうです。ずっと港町で育ってきました。私のDNAのなかに『音』があるとしたら、そうした港にいる船の汽笛の音だと思います。常に海辺という影響が強いと思います。
私の絵は、恋愛というかカップルを対象にしているものが多いのですが、これに乗って結ばれる方がいればいいなと思いました。そして、やはり故郷でこういうお披露目ができたこと、本当にうれしいです。しばらく北九州を離れていますが、今回の縁となったのは門司港です。とても名誉なことです」と語った。