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セレブリティ・ミレニアム、横浜港で船内見学会を実施

2016年小改装による変更点をチェック

2018年4月15日 実施

高齢の船客からは「このぐらいのサイズが疲れにくくて迷いにくい」という理由でも人気の「セレブリティ・ミレニアム」

 ミキ・ツーリストは、4月15日に横浜大さん橋で客船「セレブリティ・ミレニアム」の船内見学会を実施した。

 セレブリティ・ミレニアムは上海と横浜を結ぶアジアクルーズを実施中で、4月14日に清水港を経由して横浜港に帰港したばかり。船内見学会のあった15日からは日本周遊クルーズに出港した。

セレブリティ・ミレニアム諸元

造船:2000年
改装:2012年
船籍:バレッタ(マルタ共和国)
総トン数:9万1000トン
全長:294m
全幅:32m
乗客定員:最大2158名(乗組員:999人)
船室数:1058室(クルーズによって変動あり)
巡航速度:24ノット(43.7km/h)

特徴的な船尾の形状。第4デッキと第5デッキの窓は2層構造のメインダイニング「METROPOLITAN RESTAURANT」を構成する
夏はアラスカクルーズに就航するセレブリティ・ミレニアムの船首には流氷を警戒するための水上警戒レーダーを備えている
こちらもセレブリティ・クルーズ所属客船であることがすぐに分かる印象的なファンネルマーク
右舷のブリッジウイングと緑色舷灯。その脇には着岸時におけるモニターカメラも確認できる
前部錨甲板の配置が見える
航空母艦の対空火器スポンソンを思わせるような第10デッキの張り出し
前部マストに設置したレーダー類は2015年当時と変わらない
同船には前部、左舷中央、後部の3カ所にエレベータホールを設けている。左舷中央は展望エレベータになっている
ファンネル後方にある後部マストの周辺には衛星テレビや衛星データ通信のためのアンテナドームが多数取り付けてある
左舷中央エレベータの反対舷は上級船室や特別レストラン、カフェにバーを配置する
上は第5デッキの「CAFE AL CACIO」で下は第4デッキの「MARTINI BAR/CRUSH」
第5デッキはボート甲板になっていて、独HATECKE製のライフボートを18隻搭載する

海外で高まる日本寄港クルーズ

 ミキ・ツーリストは、セレブリティ・ミレニアムを運航するセレブリティ・クルーズの日本総代理店を務める。そのセールス担当の岡崎洋氏によると、横浜発着のクルーズに乗船する船客のほとんどは外国人で、なかでも米国人が多いという。日本人の船客は30人ほど。この理由について岡崎氏は、セレブリティ・ミレニアムが日本に寄港する春と秋のクルーズが外国人にとても人気があることと、実施する2週間程度のクルーズでは日本人が休暇を確保するのが難しいことを挙げている。

 同船が横浜へ4月14日に帰港したクルーズは、上海から中国と日本の港を巡る15日間の行程で、続く15日出港の日本周遊クルーズも12日間をかけて4月27日に横浜港へ帰ってくる。さらに続く4月27日にはバンクーバーを目指す太平洋横断クルーズに出港する。それぞれ単独でも2週間弱かかるが、岡崎氏によると、米国人船客のなかには「上海から乗船して、そのまま日本周遊クルーズ、そして、太平洋を横断してバンクーバーに向かい、そこでようやく下船して自分の家に帰る人も少なくない」という。さらに、高齢の船客にとっては、総トン数9万トン、全長294mというサイズが「疲れにくいし迷いにくいのでちょうどよい大きさ」であることも人気が高い理由の1つに挙げている。

 こうして、長期クルーズがメインのセレブリティ・ミレニアムの日本寄港クルーズは2019年のシーズンまで海外で船室がほぼ売れてしまう状況にあると岡崎氏は説明している。ただし、2018年9月30日から予定している横浜発着「日本一周 秋の美巡りクルーズ」(横浜-清水-神戸-高知-広島-釜山-函館-青森-横浜の12泊13日)では日本人船客向けに船室を多めに確保したという。

