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JR九州、大正3年当時を復元した門司港駅の新駅舎を開業。SL人吉もやってきた!

2019年3月10日 開業

3月10日、北九州市の門司港駅が6年半の復元工事を経てグランドオープン

 JR九州(九州旅客鉄道)は、2012年から6年半の期間を要した門司港駅の改修工事を完了し、3月10日にグランドオープンした。

 当日、新駅舎の前では関係者らが参列し、記念セレモニーを開催。セレモニーは各関係機関の代表者があいさつ、テープカットを行なったほか、場所を改札前に移して、出発の鐘を鳴らす打鐘式も実施した。この日は、既報のとおり「スターバックス コーヒー 門司港駅店」や「みかど食堂 by NARISAWA」もオープンし、多くの来場客でにぎわった(関連記事「JR九州、3月10日オープンの『門司港駅内覧会。大正時代の面影を色濃く残す駅舎や『みかど食堂』に注目」「重要文化財でコーヒーが飲める『スターバックス コーヒー 門司港駅店』内覧会。旧三等待合室に鉄道駅ならではの内装で3月10日開業」)。

1914年(大正3年)当時の様子に復元された門司港駅の前でセレモニーが行なわれた
セレモニー出席者
九州旅客鉄道株式会社 代表取締役社長執行役員 青柳俊彦氏

 セレモニーの冒頭、JR九州 代表取締役社長執行役員の青柳俊彦氏より、「ここは明治に始まった九州鉄道のスタート地点です。当時から日本を代表する駅でした。今年で105年目を迎えますが、その節目にこうして大規模な復元ができ、大変うれしく思います。

 昭和62年(1987年)にJR九州が誕生し、この駅舎を文化庁から文化財として指定させてほしいというお話をいただきました。実は私、門司港の出身でして、このお話を聞いたときぜひ、と思いました。ところが、会社に持ち帰って報告したところ、先輩たちから『何をいってるんだ』と怒られました。

 というのも、当時の国鉄は、事業に制限のかかる文化財の指定は受けないという方針でした。こっぴどく叱られましたが、なんとしてでも国で初めての文化財の指定を受けたいと熱意を伝えまして、翌年了解を得ました。この門司港駅は、現役の『生きている駅』として認めていただいたのです」と述べ、重要文化財指定にいたるまでのエピソードが語られた。

 そして、「今回福岡県、そして北九州市のご協力による復元工事となりました。工事がスタートする際、に問題となったのが、どの時代に戻すか。

 検討していくなかで、建築関連の方や大学の先生から、大正3年(1914年)の形がよいとなりました。ただ、大正3年には、今見えております時計がなかったんです。ここだけに関しては、大正7年(1918年)の日本初の電気時計を残しました。

 北九州市は、すでに30年以上『門司港レトロ(門司港駅に隣接しているエリア一帯)』を市の中核事業として運営されてますが、この新しい門司港駅の誕生によって、今後ますます発展していくよう願っています」と期待を込めた。

文化庁 文化財鑑査官 豊城浩行氏
福岡県副知事 江口勝氏
北九州市長 北橋健治氏

 祝辞の最後には、北九州市長の北橋健治氏が登壇。「この関門地域は日本遺産に選ばれています。『関門“ノスタルジック”海峡』の重要な構成資産の一つとして、この門司港駅があります。現在220万人を超える方に訪れていただくようになりましたが、なかでも特に人気のある、わが町が誇る建造物です。

 これからプロジェクションマッピングなど、さまざまな活動を仕掛けていきます。市民の皆さまとともに祝いたいと思います」と、市民代表として関係機関に感謝の意を述べた。

テープカット
九州旅客鉄道株式会社 門司港駅長 松尾宣彦氏(左)、TOTO株式会社 代表取締役 副社長執行役員 清田徳明氏(中央)、門司区長 小石佐織氏(右)
北九州市長 北橋健治氏(左)、文化庁 文化財鑑査官 豊城浩行氏(中央)、福岡県副知事 江口勝氏(右)
衆議院議員 山本幸三氏(左)、タモリ氏(中央)、九州旅客鉄道株式会社 代表取締役社長執行役員 青柳俊彦氏(右)

 続いて改札前に移動し、打鐘式の準備へ。打鐘式は「旅立ちの鐘」を鳴らし、SLの客車を使用した団体列車を見送る形となった。またほかのホームには、グランドオープンに合わせて8620形蒸気機関車の展示が行なわれていた。

「旅立ちの鐘」で打鐘式
出発の汽笛が止んだのち、3回鐘を打った
10時17分、門司港駅を出る団体列車
大正時代の駅舎に合わせて展示されていた8620形蒸気機関車は1922年(大正11年)製造。普段は肥薩線(熊本~人吉間)を運行する「SL人吉」に使用されている

記念イベントや臨時列車の増便、ポータルサイトのオープンなどさまざまな取り組み

 門司港駅の復元完了に合わせて、「門司港オープニングマンス」として専用のWebサイトがオープンし、3月中に開催されるイベントの告知やキャンペーンなどの情報発信を行なう。主に週末には花火やライトアップなど、駅周辺が華やかな雰囲気となるイベントが用意される予定だ。また、重要文化財である門司港駅を知るために、歴史やエピソード、駅舎保存修理工事に関する情報を知ることのできるポータルサイトがオープンする。

 3月16日からは、博多駅から門司港駅まで乗り換えなしで利用できる臨時特急列車が運行する。4月以降も、土日や春休み期間・ゴールデンウィーク期間を中心に運行される。さらに小倉駅~門司港駅間の普通列車についても、3月10日以降の土日に上下線4本計8本の増便を行なう。

きらめき80号(787系6両編成): 博多(9時38分)発~門司港(10時43分)着、途中停車駅:赤間・折尾・黒崎・戸畑・小倉・門司

きらめき81号(787系6両編成): 門司港(16時03分)発~博多(17時15分)着、途中停車駅:門司・小倉・戸畑・黒崎・折尾・赤間

駅舎の外観
コンコース
コンコースから改札方面
みどりの窓口
スターバックス コーヒー 門司港駅店
券売機
改札前
待合室
階段室
旧次室。個展などイベントに使用される予定とのこと
2階廊下
貴賓室。「みかど食堂 by NARISAWA」の団体用として使用される
エレベータ室のガラス窓から見える屋根裏。2017年4月に執り行なわれた上棟祭の木札が確認できた