ニュース

「ノルウェージャン・ジュエル」横浜初寄港セレモニー実施。アジア周遊クルーズ中の船内を公開

2018年4月1日 実施

横浜市港湾局とノルウェージャンクルーズラインホールティングスが「ノルウェージャン・ジュエル」の入港記念セレモニーを実施

 横浜市港湾局とノルウェージャンクルーズラインホールティングス(NCLH)は4月1日、横浜大さん橋に停泊している同社所属客船「ノルウェージャン・ジュエル」で、入港記念セレモニーと説明会、船内見学会を行なった。同船はアジア周遊クルーズの途上で、横浜に初めて寄港した。

 ノルウェージャン・ジュエルは、2005年に独マイヤー造船所で就役した客船で、姉妹船は4隻。NCLHが所有する8クラスの客船ラインアップのなかで大きさ、建造年数ともにミドルレンジに位置する。2014年に改装工事を実施しており、現在ダイニング16カ所、バー&ラウンジ15カ所、船内劇場、オブザベーションラウンジ(観覧席とステージあり)、プール3面(子供用1面)、ジャクジー6カ所、スパ&フィットネスセンター、屋外コート、キッズルームを備える。

バウに描かれたハルペイントが鮮やかだ
第6デッキ船尾にあるダイニングレストラン「ツアーズ・パレス」窓枠が特徴の船尾。ベランダ付きキャビンのほとんどはスイートとミニスイート
船尾に翻るのは船籍を示すバハマ商船旗
前マストには日章旗を掲げている
社旗をあしらったファンネルマークと船名ボード
ジュエルはもともとアラスカクルーズ向けに建造した客船だ。その名残を残す船首水上見張りレーダー
ずらりと並ぶベランダ付きキャビン。最上層の第14デッキは上級等級「ザ・ヘブン」専用エリアになる
その最前部には最上等級船室「ザ・ヘブン ガーデンビラ」の専用ガーデンと屋上のオープンテラスが見える
屋外コート
独HATECKE製のライフボートを20隻搭載する
ノルウェージャン・ジュエルの諸元

造船:2005年
改装:2014年
船籍:バハマ
総トン数:9万3502トン
全長:297m
全幅:38m
乗客定員:最大2376名(乗組員:1154人)
客室数:789室
巡航速度:24.6ノット(44.8km/h)

これぞ上級等級な「ザ・ヘブン」の船室をチェックする

 船室は14種類を用意する。そのうち、上位5種類は専用エリア「ザ・ヘブン」を利用できる船室で、最も大規模な「ザ・ヘブン ガーデンビラ」は広さ約438m2、3つの寝室(うち1室は専用浴室付き)にリビングダイニング、2カ所のバルコニーにジャクジー付きのガーデンスペース、そして屋上のサンデッキとダイニングスペースを備える。

 ザ・ヘブンに属する5種類の船室「ザ・ヘブン ガーデンビラ」「ザ・ヘブン ファミリーヴィラ&ペントハウス」「ザ・ヘブン デラックスオーナーズスイート」「ザ・ヘブン オーナーズスイート」「ザ・ヘブン コートヤードペントハウス」とその下の「スイート」クラスに属する3種類の船室「ファミリースイート」「ペントハウスSE」「ペントハウスSF」では、専属のバトラーとコンシェルジュのサービスが利用できる。このほかにもジュエルでは「ミニスイート」「海側窓付」(視界の状態で2種類に分けている)「内側」の船室を選べる。

ノルウェージャン・ジュエルの船室(ザ・ヘブン)

ザ・ヘブン ガーデンビラ:約438m2、寝室3部屋(すべて専用浴室付き、1室はジェットバス、2室はシャワーブース)、リビングダイニング、バルコニー2カ所、ガーデンスペース(ジャグジー、屋外ダイニングスペース、サンデッキ)、定員6名
ザ・ヘブン ファミリーヴィラ&ペントハウス:約53m2、寝室2部屋、浴室2カ所(1カ所はバスタブ&シャワー)、リビングダイニング、バルコニー1カ所、定員6名
ザ・ヘブン デラックスオーナーズスイート:約111m2、寝室1部屋、浴室1カ所(ジェットバス&シャワー)、リビングダイニング、バルコニー2カ所、定員4名
ザ・ヘブン オーナーズスイート:約73.5~77.6m2、寝室1部屋、浴室1カ所(ジェットバス&シャワー)、リビングダイニング、バルコニー2カ所、定員4名
ザ・ヘブン コートヤードペントハウス:約41m2、寝室1部屋、浴室1カ所(バスタブ&シャワー)、リビングダイニング、バルコニー1カ所、定員3名

