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神田明神、多用途イベントホール「EDOCCO(エドッコ)」12月15日開館。地下ではアイドルのライブも
2018年12月13日 12:07
- 2018年12月15日 開館
神田神社は、12月15日に「文化交流館『EDOCCO(エドッコ)』」を開業する。それに先立ち、報道陣に向けて内覧会を開催した。
神田神社は、730年(天平2年)に創建され、約1300年の歴史を持つ。正式名称は神田神社だが、通称の「神田明神」の方がなじみがよいだろう。東京・神田に位置し、神田、秋葉原、日本橋、大手町、丸の内といった都心の氏神様として、都心を中心に多くの人に親しまれている。
御祭神は、一之宮として「だいこく様(国土開発、医薬健康、夫婦和合、縁むすび)」の「大己貴命(おおなむちのみこと)」、二之宮が「えびす様(商売繁盛、開運招福、医薬健康)」の「少彦名命(すくなひこなのみこと)」、三之宮は「まさかど様(除災厄除、勝負事)」で「平将門命(たいらのまさかどのみこと)」となっている。
江戸幕府からは「江戸総鎮守」の称号を拝し、1934年(昭和9年)に建てられた御社殿は、2003年に国の登録文化財に認定されている。2年に1度、5月には「神田祭」が盛大に開催されていて、2019年は新元号元年として開催予定だ。
このEDOCCOの開業は、2029年に「創建千三百年奉祝の年」を迎えるにあたっての記念事業の一環。コンセプトは「伝統と革新」。参拝者、国内外からの観光客に日本の伝統文化を伝える施設としても機能する。2~3階部分の多目的に使える「神田明神ホール」を中心に、1階には神札授与所や物販、飲食のスペースもあり、地下1階には日本文化を体験できるスペースの「EDOCCO STUDIO」がある。開かれた気軽に訪れることができる施設になっている。
また、館内には画家・松井守男氏、金工作家・宮田亮平氏、着物デザイナー・斉藤上太郎氏らが手掛けたアートが各所に奉納されていて、これも見どころとなっている。
文化交流館「EDOCCO」のネーミングは、英語の「EDO Culture COmplex(江戸文化交流)」を略して、かつ「江戸っ子」とかけている。
2~3階を占める建物の主要部となる「神田明神ホール」は、着席で400名、スタンディングで700名の収容が可能な多目的ホール。仕切りを解放することで、ホワイエ~デッキにいたるまでを完全に一体となって利用することもできる。
デッキからは境内と都内の景色を一望でき、開放感は抜群。平日は公開シンポジウムやセミナーなど主に企業などに向けた活用を、土日にはコンサートや講演などで一般向けの利用を考えているとのこと。直近ではクリスマスイブの12月24日に「DAIGO」のソロライブが開催される。今後ライブなどで訪れる機会も増えそうだ。
地下1階には「EDOCCO STUDIO」というスペースがあり、日本文化の体験や、夜には新しい文化のエンタテイメントパフォーマンス(秋葉原文化からアイドルパフォーマンスなども予定されている)などの、多様なプログラムを気軽に楽しむことができる。
併設の「j-culture 着物屋」では、着物のレンタルや販売があり、着付けの体験ができる。
1階には、神札授与所と物販の「EDOCCO SHOP -IKI IKI-」、飲食スペースの「EDOCCO CAFE -MASU MASU-」(年中無休、11時~18時)があり、気軽に休憩やお土産購入が楽しめる。飲食スペースは、夜18時以降に「おでんと日本酒の店 枡々(マスマス)」に変わる(18時~22時、日曜・祝日はお休みなので注意)。関東炊きおでんだけではなく、鍋や焼き物、揚げ物も用意されている。
食べ物や飲物、オリジナルのグッズは神田明神で祈祷されている。ここでしか手に入らないアイテムも多いので、ぜひ覗いてみよう。
内覧会の前には式典が行なわれ、冒頭に登壇した神田明神 宮司 大鳥居信史氏は、「神田神社は1300年ほど前に創建された、東京でも古いお社の1つです。今回文化交流館が建てられた理由ですが、日本には素晴らしい伝統文化、芸能、芸術がたくさんあるのですが、発信する場が少ない。特に神社では少ないのです。そういう理由からこのような施設を建てました。
10年後には創建1300年を迎えます。それまでに開催されるオリンピック・パラリンピックの折には、世界各地から来日されます。最近では参拝客の半数は国外からという様相になっています。今回の文化交流館『EDOCCO』開館は、創建1300年記念事業の第1弾です。日本の伝統文化、芸能、芸術を、この文化交流館を通じて世界の皆さまに紹介していきたい。神社としても、伝統文化、芸能、芸術を発信する基地として、成長していきたいと思います」とあいさつした。
続けて、神田明神 権宮司 清水祥彦氏から、神田明神の歴史や成り立ちをはじめとする解説があった。神田明神の御祭神は記事の冒頭で書いたとおりだが、江戸城に対して鬼門に当たる位置にあり、鬼門封じの役があることや、盛大に行なわれる神田祭の紹介、また神田は芸術の上野、学術の本郷、ポップカルチャーの秋葉原、出版の神保町と、文化資源の中心にあることなどを説明した。そして、神社は不変なのではなく、伝統を守りながら常に柔軟な創造性で新しく変化していくこと。現状の神社は、25年後には4割が消滅するという予測もある危機であり、社会状況の変化に対応していく必要性も説いていた。その一端が、文化交流館「EDOCCO」開館に込められている。
続けてEDOCCOの解説が、神田明神文化交流館統括プロデューサーの乃村工藝社 プロデューサー 坂爪研一氏、鹿島建設 建設設計本部チーフアーキテクト 丸山琢氏、乃村工藝社 クリエイティブ本部 大西亮氏、着物デザイナー 斉藤上太郎氏、画家 松井守男氏らからあり、途中には雅楽の演奏に合わせ、巫女の舞も行なわれた。