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セレブリティクルーズ、新造船「セレブリティ・エッジ」や改装計画を紹介

「セレブリティ・ミレニアム」の2019年度日本発着クルーズも明らかに

2018年8月28日 実施

セレブリティクルーズの客船「セレブリティ・エッジ」

 ミキ・ツーリストは8月28日、セレブリティクルーズが2019年度に提供する日本発着クルーズとフライ&クルーズの概要を紹介する説明会を都内で開いた。

 この説明会では、現在艤装中で2018年12月から商業クルーズを開始する新造客船「セレブリティ・エッジ」の船内施設や現在計画が進んでいるセレブリティ所属客船の改装内容の紹介したほか、セレブリティクルーズが提供しているアラスカクルーズに関連して、写真家にして自然旅行ガイドの公的資格を持つ安藤誠氏からアラスカの旅行する人に知ってもらいたい情報や「考え方」の提案がなされた。

セレブリティクルーズは所属客船の改装を総予算5億ドルをかけて実施している

 ミキ・ツーリスト セールス&マーケティング課長の角澤裕太氏は、セレブリティクルーズの特徴として「美と健康、そして食事」を掲げ、セレブリティ・ミレミアムによる旅行代理店によるチャータークルーズや日本一周クルーズの実施など、日本発着におけるこれまでの実績や9月から実施する日本発着クルーズも満船運航と好調であることを訴求した。

 角澤氏は、セレブリティミレニアムの日本発着クルーズの船客が欧州、北米、オセアニア、ロシアがメインでブランドを評価したリピータ船客が多く、かつ、1年半前から販売を開始していることが好調の理由として挙げている。一方で、日本人向けの船室確保に問題があったと述べ、2019年には秋クルーズに実施など日本発着クルーズの配船期間を増やし、3本のクルーズを実施することで対応するとしている。

株式会社ミキ・ツーリスト セールス&マーケティング課長の角澤裕太氏
現在艤装中の同社最新客船となるセレブリティ・エッジ

セレブリティ・エッジで注目のレストラン

 ミキ・ツーリスト マーケティング・広報担当の佐々木彩乃氏からは、セレブリティ・エッジの船内施設について紹介があった。同船では、インテリアデザイナーに造船経験者ではなく、ネイト・バーカス、ケリー・ホッペンといった世界的に活躍しているインテリアデザイナーや、ホテルの外装デザインを手掛けるトム・ライトを起用するなど、これまでの客船建造とは異なるアプローチをとっている。従来の客船にはなかったアイディアやイメージを造船設計で具体化していくのはとても困難で、その解決のために、3D CGによるVRを設計作業で大幅に取り入れたことも紹介した。

 船室インテリアは白を基調とした近代的なデザインで統一するほか、最も多く用意するベランダを備えた船室では、セレブリティクルーズ所属客船で上位クラスとなる「ソルティスクラス」と比べて、客室面積が23%、バスルームも10%増やしている。

株式会社ミキ・ツーリスト マーケティング・広報担当の佐々木彩乃氏
設計作業には3D CGによるVR技術を導入した
セレブリティ・エッジで一般的な船室となるInfinite Veranda

 また、セレブリティ・エッジの右舷中央舷外に導入する長さ30mのオープンデッキ「Magic Carpet」は、第2デッキから第16デッキまで高さを変える昇降式で、その利用目的もそれぞれのデッキと時間に合わせた内容に変更できる。例えば、上層デッキでは日中はラウンジとして、夜はパフォーマンスエリアとして、レストランがある第5デッキでは100人収容のオープンテラスレストランとして、そして、最下層の第2デッキではテンダーボートに乗り降りできる桟橋として利用可能だ。

 セレブリティクルーズ所属客船で主要な要素となる飲食施設は、4つのメインダイニングに1つのスイート船客専用レストラン、7つの有料上級レストラン、5つの無料レストラン、11か所のバー&ラウンジ、そして、セレブリティクルーズで特有のヘルシー志向等級「アクア」船客専用レストラン1つをセレブリティ・エッジでは設置する。

