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東京ディズニーランド大規模開発現場を初公開。「美女と野獣」の新エリアや全天候型シアターが2020年春開業
「工事の様子からもハピネスを感じてほしい」
2018年12月7日 15:56
- 2018年12月6日 公開
オリエンタルランドは12月6日、東京ディズニーランド大規模開発の工事現場ならびに進捗状況を公開した。
東京ディズニーランド大規模開発ではパーク内の7つのテーマランドのうち「ファンタジーランド」「トゥーンタウン」「トゥモローランド」の3エリアにまたがる約4万7000m2を開発。投資額が単体施設では過去最高の約320億円になる「美女と野獣“魔法のものがたり”」や、東京ディズニーランド初の全天候型シアター「ファンタジーランド・フォレストシアター」を含むレストランやショップが2020年春に新規オープンする。
今回公開された現場は、2017年4月5日の「東京ディズニーランド大規模開発 起工式」での景色とは一変し、鉄骨が組み上がり新エリアのイメージができる状態にまで進んでいた(関連記事「東京ディズニーランドで『大規模開発 起工式』を実施。2020年春オープン予定の新エリアの要素も発表」)。
「美女と野獣」をテーマにしたエリア
「美女と野獣“魔法のものがたり”」は、10名乗りの深皿のライドで、ディズニー映画「美女と野獣」のシーンを名曲で巡る東京ディズニーランドオリジナルのアトラクション。約8分間のライド時間で、比較的長めなことも特徴だ。音楽に合わせてお皿自身が踊るように動き、年齢問わず楽しめる。「ディズニー・ファストパス」対象。
進捗状況は、高さ約28mの尖塔ができあがり、これからもう1本太めの塔が加わって全長約33mになる予定。映画のように森の中にたたずむお城をテーマに開発している。日本オリジナルということもあり、あの名シーンでは最高の演出でゲストを驚かせてくれるとのこと。
映画「美女と野獣」のベルが住むベルズ・ビレッジの景色も忠実に再現。鉄骨が立ち上がり、現在は各施設の外装や内装を施し中。道を挟んで片側の「ビレッジショップス」はベル行きつけの古い本が並ぶ貸本屋、村に住む職人・商人の個性が反映された「ラ・ベル・リブレリー」「ボンジュールギフト」「リトルタウントレーダー」の3つのショップで構成される。
もう片側にはヴィランズのガストンがもてなす素朴なタバーン(酒場)の「ラ・タベルヌ・ド・ガストン」とテイクアウトタイプの軽食を提供する「ル・フウズ」がオープン予定。「ラ・タベルヌ・ド・ガストン」は約200席あり、約75%が屋内、約25%も屋根付きの席とゆったりできる作り。
このエリアの見どころをオリエンタルランド 技術本部 エリア開発プロジェクトチーム チーフリーディングスタッフの古澤英紀氏にうかがったところ「見どころは何と言っても映画『美女と野獣』の世界をゲストの皆さまに存分に感じていただけるところです。ベルの通う貸本屋を再現したショップに、ガストンにまつわるレストランなど。まさにタバーンは映画の重要なシーンで出てくる場所ですので、世界観に浸りながらお食事が楽しめます。『モーリスのコテージ』はディズニー・ファストパスの発券所でして、映画のなかのベルが住む家そのままの作りです。
野獣の住む城、ベルズ・ビレッジ、『モーリスのコテージ』の距離感も映画に忠実です。村を進むと森の雰囲気が感じられ、森と村の境が明確に分かれるようになります。『モーリスのコテージ』も映画では村から外れた場所にありますので、新エリアでも村から少し離れたところに建っています。2019年の夏から秋にかけて順次完成予定で、スケジュールどおりに進んでいます」と教えてくれた。
「ファンタジーランド・フォレストシアター」
「美女と野獣“魔法のものがたり”」に並ぶように建設中の「ファンタジーランド・フォレストシアター」では、現在内装と外装工事の最中。東京ディズニーランド初の完全屋内全天候型、約1500人収容のシアターとなる。シアターでは、「ディズニーキャラクターたちと一緒に素晴らしい音楽をめぐる旅」をテーマにした東京ディズニーランドオリジナルのプログラムを上演する。
ショーのシーンに連動した舞台セットの転換や、プロジェクションマッピングに特殊効果などを組み合わせ、ガラリと舞台の雰囲気が変わる演出にも注目したい。
「ファンタジーランド・フォレストシアター」はディズニー作品のなかで重要な役割を持つ森の中にあるシアターがテーマ。建物自体は大きいが目立たぬように森の中に溶け込ませていくデザインが開発のポイント。今後森の中を表現するために植栽などを効果的に配置、背景などを駆使し、「深い森の奥」感を生み出していく。また、ゲストが洋館の中に入った瞬間の驚きも楽しみにしていてほしい部分の1つとのことだ。
「ベイマックスのハッピーライド」
「トゥモローランド」に新規オープンするアトラクション「ベイマックスのハッピーライド」の進捗状況も確認。同アトラクションはディズニー映画「ベイマックス」がテーマのライドアトラクション。ケア・ロボットたちがゲストの乗った回転するライドを音楽に合わせて引っ張り、予測不能な動きで笑顔を生み出してくれる。ディズニー・ファストパスの対象だ。
現在はすでにライドが乗る床面ができあがっており、そのフラットさにびっくり。ベイマックスは優しさや思いやりをテーマにするキャラクターのため、年配のゲストや障害を持つ利用者でも楽しめるような配慮を散りばめている。現在、優しさあふれるアトラクションとして完成するための作り込みを行なっている。また、乗らずとも見ているだけで多くのゲストが楽しめるよう、半屋外型とした。