 岡崎氏からは、セレブリティ・クルーズの客船で提供している「ドリンクパッケージ」についても説明があった。セレブリティ・クルーズでは、有料の特別レストラン以外の食事(ただし利用する船室の等級によって無料で利用できる場合もある)や船内のラウンジ、カフェでのアルコール飲料、ソフトドリンクは原則として有料で提供している。この飲料を無制限でオーダーできるのがドリンクパッケージだ。客船やクルーズプラン、利用船室の等級によって価格が異なるが1日あたり55~65ドルで販売している。

 購入する場合は乗船前のクルーズ日数分をまとめで購入することになるため、欧州クルーズのように毎日寄港するようなプランでは割高になることもあるという。「太平洋横断などの航海日が多いクルーズなら全日船内の飲食施設を利用できるのでお勧め」と岡崎氏は説明している。

 岡崎氏は、セレブリティ・ミレニアムが2019年に改装工事に入ることも明らかにした。現在、セレブリティ・クルーズでは所属している客船に対して順次改装工事を施している。同社では、主に総トン数によって所属客船を「エッジ」「ソルスティ」「ミレニアム」「エクスペディション」のクラスに分類している。

「エッジ」クラスは2018年12月に就役予定の「セレブリティ・エッジ」からになるが、ほかの客船でもエッジクラスに相当する施設を改装工事で導入していく予定としている(ただし、セレブリティ・エッジで採用する、フロアの片舷一部がエレベータのように上下に動くことで多目的に使えるエリアとなる「マジックカーペット」は増設しない予定)。

2016年「小改装」でレストランに変化あり

 2015年5月1日に横浜港で実施した同船の船内見学会を紹介している(関連記事「9万トン級のプレミアム客船『セレブリティ・ミレニアム』の船内を紹介」)。セレブリティ・クルーズの公式Webページでは改装年を2012年としているが、2016年にもパブリックスペースの一部を改装している。今回の船内見学会では、前回掲載した2015年当時と変更になった部分についても解説していく。

TUSCAN GRILLE(第3デッキ左舷中央)

 2016年の小改装で新たに有料の特別レストランとしてイタリアンステーキハウス「TUSCAN GRILLE」が登場した。船尾側には厨房をガラス越しに眺めながら食事ができるデモンストレーションキッチンを用意している。また、完全に仕切られた個室エリアも設けてあった。

TUSCAN GRILLEの個室
レセプション
すでに船客の利用が始まっていたため見学は入り口付近の座席のみだった
Qsine(第11デッキ右舷中央)

 創作料理の有料特別レストラン。第11デッキの円筒形エントランスからアクセスする。料理だけでなく、盛り付けや内装、食器など見栄えもユニークな工夫を凝らしている。オーダーは席に1台ずつ用意したiPadを使って行なう。

ユニークな仕掛けが用意した特別レストランのQsine
ロゴや照明など内装もユニーク
座席に用意したiPadからオーダーできる
メインプール(第10デッキ)&サンデッキ(第11デッキ)

 メインプールは中央のラウンジで2つのエリアに分かれる。4つあるジャグジーや中央ラウンジの形状など、セレブリティ・クルーズのキー文字「X」を意識したレイアウトを施している

メインプール
4つのジャクジーを備える
プール中央に備えたラウンジ
プールを第11デッキのサンデッキが囲む
第10デッキの左舷前方にもバーがある
サンデッキの向こうに巡視船「ぶこう」「もとぶ」が見える
サンデッキの船首よりに「MAST BAR」がある
その前方には第10デッキにある「SOLARIUM」の天窓があり
その右舷前方にある円筒形の構造物から船内に入る
その中にはLOVEのモニュメントが
COSMOS LOUNGE(第11デッキ前方)

 円筒形のエントランスから船内に入ると、第11デッキ最前部にある「COSMOS LOUNGE」にアクセスできる。なかにはバーカウンターもあるが、飲食を頼まなくても過ごすことができる。