ジュエルで最上等級の船室となる「ザ・ヘブン ガーデンビラ」の広大なリビングダイニング
ワークデスクに
シャンデリアに
カウンターバーを備える
天幕付きベッドとジャクジー付きの中庭
専用の階段を上ると
屋上にあるサンデッキにアクセスできる。大さん橋の東側岸壁に停泊するのは「ぱしふぃっく・びいなす」
玄関ホール
玄関ホールからキャビン内廊下を通してリビングダイニングを見る
キャビン内廊下の照明も凝っている
玄関ホールから後方に向けて寝室にアクセスできるキャビン内廊下がある
ザ・ヘブン ガーデンビラの寝室その1
ザ・ヘブン ガーデンビラの寝室その2
ジェットスパを設けた専用浴室
それぞれの寝室で専用のシャワースペースを用意している
玄関ホールからアクセスできるトイレ
ザ・ヘブン利用船客専用の「ザ・ヘブン・コートヤード」
ザ・ヘブン・コートヤードにはプールに
ジャグジーに
フィットネスコーナーを用意する
ノルウェージャン・ジュエルの船室(スイート)

ファミリースイート:約51m2、寝室2部屋、浴室2カ所(1カ所はバスタブ&シャワー)、リビングダイニング、バルコニー1カ所、定員6名
ペントハウスSE:約45.5~53.5m2、浴室1カ所(シャワー)、リビングダイニング、バルコニー1カ所、定員4名
ペントハウスSF:約31.5~36m2、浴室1カ所(シャワー)、リビングダイニング、バルコニー1カ所、定員3名

ノルウェージャン・ジュエルの船室(ミニスイート)

ミニスイート:約26.5m2、浴室1カ所(シャワー)、リビングスペース、バルコニー1カ所、定員4名

ミニスイート船室をベランダ側から見る
デスクにはミニバーを併設する
木目調パネルを多く利用して落ち着いた雰囲気の内装
ベランダからマリンタワーと氷川丸を望む
浴室にはバスタブを備えている
第11デッキ左舷最後端に近い船室「11634」から前方を見る。第11デッキにはブリッジとその展望室があるのでほかの船室デッキと比べて短いが、それでも端が見えないほどに通路は長い
通路のカーペットには魚の群れが描かれており、その向きで船首方向が分かるようになっている。まれに逆に泳ぐ魚がいたりする
船室の「表札」は手回し式のカラー円盤でベッドメイキングの要不要などを示せる
ノルウェージャン・ジュエルの船室(そのほか)

海側ベランダ付き:約19m2、浴室1カ所(シャワー)、リビングスペース、バルコニー1カ所、定員3~4名
海側窓付き(角窓):約14.5~15m2、浴室1カ所(シャワー)、定員3~4名
海側窓付き(丸窓):約14.5~15m2、浴室1カ所(シャワー)、定員4名
海側窓付き(視界難):約14.5~15m2、浴室1カ所(シャワー)、定員4名
内側:約13m2、浴室1カ所(シャワー)、定員3~4名

内側船室は鏡を利用して広く感じることができる。ウッドパネルを多用した落ち着いた空間だ

多くの船客が評価するジュエルのレストランとバー&ラウンジ

 レストラン関連の施設では、無料で利用できる(料金がクルーズ代金に含まれる)2カ所のメインダイニングに、グリルレストラン、ブルーラグーン(24時間利用可能)、ガーデンカフェ(ビュッフェ)、グレートアウトドアーズ(アウトドアビュッフェ)、トップサイダーズ、ジャスミンガーデン(中華レストラン)がある。

