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西武鉄道、「メッツァ」に触発された飯能駅リニューアル式典。地元木材×フィンランドデザイナーで北欧を感じられる駅舎に

3月16日には「ムーミンバレーパーク」オープン、「Laview」運行開始

2019年3月9日 実施

西武鉄道が飯能駅をリニューアル、式典を実施した

 西武鉄道は3月9日、池袋線飯能駅のリニューアルを記念したオープニングセレモニーを実施した。

 式典には西武鉄道の代表取締役社長である若林久氏、フィンランド大使館 駐日大使のペッカ・オルパナ氏、埼玉県飯能市市長である大久保勝氏、デザイナーのN.E.O Ark(ネオ アーク)氏らが出席した。

左から、埼玉県飯能市 市長 大久保勝氏、西武鉄道株式会社 代表取締役社長 若林久氏、フィンランド大使館 駐日大使 ペッカ・オルパナ氏、飯能駅リニューアルのデザインを担当したN.E.O Ark氏

 リニューアルのきっかけとなったのは、埼玉県飯能市の宮沢湖畔にある商業施設「メッツァ」の開業だ。「北方時間が流れる森と湖での体験を通じて、心の豊かさの本質に気付き、日常生活へと持ち帰れる場所」を目指して開発されたのがメッツァであり、3月16日にはトーベ・ヤンソン原作のムーミンシリーズを追体験できる「ムーミンバレーパーク」がそのなかに開業する(関連記事「世界初! 1年中ムーミンに会える『ムーミンバレーパーク』内覧会。埼玉県飯能市に『ムーミン屋敷』を完全再現」)。

 そこで西武鉄道は飯能駅を観光拠点に位置付け、そのうえで同エリアを訪れる観光客の期待感・高揚感を高め、地元住民にも愛着を持ってもらうことを目的としてリニューアルを実施した。

 このリニューアルでは本物のフィンランドデザインを採り入れ、メッツァおよび飯能の自然や歴史、文化との親和性を図ることを目指したとする。デザイナーを決定するコンペはフィンランド大使館の協力を得て、フィンランド国内のデザイナーを対象として実施、最優秀賞にはN.E.O Ark氏が選ばれた。

 デザインのコンセプトは「Sykli(サイクル)」で、自然環境のサイクルと人間の動きを対比させたデザインとなっている。このデザインは、空間全体を使い、観光客も地域住民もそれぞれ行きたい方向に誘導できる環境を作ることを目指したという。

 コンコースには木材を模した幕天井がホームから階段、コンコースへと誘うように取り付けられ、カモメをモチーフとした鳥が誘導を促すように設置されている。

コンコースには、乗客を誘導するように幕天井が取り付けられ、またカモメをモチーフにした鳥も吊されている

 1・2番ホームへの階段は「葦」、3・4番ホームへの階段は「樹木」をモチーフとしたデザイン。さらに1・2番ホーム自体は「春」、3・4番ホームは「夏」でイメージして、木材を使用したオブジェを設置。

 また特急ホームは「冬」として、照明で粉雪が表現されている。なお、今回のリニューアルでは、飯能市などから産出されるスギやヒノキの総称である「西川材」が活用されている。

1・2番線ホームへの階段は「葦」をモチーフにしたデザイン
「樹木」をモチーフにしたデザインの3・4番線ホームにいたる階段
「春」をイメージし、木材を使用したモチーフを設置する1・2番線
3・4番線のイメージは「夏」
特急ホームは「冬」のイメージで、壁には粉雪を表現する照明が配置される
ホームの木材を模した床材が貼り付けられている
オブジェは地元産の西川材を使って製作している
オブジェの一部はベンチになっていて座ることもできる

 あいさつを行なった西武鉄道 代表取締役社長の若林久氏は、「N.E.O Ark氏の感性が見事に活かされた、西川材をふんだんに使った木のぬくもりが感じられるイメージどおりの、大変素晴らしい駅舎に生まれ変わることができた」と話す。

あいさつを行なった西武鉄道 代表取締役社長 若林久氏

 さらに、「ムーミンバレーパークがオープンする3月16日には、弊社としては25年ぶりとなる新型特急Laview(ラビュー)の運行を始める。世界的にも著名な妹島和世先生がはじめてデザインを手掛けた鉄道車両であり、今までに見たことがない車両をコンセプトに、内外観ともに趣向を凝らした斬新なデザインの車両は、西武鉄道の未来を担う車両になると自負している。多くの皆さまに、新型特急Laviewにご乗車いただき、飯能に訪れていただくことを切に願っている」と語った(関連記事「西武鉄道、新型特急車両001系『Laview(ラビュー)』内覧会。大型ガラスを採用した車窓から臨場感ある風景が楽しめる」)。