第11デッキ最前部にある「COMOS LOUNGE」
ステージも設けている
ブリッジの2層上のあるので前方の展望がすこぶるよろしい
バーカウンターも併設している
CANYON RANCH Spa Club(第10デッキ前方)

 第10デッキの前方にはヘルスネスとフィットネスの施設が集中している。その広さは2322m2で、洋上施設としては最大級になるとセレブリティ・クルーズでは訴求している。米国の大手ヘルススパリゾート運営会社であるCANYON RANCHと連携したスパを設けており、マッサージやタラソテラピーなどを船客の要望に合わせたプログラムを体験できる。ほかにも、アロマサウナの「PERSIAN GARDEN」やプールラウンジの「SOLARIUM」がある。このうち、PERSIAN GARDENは船室等級「アクアクラス」利用者以外は有料になる。

アロマサウナの「PERSIAN GARDEN」
バラの花びらを用いたディスプレイ
壁はカラータイルの組み合わせ
アロマミストでリラックスできる
第10デッキ最前部にあるフィットネスセンター
プールラウンジ「SOLARIUM」
天窓で明るい
ジャグジーも備える
SOLARIUMを囲むデッキチェア
OCEANVIEW CAFE & GRILL(第10デッキ後方)

 第10デッキ後方はビュッフェスタイルのメインダイニング「OCEANVIEW CAFE & GRILL」が占めている。カジュアルな雰囲気で見学で訪れたときも出港前というのに多くの船客でにぎわっていた。ここには窓側席の「どこか」で床にアクリル窓を設けている。そこから下をのぞくと6層下の第4デッキと岸壁(航海中は海面が見えるだろう)を見下ろしながら食事を楽しむ(?)ことができる。

ビュッフェスタイルのメインダイニング「OCEANVIEW CAFE & GRILL」
床に設けたアクリル窓をのぞいてみた
CAFE AL CACIO(第5デッキ右舷中央)
コーヒーとともに豊富なデザートも評判のカフェ
半円形の窓で覆われた開放的で明るいエリアと落ち着いたエリアに分かれる
コーヒーは有料だが評判のデザートは無料
CELEBRITY THEATER(第5デッキ~第3デッキ前方)
客席数1100人のデッキ三層にまたがる船内劇場。シートにはテーブルを用意して飲み物を楽しみながら観劇できる
PHOTO GALLERY(第4デッキ右舷中央)

 PHOTO GALLERYは船内カメラマンが撮影した写真を現像して販売する。以前は紙焼き写真を貼り出してそこから船客が自分の写真を見つけて焼き増しを依頼したが、最近では、撮影画像をサーバに保存し、船客は自分の顔を認識させたマシンで顔認証から自分の写っている画像を表示させて探すことができるようになっている。

客船独特のサービス「PHOTO GALLERY」
今では顔認証を利用して自分が写っている写真を探せる
利用料金は出力枚数で変わる
MICHAEL'S CLUB

 MICHAEL'S CLUBはスイート等級船室を利用する船客だけが使えるラウンジ。こちらも出港前から多くの船客が訪れていた。MICHAEL'S CLUBの入り口には、客船「タイタニック」の姉妹船「オリンピック」で使っていたオリジナルの船名ボードや時鐘、特別レストランのディナーメニューに記念写真など貴重な資料を展示している。これは、セレブリティ・ミレニアムにあった特別レストラン「Olympic」にちなんでタイタニックとオリンピックを所有していた船会社のホワイトスター・ラインと吸収合併したキュナードから譲り受けていた品々だ。2016年の小改装で特別レストランとしてのOlympicはなくなってしまったが、資料は継続して展示している。

スイート等級船客専用ラウンジの「MICHARL'S CLUB」
客船「オリンピック」で使っていた時鐘
食器
ディナーメニュー
銀食器
船名ボード
オリンピックの船内写真
MARTINI BAR/CRUSH(第4デッキ右舷中央)

