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ドリームクルーズ、同社2隻目となる新造船「ワールド ドリーム」を香港で公開

全長8.44mの“超ド級”レゴモデルも

2017年11月16~17日 実施

ドリームクルーズは、新造2番船「ワールド ドリーム」を香港起点航路でデビュー

 東南アジア海域でクルーズを提供しているドリームクルーズは、11月19日から客船「ワールド ドリーム」を、香港を起点とするクルーズ航路に配船した。同社にとって2隻目の新造客船で、2016年11月に就航した「ゲンティン ドリーム」と同クラスの“2番船”となる。造船を手掛けた独マイヤー・ヴェルフトから、ワールド ドリームなど複数のクルーズ会社を配下に納めるグループ企業本社のゲンティン香港に、10月31日に引き渡された。

 ワールド ドリームの就役に伴い、ゲンティン ドリームはこれまでの香港航路から、シンガポールを起点にベトナムやインドネシア海域を巡航する航路に異動する。ドリームクルーズは、11月16日にゲンティン ドリームのシンガポール起点クルーズの就航を記念した式典を、マリーナベイ・クルーズセンター・シンガポールに接岸したゲンティン ドリームで、翌日の11月17日には、ワールド ドリームの命名式と香港起点クルーズ就航を記念した式典を、香港のカイタック・クルーズターミナルに接岸したワールド ドリームで、それぞれ開催した。

 この記事では、ドリームクルーズが実施した取材ツアーに参加し、両船で実施した関係者向けの船内公開から、外観的な特徴と上級船室について紹介するとともに、香港のカイタック・クルーズターミナルに登場した「もう1隻のワールド ドリーム」を取り上げる。式典や関係者向け視察航海については別記事で紹介する予定だ。

気になるハイエンドキャビンをつぶさにチェック

 ワールド ドリームの姉妹船となるゲンティン ワールドについては、就航にあたって実施した関係者向けの視察航海をトラベル Watchで紹介している(関連記事「アジア初のプレミアム客船「ゲンティン ドリーム」で巡る2泊3日の香港ウィークエンドクルーズ(1日目)」など)が、改めて同級のスペックについて確認しておく。なお、一部データについてはマイヤー・ヴェルフトのWebページを参考にしている。

ワールド ドリーム

総トン数:15万695トン
全長:335m
全幅:40m
デッキ数:18
客室数:1686室
乗客定員数:3376名
乗員数:2030名(マイヤー・ヴェルフトWebページより)
就航日:2017年11月17日
建造:マイヤー・ヴェルフト

ゲンティン ドリーム

総トン数:15万695トン
全長:335m
全幅:40m
デッキ数:18
客室数:1674室
乗客定員数:3352名
乗組員数:2016名
就航日:2016年11月13日
※ゲンティン ドリームの総トン数は就航当時は15万1300トンとされていたが、現在の公式デッキプランでは15万695トンとなっている

シンガポールに停泊する「ゲンティン ドリーム」
「ワールド ドリーム」(ドリームクルーズ公式資料より)

 姉妹船だけあって、1番船のゲンティン ドリームと2番船のワールド ドリームの仕様や船容はほぼ共通する。ドリームクルーズによると、船室等級の種類、船室総数に両船で違いはないが、専用パブリックスペースが使える上級船室の数(ゲンティン ドリームが142室、ワールド ドリームで154室)や、船内における船室配置、パブリックスペースに用意したレストランやバー、ラウンジなどの内容に違いがあるという。

舷側に並ぶテンダーボートやライフボート
香港のカイタック・クルーズターミナルから窓越しに臨むワールド ドリームのハルペイント
ワールド ドリームの第16デッキに設けたメインプールと、そのまわりを取り囲む第17デッキのサンデッキ
メインプールの後方にあるキッズウォーターパークとファンネルを取り囲むように配置したウォータースライダー
第18デッキ前部にあるDream Palace専用のプール