なお、「ファンタジーランド」と隣り合わせのため世界観が混ざらぬよう、大きな壁や床面の色など、さまざまな部分にもディズニーならではの工夫が隠れている。
「サンプルヤード」で耐久性や見え方をチェック。世界観を演出する魔法の技術が壁や屋根に集約
今回は「サンプルヤード」も初公開。ここには、ディズニーの世界観を具体化するために、新エリアを演出する岩や壁、装飾部分、屋根など職人技が光るサンプルたちが並べられていた。なぜ屋外に置いてあるのかというと、太陽光下での色の見え方/出方を確認したり、雨や風に対する耐久性などをチェックするからだ。
あくまでもサンプルであり、実際には取り付けはされない職人たちの練習場。周囲を見ると2つずつ同じようなサンプルも並んでいる。実は一部素材などを変え、どちらが耐久性に優れているか、美しく見えるかなどの比較しているそうだ。
ベルズ・ビレッジ周辺の家屋の壁や屋根、「ラ・タベルヌ・ド・ガストン」の壁画と思われる作品、お城の外壁。そして「ベイマックスのハッピーライド」の一部分や「トゥーンタウン」のキャラクターグリーティング施設「ミニーのスタイルスタジオ」と思われる部分も。実際の場所の一部らしき壁や、いろいろな素材と部分を組み合わせたテスト用の壁なども作っていた。
説明を受けずとも一目見ただけでどのエリアやアトラクションかが分かるほどで、まさに壁や装飾が自然と語ってくるディズニーらしさを感じる場所でもあった。
12月6日に発表された2020年導入の新エリアの施設名称は以下のとおり。
ファンタジーランド
美女と野獣“魔法のものがたり”(大型アトラクション)
モーリスのコテージ(ディズニー・ファストパス発券所)
ビレッジショップス(ショップ)
ラ・ベル・リブレリー
ボンジュールギフト
リトルタウントレーダー
ラ・タベルヌ・ド・ガストン(レストラン)
ル・フウズ(小規模フード店舗)
ル・プティポッパー(ポップコーンワゴン)
ファンタジーランド・フォレストシアター(エンタテイメントシアター)
トゥモローランド
ベイマックスのハッピーライド(アトラクション)
ビッグポップ(ポップコーン専門店)
スターゲイザーサプライ(ワゴン型ショップ)
トゥーンタウン
ミニーのスタイルスタジオ(キャラクターグリーティング施設)
パーク内からのちょい見えも期待値アップの力に。安全第一でゲスト目線も意識してオンタイムで施工
夢と魔法の王国の一部をまさに生み出し中の現場で解説してくれた古澤氏に、さらに詳しく話をうかがった。既存のテーマランドに隣接するエリアでの初の大規模開発ならではのこだわりを聞くことができた。
――新エリアの開発において現場で一番意識して共有していることは。
古澤氏:工事を行なううえで安全第一であることはもちろん、工期を守ることもそうですが、既存のテーマランドに近い部分での開発のため、ゲスト目線は常に忘れないようにしています。パレードルートも近いため、大きな音やにおいが発生する工事は控えています。
また、大きな重機はゲストに圧迫感を与えないよう、できる限り仮囲いから遠い奥で使用するように検討を重ねています。
ディズニーの世界観を絶対に壊さぬようにという部分も重要です。建屋の作り込みも含め、3つのエリアにまたがりますのでテーマが混ざらぬようにと細心の注意を払っています。
――仮囲いの話も出ましたが、パーク内から工事の進捗の一部が見える状況ですね。
古澤氏:安全上の問題で仮囲いはこれ以上高くすることはできません。ならばとそれを逆手にとり、ゲストにハピネスを感じていただけるようなデザインを採用しています。例えば仮囲いが広範囲に広がっているため、イベントと連動し、壁に装飾を施して撮影スポットとして活用するなどですね。
現場部分がパークのなかから見えることはめずらしく、ゲストの皆さまには進捗状況を楽しんでいただけたらと思います。今後さらに工事が進みますと建物ができあがっていく様子が少しだけご覧いただけるので、期待感やワクワク感を持って2020年を楽しみにしていただきたいですね。
――技術を魔法のように提供する部分がディズニーの魅力の1つだと思いますが、新エリアにはどのように組み込んでいくのでしょうか。
古澤氏:どうやればゲストの皆さまに驚いていただけるかを常に意識しています。いかに技術的な部分を感じさせないようにするかだと思っていますので、いろいろ試行錯誤を繰り返し最新技術と既存の技術をうまく組み合わせる工夫はいつもディズニー側とともに考えている部分です。
――「ベイマックスのハッピーライド」ではバリアフリーを意識し、フラットにしているとのことでしたが。
古澤氏:今回バリアフリーということで、車椅子をご利用のゲストも含め「ベイマックスのハッピーライド」など、皆さまが乗りやすいビークルを導入すべく検討をしています。
東京ディズニーリゾート全体がバリアフリーを意識しておりますので、新エリアでも段差の激しい部分がないように、つまずいたりしないよう、段差があるとしても気付いていただけるよう明るさなども検証しています。工事のメンバーや運営部のメンバーとも意見交換をしながら建物の作り込みを行なっています。ぜひ2020年を楽しみにお待ちいただけますと幸いです。
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