 カクテルバーのCRUSHは、有名建築デザイナーが手掛けたとアピールする内装もさることながら、カウンターを凍らせてグラスや飲み物を冷やす仕掛けを用意していることが船客にも評判だという。真上にあるCAFE AL CACIOと同様に、半円形のガラスに囲まれた開放的な明るいエリアと奥まった落ち着いたエリアに分かれている

カウンターを凍らせて飲み物やグラスを冷やすユニークな「MARTINI BAR/CRUSH」
RENDEZVOUS LOUNGE(第4デッキ中央)

 文字どおり待ち合わせに使うラウンジだ。この後方にあるメインダイニング「METROPOLITAN RESTAURANT」の待ち時間に利用するために用意している。中央にはステージがあってここでもショーを楽しめる。カウンターも併設しているが注文をしなくても利用可能だ。

RENDEZVOUS LOUNGE
METROPOLITAN RESTAURANT(第5~4デッキ後方)

 すべての船客が無料(一部を除き飲み物は有料)で利用できるメインダイニングで、第5デッキと第4デッキの最後方にある。朝昼晩とすべてフルコースを提供する。利用は17時45分からのメインシーティングと20時からのセカンドシーティングの2回制になっている。

メインダイニング「METROPOLITAN RESTAURANT」
2層にわたる大規模なダイニングで場所によっても雰囲気が変わる
LUMINAE(第4デッキ左舷後方)

 スイート等級船客専用の特別レストラン。メインダイニングであるMETROPOLITAN RESTAURANTの左舷に隣接している。

スイート等級専用の特別レストラン「LUMINAE」
白と金を基調にした内装
BLUE(第5デッキ左舷後方)

 アクア等級船客専用の特別レストラン。ヘルシーなメニューを提供するのが特徴。女性船客を中心にその評判が高く、現在では上の等級より先に、アクア等級の船室から埋まっていく状況にあると岡崎氏は話している。

アクア等級専用レストラン「BLUE」
こちらは名前のとおり青を基調とした内装
CELLAR MASTERS(第5デッキ右舷中央)

 ワインバーのCELLAR MASTAERSには以前、グラス単位でオーダーできるワインサーバーを設置していたが、これも2016年の小改装でなくなった。船内見学会ではグラスメーカーのRIEDELが船客に向けたワイングラスのプロモーションを実施していた。

ワインバーの「CELLAR MASTAERS」
カウンターでグラス、ボトルでワインをオーダーできる
SUSHI ON FIVE(第5デッキ左舷中央)

 以前はクレープレストランの「BISTRO ON FIVE」だったが、こちらも2016年の小改装で寿司バーの「SUSHI ON FIVE」に変更した。有料の特別レストランという位置付けで、スタッフとして日本の有名な寿司職人が乗船している。

船客の国籍構成を考えると「外国人のための寿司」となるが、日本人のベテラン寿司職人が加わるなど伝統的な寿司を提供する
読書室にインターネットルーム、そして、鍼
第9デッキと第8デッキの船中央には2層にまたがった読書室を設けている
さらにその真下になる第7デッキには鍼マッサージを利用できる「ACUPUNCTURE」がある
そして第6デッキにはインターネットが利用できる「CEREBRITY iLOUNGE」を用意している。利用料金は航海を通じて容量無制限で使えるプラン、または、24時間利用プランがある
GRAND FOYER

 セレブリティ・ミレニアムの内装で最も特徴的で壮麗なのは、やはり第3デッキから三層吹き抜けの空間にまっすぐな階段をかけた「GRAND FOYER」だろう。レセプションカウンターの真後ろにあるため、船客が乗船手続きを終えて振り返ると、この壮麗な一直線の階段を船内最初の風景として脳裏に焼き付けることになる。この風景は、2019年に予定している大改装でも変わることはないだろう。

船内見学会の限られた時間でも高齢の夫婦が手を取り合ってこの階段を上っていく姿をよく見かけたのが印象的だった。