 さらに、有料の特別レストランでは「キャグニーズ」(ステーキハウス)、「ラ・クッチーナ」(イタリアン)、「ル・ビストロ」(フレンチ)、「モデルノ」(シュラスコ)、寿司バー、鉄板焼きレストランを備える。

 なお、ルームサービスを利用して自分の船室で食事もできるが、こちらも無料だ(深夜から5時までは有料)。バー&ラウンジでもシャンパン&ワインバーにマティーニ&カクテルバー、ビール&ウイスキーバーといった種類に合わせた施設を用意している。

ステーキハウスの「キャグニーズ」は両舷一杯に広いスペースを確保して広々とした空間が特徴
両舷の前端と後端の4カ所に半個室のスペースを設けている
キャグニーズのレセプションと入り口
第12デッキ左舷後方にあるイタリアンの特別レストラン「ラ・クッチーナ」
ラ・クッチーナから続く後甲板エリアは船尾両舷一杯にアウトドアビュッフェの「グレートアウトドアーズ」は広がる
グレードアウトドアーズから右舷側を船首方向に進むとビュッフェレストラン「ガーデンカフェ」に続く
第7デッキにはデッキ2層吹き抜けの「アトリウムカフェ&バー」がある
アトリウムカフェ&バーの後方に続く左舷通路にはアートギャラリーを、右舷通路にはフォトギャラリーをそれぞれ設けている
さらにその後方には第6デッキに設けたメインダイニング「ツァーズ・パレス」にアクセスできる
第6デッキを船首方向に進むと船体中央にもう1つのメインダイニング「AZURA」に着く。こちらも両舷一杯にスペースを確保している
AZURAの前方右舷側にはビール&ウイスキーバー「モルティングス」とマティーニ&カクテルバー「シェイカーズ」が続く
さらに船中央にはシャンパン&ワインバー「マグナムズ」がある
その左舷側にあるフレンチの特別レストラン「ル・ビストロ」
ル・ビストロや各種バーの入り口にはデッキ2層吹き抜けのエントランスがあり
吹き抜けを取り囲むように第7デッキに日本酒バーと寿司バー、鉄板焼きレストラン、アジアンレストラン「CHIN CHIN」がある
さらにその前方にあるラウンジ&バー「FYZZ」
そして、第7デッキ最前部にある船内ホール「STARDUST」と続く
ノルウェージャン・ジュエルは第11デッキの最前方にブリッジがある。その左舷後方にブリッジ内部を見学できる展望室が用意されている
ブリッジ展望室には帰港した港から贈呈された盾と
命名式で使用したシャンパンボトルも展示している

「ジュエルの寄港は喜びとともに地域活性にも期待」

 横浜市港湾局による歓迎セレモニーとNCLHによる会社説明会は、第13デッキ最前方に備える「スピンネーカーラウンジ」で開かれた。デッキプランではダンスフロアを備えるラウンジと記載しているが、ステージと観客席を設けたシアターとしても利用できるスペースだ。

歓迎セレモニーとNCLH説明会を行なった「スピンネーカーラウンジ」

 横浜市港湾局港湾局長の伊東慎介氏は、「ノルウェージャン・ジュエルの横浜初入港を心から歓迎します。船体に描かれた華やかなデザインが、これから始まるクルーズの期待をより一層高めてくれると思います。貴船の寄港決定から打ち合わせを繰り返し、本日こうして迎えることができて胸が熱くなる思いです。横浜港に新たなノルウェージャンクルーズの客船を迎えることができるのは、横浜市民の喜びであり地域活性も期待できます」と歓迎の言葉を述べるとともに、「横浜は開港160年となり古いものと新しいものが混じりあった街。三渓園の古い建築が織りなす優美な雰囲気のなかで散策や開発の進んだみなとみらい地区、東洋最大の中華街など、いろいろな楽しみがあります」と寄港地としての横浜が持つ魅力を訴えた。