 4つのメインダイニングはそれぞれ異なるコンセプトを用意しており、南イタリア料理を提供する「TUSCAN(トスカーナ)」(第3デッキ、座席数344席、ディナーのみ)に、フランス料理を提供する「NORMANDIE(ノルマンディ)」(第3デッキ、座席数346席、ディナーのみ)、地中海料理を提供する「CYPRUS(キプロス)」(第4デッキ、座席数342席、朝食、昼食、ディナー利用可)、多国籍料理を提供する「COSMOPOLITAN(コスモポリタン)」(第4デッキ、座席数346席、朝食、昼食、ディナー利用可)をそろえる。これらダイニングの座席予約は、伝統的な「トラディッショナルダイニング方式」(2部制で航海中同じ時間、同じテーブル、同じレストラン、同じ担当ウェーターとなる)のほかに、時間指定がなく毎晩好きなテーブルを選べる「セレクトダイニングプラス」という制度も取り入れる。

南イタリア料理を提供する「TUSCAN(トスカーナ)」
フランス料理を提供する「NORMANDIE(ノルマンディ)」
地中海料理を提供する「CYPRUS(キプロス)」
多国籍料理を提供する「COSMOPOLITAN(コスモポリタン)」
伝統的な「トラディッショナルダイニング方式」の他に
毎晩好きなレストランを時間に関係なく予約できる「セレクトダイニングプラス」を新たに導入する

 スイート等級船客専用レストランには「LUMINAE AT THE RETREAT(ルミナ アット ザ リトリート)」(第12デッキ、座席数172席、朝食、昼食、ディナー利用可)を、アクア等級船客専用レストランには「BLU(ブルー)」(第5デッキ、座席数148席、朝食、ディナー利用可)をそれぞれ用意する。また、第4デッキ後方には船尾に大きな窓を備え、パフォーマンスとともに料理を給仕する「EDEN RESTAURANT(レストラン エデン)」(第4デッキ、座席数100席、ディナーのみ)や、プロジェクションマッピングを活用して皿に投影した3Dアニメショーを料理とともに楽しめる「Le Grand Bistro(ル グラン ビストロ)」も備える。

スイート等級船客専用レストラン「LUMINAE AT THE RETREAT(ルミナ アット ザ リトリート)」
アクア等級船客専用レストラン「BLU(ブルー)」
パフォーマンスエンタテイメントレストラン「EDEN RESTAURANT(レストラン エデン)」
ロジェクションマッピングを活用してレストランはセレブリティ・ミレニアムでも「QSINE」で提供する予定だ

「セレブリティ・ミレニアム」はどう変わるのか

 佐々木氏は、セレブリティクルーズで現在進んでいる所属客船改装プロジェクト「THE CELEBRITY REVOLUTION」についても紹介した。このプロジェクトは、2019年から2023年にかけて同社所属客船のうち、ソリティスクラスとミドルレンジ「ミレニアムクラス」を改装する計画だ。佐々木氏からは、日本発着クルーズに配船される機会の多い「セレブリティ・ミレニアム」を例に、特別等級船室や一般的なベランダ付き船室、メインダイニングにバー&ラウンジといったパブリックスペースにおける新しいデザイン案が紹介された。

 それによると、セレブリティ・ミレニアムでは木部を主体とした落ち着いたクラシックなキャビンの内装がほかのセレブリティクルーズ所属客船と異なる特徴とされてきたが、今回の改装によって、セレブリティ・エッジと共通する「白を基調とした現代的な内装デザイン」で統一することになる。ただし、同船の「顔」ともいえる第3デッキから3層吹き抜けの空間にまっすぐな階段をかけた「GRAND FOYER」など一部の施設は現状のままとなる予定だ。