 両船で用意している船室等級は以下のとおりだ。

Garden Penthouse:224m2、最大6名
Dream Excutive Suite:56m2、最大4名
Dream Deluxe Suite:41m2、最大4名
Dream Suite:37m2、最大4名
Palace Suite:37m2、最大4名
Balcony Deluxe:22m2、最大3~4名
Balcony:20m2、最大3~4名
Oceanview:16m2、最大2~4名
Inside:13m2、最大2~4名
※Dream Suite、Balcony Deluxe、Balcony、Oceanview、Insideには車椅子対応キャビンもある

 Garden PenthouseからDream Excutive Suite、Dream Deluxe Suite、Dream Suite、Palace Suiteまでは、専用パブリックスペースと専属の客室担当スタッフ(バトラー)を用意した「Dream Palace」を利用できる上級船室だ。Dream Palaceでは、専用プールやジャクジーがあるオープンスペースや、専用ラウンジとレストランを備えた「ゲンティンクラブ」を提供している。

Garden Penthouse

 ゲンティン ドリーム、ワールド ドリームともに1隻につき2部屋だけ備える最上等級の船室だ。寝室は2部屋で、1つはキングサイズベッドを備えた広いスペース。もう1つはクイーンサイズベッドを用意した2部屋を備える。8脚の椅子が囲む大きなテーブルを備えた広いリビングエリアにはグランドピアノ(ヤマハのコンパクトモデル「GB1K」)が置いてあるだけでなく、カウンターを備えたバーエリアも用意してある。

 リビングからはオープンテラスにアクセスできる。ここにはジェットバスとサウナ、6脚の肘掛椅子とセットの丸テーブルを配置しているほか、らせん階段から上層デッキプライベートオープンテラスに上がれる。Garden Penthouseのベランダ床面積は合わせて40m2。なお、ここから、Dream Palace専用のジャクジーを備えたラウンジにアクセス可能だ。

ゲンティン ドリームのGarden Penthouse。奥にカウンターバーも見える
ヤマハ製グランドピアノのコンパクトモデルもある
カウンターバー
リビングから外に出るとジャグジー付きオープンテラスがある
らせん階段を上がると“屋上”テラスにアクセスできる
屋上テラスから見下ろす
屋上テラスからマストに搭載した舶用機器や掲揚した信号旗を確認できる
さらにここからDream Palace乗客だけが利用できるエリアにアクセス可能だ
バスルーム
ベッドルーム。“タオルアート”はメイキングスタッフごとに作るものが異なるという
ベッドサイドのiPadは取り外し可能だが使えるのはGarden Penthouseの中だけ

Palace Suite

 Dream Palaceを利用できる等級のなかでは価格を抑えた船室となる。リビングと寝室が一体になっているが、カーテンで仕切ることができる。デスクと鏡台は中央で仕切る工夫で同時に利用でき、シャワー付き浴槽とは別にシャワーエリアを設けている。バルコニーの広さも5m2確保する。

ワールド ドリームのPalace Suiteを玄関から見る。ドアを開けたこの光景はいくつになってもドキドキする
入ってすぐ右に鏡台とミニバー、クローゼット、バスルームにつながるエリアになる。ここはカーテンで仕切ることができる
クローゼットには2段の引き出しを備え、ラインドリーバックとブラシを用意
バスローブはFRETTE
トイレにシャワーエリア、そして、浴槽
ベッドはクイーンサイズ。カーテンでリビングと仕切ることも可能
ソファーはベッドとしても利用できる
LG製液晶ディスプレイのサイズは49型
バルコニーチェアは籐製で湿気の多い洋上でも座り心地がよい
机の中央を鏡で仕切ることで、デスクと鏡台を同時に利用できる
ミニバーには“脚が高い”グラスやエスプレッソマシン、マシン用のカプセルも備える