 ノルウェージャン・ジュエルのスヴェン・ケネス・ハーストロム船長は、「41年前に初めて横浜を訪れたときからお互いを尊敬しあい家庭的な温かい雰囲気に接して日本が大変好きになりました。船客や乗組員も日本が大好きだと言っています。本船は4月末や10月にも横浜に寄港します。そのときのはまたよろしくお願いします」と述べたうえで、「推進システムにディーゼル電気推進方式を導入し、微妙な出力制御と優れた操船性能によって小規模な港にも寄港できます。また、1日あたり2800トンの清水を作り出すことが可能です。この過程ではフィルタと生化学的手法で浄化します。加えて、2017年に導入した触媒コンバータシステムによってディーゼルエンジン排気ガスに含む有害物質の削減も実現しました」と、客船としての特徴を紹介した。

横浜市港湾局港湾局長の伊東慎介氏
スヴェン・ケネス・ハーストロム船長
横浜市港湾局から寄港を記念した盾を贈呈
ジュエルからも記念の盾が横浜市港湾局に贈られた
あわせて特製の法被と
横浜観光親善大使の榊原里江さんから花束が贈られた

 説明会では、NCLH アジア地区セールス担当バイスプレジデントのフェリックス・チャン氏が、同社の日本クルーズ市場に対する考えを説明した。そのなかでチャン氏は「アジアのなかで最も重要なのが日本。2016年2月に日本法人を設立し、幅広い日本の船客から支持されています。その理由は大きく3つ。1つはドレスコードをなくし、レストランは席と時間を自由に選べるフリースタイルコンセプトによる自由度の高いクルーズであること。2つ目は、高いレベルの食事とエンタテイメントの提供。3つ目が通常等級以外に『ザ・ヘブン』といった上級サービスを利用できる等級を用意するなど、幅広い船室を用意していること」とアピールした。加えて、2018年10月から11月にかけてシンガポールのドライドックで数百万ドルをかけた改装工事を実施することも明らかにしている。

 NCLH 日本オフィス代表ジェネラルマネージャーの川崎義則氏は、冒頭に「2016年に日本オフィスを立ち上げたときはどうなることかと思った」と述べつつも、ジュエルの日本初就航など順調に日本での業績が伸びていることを紹介したうえで、3年前の2015年から太平洋地区でもクルーズ航路の運航を開始し、日本にも繰り返し寄港して日本オフィスの事業をサポートしていることや、NCLH全体で5億2500万ドルを投資してフリート全体の活性化と内装とダイニング施設の充実によってより高いレベルで船客が満足できるように目指していることを訴求した。また、今後の建造計画として2018年に就役予定でアラスカクルーズに最適化した「ノルウェージャン・ブリス」、2019年に完成予定の「ノルウェージャン・アンコール」のほか、2025年に向けて5隻が登場予定としている。

 川崎氏は、NCLHが提供するクルーズの特徴についても紹介し、チャン氏が言及したフリースタイルコンセプトや数多くの寄港地、多彩なキャビンに加えて数々の受賞歴があるエンタテイメントや世界で唯一となるハワイ4島クルーズ、そして、アジア太平洋州に本格的に就航するジュエルが提供するクルーズプランを取り上げている。

 なお、ノルウェージャン・ジュエルの日本人向け対応については、すでにメニューと船内新聞で日本語版を発行しており、今回の航海では日本人スタッフが5人乗船していることを明らかにしている。ただし、設備なとについては日本人を想定した施設の追加予定はないとしたうえで、「日本の船客にもジュエルという船そのものを楽しんでもらいたい」と説明している。

ノルウェージャンクルーズラインホールディングス アジア地区セールス担当バイスプレジデントのフェリックス・チャン氏
ノルウェージャンクルーズラインホールディングス 日本オフィス代表ジェネラルマネージャーの川崎義則氏
代理店の株式会社クルーズプラネット代表取締役社長の小林敦氏は、同社企画による横浜港発着クルーズの新しいプランについて4月中にも発表できる見通しであることを明らかにした
ノルウェージャン・ジュエルはこの5時間後の1日20時に次の寄港地清水に向けて出港した。横浜には4月末と10月と今回を含めて2018年中に4回寄港する予定だ。その後、シンガポールに回航して改装工事に入り、2019年には初めてのシンガポール発着クルーズに就航、その後ジャワ海、オールトラリア近海と回って、2019年春に再び日本の寄港する予定としている