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ブリティッシュ・エアウェイズの関空~ロンドン線就航会見。日英ともに観光、ビジネスの高需要見込む

2018年9月25日 発表

ブリティッシュ・エアウェイズの関空~ロンドン線の就航が決まり、9月25日に関西エアポート、JALとともに記者会見が開かれた

 関西エアポートは9月25日、ブリティッシュ・エアウェイズが関空~ロンドン・ヒースロー線に2019年4月1日に就航することを発表した。JAL(日本航空)との共同運航便。同日行なわれた記者会見では、ブリティッシュ・エアウェイズとJALの担当者も同席し、新規路線に対する狙いを語った。

 関空とJALにとっては約10年ぶり、ブリティッシュ・エアウェイズにとっては約20年ぶりの直行便運航となる関空~ロンドン線は、下記スケジュールで週4便の運航を予定している。ブリティッシュ・エアウェイズ、JALともに9月25日に航空券の販売を開始する。

 機材はボーイング 787-8型機を使用。ビジネスクラス35席、プレミアムエコノミー25席、エコノミークラス154席の計214席の仕様となる。

ブリティッシュ・エアウェイズの関空~ロンドン・ヒースロー線(2019年4月1日~)

BA020便/JL7079便:関空(11時30分)発~ロンドン(15時50分)着、月・火・木・土曜運航
BA019便/JL7078便:ロンドン(14時20分)発~関空(翌09時50分)着、月・水・金・日曜運航
※BA019便は2019年3月31日が初便

関西エアポート株式会社 専務執行役員 最高商業責任者 航空担当 グレゴリー・ジャメ氏

 関西エアポート 専務執行役員 最高商業責任者 航空担当のグレゴリー・ジャメ氏は、台風21号の影響から3週間でほぼ100%運航ができるまでに回復した状況に対し、航空各社ら関係者に感謝を示し、「関空は正常に機能しているので、将来について語ることができる」と今回の発表を切り出した。

 関空にとっての長距離路線戦略について、「長距離路線の開拓は関西エアポートにとって戦略的な優先事項だった。日本の空港のなかでも極東アジアのネットワークは日本最大規模を誇っていると思う。東南アジアについても10~30%の伸びを示している。しかし、長距離路線を含むほかの路線開拓が非常に重要だと認識している」とし、そのために着陸料値下げや新しいインセンティブの提示などをすることで誘致を図ってきたという。

 そうした結果として就航が決まった関空~ロンドン線については、ひっ迫するヒースロー空港のスロットを争ったうえで決まったことで、実は民営化の事業開始前から協議を重ねてきたという。日本市場を熟知したオリックスグループ、欧州にネットワークを持つヴァンシの事業共同体であることも効果的だったという。

 ロンドン線就航に対しては、「新しいロンドン路線の開拓によって、欧米からのインバウンドのお客さまを迎えられるし、いろいろな経済的効果、経済交流も生まれると考えている。関西エアポートだけでなく、関西地方への追い風になる」との期待を示した。

 長距離路線については、2019年にはさらに2つの長距離路線の就航予定があるとし、「将来発表することになる」と予告。

 加えて、さらなる長距離線誘致について、ヨーロッパでは東欧、イタリアやスペインなどの南欧のサービスが十分でないとしたほか、オセアニア地域の新路線や米東海岸路線の開設、ターキッシュエアラインズの再就航などの課題を挙げ、「長距離路線は航空会社にとっても大きな投資とリスクが伴うので、決断には時間がかかる。多くの航空会社と話し合いをしており、誘致していきたい」と意欲を示した。

ブリティッシュ・エアウェイズ 日本・韓国・タイ地区 支社長 モラン・バージャー氏

 ブリティッシュ・エアウェイズ 日本・韓国・タイ地区 支社長のモラン・バージャー氏は、関空~ロンドン線就航を発表できることに喜びを示したうえで、「この新規就航は私どもの日本市場のコミットメントを表わすもので、JALとのパートナーシップの象徴でもある。関空~ロンドン線の追加で、JALとの共同運航は合計週32便となる」と、JALとのパートナーシップを含めた、日本市場を重視する姿勢を強調。