セレブリティ・ミレニアム船内の改装前(写真左)と改装後(写真右)を並べてみた。従来のウッドな落ち着いた感じから白基調の現代的なデザインに変更する

改装なったセレブリティ・ミレニアムの2019年日本発着クルーズは

 セレブリティ・ミレニアムは間もなく2018年シーズンのクルーズを終了して改装工事に入る。この改装工事が終了するのが2019年2月の予定で、その後、4月と10月に日本発着のクルーズに4回就航する。春は4月13日から26日までの横浜発着13泊14日のクルーズで、清水、神戸、高知、広島、済州島、釜山、函館、青森に寄港する。料金は最も安いスタンダード内側が2名1室利用時で1人27万円から。秋は、次の3回を予定している。すべて横浜発着の航海だ。なお、価格はスタンダード内側2名1室利用時の1人あたりの場合で、寄港料、船内チップなど別途かかる費用がある。

2019年9月22日~10月2日の10泊11日

寄港地:広島、北九州、釜山、舞鶴、金沢、秋田、青森
料金:19万8000円~(スタンダード内側2名1室利用時の1人あたり)

2019年10月2日~10月11日の9泊10日

寄港地:清水、大阪、福岡、釜山、青森
料金:18万8000円~(スタンダード内側2名1室利用時の1人あたり)

2019年11月9日~11月14日の13泊14日

寄港地:清水、神戸、高知、広島、鹿児島、福岡、釜山、函館、青森
料金:27万円~(スタンダード内側2名1室利用時の1人あたり)

 長期休暇の取得が難しい日本人船客を考慮して、横浜発着以外に広島、北九州、釜山での乗船と釜山、秋田、青森での下船も可能になった。

 このほか、日本からフライ&クルーズで利用できるセレブリティクルーズのプランについて、ミキ・ツーリスト 営業担当の谷中保洋氏から説明があった。谷中氏は、ソルスティスクラスの「セレブリティ・イクノス」とミレニアムクラスの「セレブリティ・サミット」「セレブリティ・ミレニアム」の改装が終わって、それぞれのクラス合わせて9隻の就航、改装後10年未満船がそろうことと、探検航海向けのガラパゴスクルーズで新造船の「セレブリティ・フローラ」が2019年5月に就航することを紹介。そのうえで、セレブリティクルーズが利用する寄港地の特徴として、メガ客船では入港できない中規模港も含めた300か所の港に寄港することと、停泊日数の多さ(20か所の寄港地では3泊以上する)を訴求した。なお、セレブリティ・エッジの欧州就航に伴って、セレブリティクルーズとして新たにナフプリオン(ギリシャ)、リエカ(クロアチア)、サンタマルゲリータ(イタリア)に寄港することも明らかにしている。

 セレブリティ・ミレニアムは、春と秋の日本発着の間となる5月から8月まではアラスカクルーズに就航する。これに関連して、安藤誠氏が、アラスカクルーズをより充実したものにするために必要なことを紹介した。「アラスカの魅力は氷河とオーロラだけじゃない。その1万倍もの魅力がある。しかし日本にはまったく伝わっていない」と語る安藤氏は、アラスカを旅する価値として、豊富な種類を擁し、陸路ではアクセスできない洋上や海に面した絶壁に生息する野生の鳥類や海生動物を自分で見ることができること、そして、アラスカ西海岸に伝わる先住民族の文化や歴史、そして彼らに触れることを挙げている。

「知らない船客は、アラスカの価値に気が付かないで通り過ぎるだけ。豪華な食事やショーで楽しませるだけではアラスカの価値は分からない。氷河が海に落ちるのを見ることができます、という訴求だけでは1回見たらもう来ない。アラスカの野生動物や先住民の文化の豊かさを体験できるクルーズなら、みんな何度もアラスカクルーズに行きたくてしょうがなくなるはず」と安藤氏は語った。

株式会社ミキ・ツーリスト 営業担当の谷中保洋氏
写真家にして自然旅行ガイドの公的資格を持つ安藤誠氏