“総ブロック数250万ピース”の精巧なレゴモデルも公開

 新造したワールド ドリームの就役と香港を起点とするクルージング航路への就航を記念して、ワールド ドリームのレゴモデルが製作された。ゲンティンクルーズラインは、世界中の客船愛好家に対して製作作業への参加を呼び掛ける「#TogetherWeBuildDreams」キャンペーンを立ち上げ、その呼びかけに賛同した1000人以上の船客とともに、中国圏で初めてLEGO認定プロフェッショナルとなったアンディ・ハン氏を中心とする製作チームが「建造」した。その2カ月にわたる製作期間に組み込んだピースの数は、実に250万ブロックに達したという。

 このレゴモデルは、11月15日に香港国際客船ターミナル「カイタック・クルーズターミナル」で開催した披露式典において、主賓が最後のブロックを載せて完成したのち、11月19日から同ターミナルの2階Bホールで一般に公開している。

ワールド ドリームの「レゴモデル」
ワールドクルーズ所属客船の特徴といえるハルペイントも再現した
人と比べるとレゴブロックの“大きさ”が分かる
ハルペイントをデザインしたジャッキー・ツアイ氏

 その全長は8.44mで幅が1.33m、高さが1.53m、重さは2800kg。ぐっと鋭く斜め上にせり出したバウラインに、なだらかに傾斜させた緩やかなステムラインと広くとったスターンステップや、上部構造物の前傾した前面やバルコニー付きキャビンが9段にわたって前部から後部まで(上部3層は中央から後部だけ、または前部だけの配置になる)びっしりと並ぶキャビンデッキ。

 そして、中心部分が前に突出しているブリッジなど船体構造の特徴や、中央最上甲板に集中して配置したドームアンテナ群、ファンネルのまわりを取り囲むように流れる5基のウォータースライダーと、その後部にあるアスレチックコース「ロープコース」を構成するロープと鉄骨の組み合わせなど、上部構造も細かく再現している。

船尾のなだらかな傾斜と広大なスターンステップ
搭載するテンダーボート
ライフボートには舷側にロープを装着
第16デッキに設けたメインプールやキッズウォーターパークとそのまわりを囲む第17デッキのサンデッキ、ファンネルを取り巻くように配置したウォータースライダーでも多くの人たちが楽しんでいる

 さらに、同クラスで1番船のゲンティン ドリーム同様に、ワールド ドリームでもバウからスターンまで舷側部一面にハルグラフィックスを描いているが、構図、色彩ともにレゴモデルでも同様に“描いて”ある。船名の「World Dream」とその中国語表記の「世界夢号」、社名の「DREAM CRUISES」とアルファベットの「D」と人魚の姿を組み合わせたカンパニーロゴも、厚さの異なるブロックを組み合わせて微妙な曲線を巧みに作り上げている。社名とカンパニーロゴはカンパニーカラーのブルーのブロックを使っている。

船名、社名、そしてファンネルマークまでそれっぽく

 キャビンのベランダやデッキに設けたプールサイドなどには、チェアやロゴフィギュアを配置して、船旅で楽しむ乗客の雰囲気をうかがえる。また、計器類や操船関連装置なども再現したブリッジ内部には、こちらもレゴフィギュアを並べている。さらに、広大なレゴモデルをつぶさに眺めていくと、ゲンティン ドリームに引き続いてワールド ドリームでもキーキャラクターとなる「宇宙飛行士」と「人魚」のレゴフィギュアが“さりげなく”隠れているなど、じっくりと時間をかけて「船内ツアー」をしたくなるような仕掛けも用意されていた。

バルコニー付き船室では乗客が思い思いに過ごしている
ブリッジは中央の突出部を忠実に再現
ブリッジのウィングから内部を覗くと、中からもこちらを見ている船員が
ブリッジには操船関係機器と当直員の姿が見える
キーキャラクターの人魚
キーキャラクターの宇宙飛行士を探せ
前甲板クルー休憩エリアにも人魚が