 さらに、この点について、「関空~ロンドン線の直行便により、日本で2番目に大きい都市と世界を結ぶことができ、日本のお客さまにイギリスや欧州を旅行する、より多くの選択肢を提供できる。JALと共同運航のパートナーには、2014年にはフィンエアー、2016年にはイベリア航空が加わった。お客さまは航空券の選択肢が広がり、フライトをより柔軟に自由に組み合わせて利用でき、価格面や利便性で真に最適な経路を選んでいただけるようになった」と共同事業のメリットを説明した。

 ブリティッシュ・エアウェイズにとって2018年は日本就航70周年の年にあたり、「この間、日本のお客さまと接点を増やし、旅の体験をより楽しく、便利になるよう、多くの投資を重ねてきた。それはいまも変わっていない。いつもなにをするにもお客さまを中心にビジネス展開している」とコメント。今後5年間で45億ポンド、6600億円相当を投資することを発表したことに触れた。

 この投資については、今後5年間でエアバス A350型機、ボーイング 787-10シリーズを含む72機の新機材を受領する計画であることや、2018年から2019年に購入機材の90%に次世代Wi-Fiを導入することなどを説明。

 また、「クラブ・ワールド」と名付けられているビジネスクラスでは、高級ライフスタイルのブランドであるザ・ホワイト・カンパニーとタイアップし、清潔なカバー類、大きな枕、柔らかいマットレストップ、羽毛布団を用意する新サービスを展開していくほか、レストランスタイルの機内食を提供して、食事の質と美しさを追求していく方針を示した。さらに、「シートも質の高いものを導入していく予定。座席オプションは今後発表する予定」と予告した。

 日本人に向けては、「日本人利用客向けのコミットメントは、最近展開している商品やサービスの改善に表われている。日本語を話すCA(客室乗務員)、地元の料理、機内で楽しめるエンタテイメントサービスが、日本からロンドンにヒースローに到着するまで楽しめる」とアピールした。

日本航空株式会社 執行役員 西日本地区支配人 中野星子氏

 共同運航を行なうJALからは執行役員 西日本地区支配人の中野星子氏が列席。「共同事業パートナーとして関空からロンドンへの就航が叶い、大変うれしく思う。JALは現在、関空から米ロサンゼルス、米ホノルル、中国・上海、台北、バンコクの5路線を飛んでいるが、欧州線への就航は10年来の切に切に願った悲願だった。両社一緒になって、しっかりと育てていきたいと思っている」と喜びを語った。

 航空券の販売は、ロンドン発利用者はブリティッシュ・エアウェイズ、日本発利用者はJALがそれぞれ主体となる見込み。ロンドン発の需要としては、2019年のラグビー・ワールドカップやG20大阪サミット、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年のワールド・マスターズゲームズ大阪をきっかけにした訪日需要が期待されているほか、「人気の京都から一番近い空港。世界遺産が多い西日本の入り口としても最適」(中野氏)といった需要を見込む。バージャー氏は「長期的視点で、IR(統合型リゾート)や万博誘致なども見据えている」とも述べる。

 一方の日本発利用客については、「欧州のなかでもロンドンは2番目に人気のある都市。レジャー需要のなかでも、プレミアムレジャー、プレミアムホリデーといった需要にも応えられる。英国へ行くだけでなく、その先のさまざまな渡航先へつなぐネットワークも持っている」(バージャー氏)、「関西の経済が活況。欧州の企業との提携のほか、国内企業でも販売や生産拠点を欧州に置く企業も多い」(中野氏)と話し、ブリティッシュ・エアウェイズ、JALともに、英国発、日本発双方向の需要があるとの見方を示した。

両サイドにブリティッシュ・エアウェイズのCAをはさみ、左から順に関西エアポート株式会社 専務執行役員 副最高商業責任者 航空担当 田中淳隆氏、関西エアポート株式会社 専務執行役員 最高商業責任者 航空担当 グレゴリー・ジャメ氏、ブリティッシュ・エアウェイズ 日本・韓国・タイ地区 支社長 モラン・バージャー氏、日本航空株式会社 執行役員 西日本地区支配人 中野星子氏