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ゲンティン香港、2017年7月就航の大阪・横浜~上海クルーズを発表
7万トンクラスの客船「スーパースター ヴァーゴ」で日本各地と上海を巡る7泊8日
2017年2月24日 19:24
- 2017年2月14日 実施
香港と広州を母港にクルーズ船の運航を行なうゲンティン香港は2月21日、2017年7月から7万トンクラスの「スーパースター ヴァーゴ」による大阪・横浜発着、清水、大阪、鹿児島、上海を巡る新航路に就航すると発表した。また、併せて香港と広州の2都市を母港とする15万トンクラスの「ゲンティン ドリーム」が2017年に4月2日から沖縄と宮古島へ寄港することも発表した。
「スーパースター ヴァーゴ」が2017年7月から11月まで大阪・横浜から毎週出港
ゲンティン香港は、「スタークルーズ」「ドリームクルーズ」「クリスタル・クルーズ」などを傘下に持つクルーズ関連事業を手がける企業。アジアを中心に10カ国・12の母港と35の寄港地をカバーするクルーズライン網を運航している。
なかでもスタークルーズは、7万トンクラスの「スーパースター ヴァーゴ」や5万トンクラスの「スーパースター ジェミナイ」「スーパースター アクエリアス」など合計6隻を運航。このうちの旗艦船である「スーパースター ヴァーゴ」が2017年7月8日発から11月18日発まで日本に配船され、大阪と横浜を母港に日本各地と上海を訪れる7泊8日の旅程を運航する。
大阪が土曜日発、横浜発が日曜日発となるため平日5日間の休暇でフルに日程が楽しめるのが利点。また、7泊8日としては寄港地も多く、人気の大阪では朝10時入港、夜20時出港とたっぷり時間が取られているため、京都や神戸など周辺まで足を伸ばしやすい点が特徴。
スーパースター ヴァーゴ
総トン数:7万5338トン
全長:268m
全幅:32m
客室数:935部屋
最大乗客定員:1870名
航海速力:24ノット(最大速力25.5ノット)
建造:1999年、マイヤー・ヴェルフト(ドイツ)
大阪発着
・7泊8日クルーズ出発日:7月8日/15日/22日/29日、8月5日/12日/19日/26日、9月2日/9日/16日/23日/30日、10月7日/14日/21日/28日
・旅程:土曜日20時発 ~横浜~清水(富士山)~鹿児島~終日航海~上海(中国)~終日航海~大阪入港(土曜日10時)
横浜発着
・7泊8日クルーズ出発日:7月9日/16日/23日/30日、8月6日/13日/20日/27日、9月3日/10日/17日、24日、10月1日、8日、15日、22日、29日
・旅程:日曜日23時59分発 ~清水(富士山)~鹿児島~終日航海~上海(中国)~終日航海~大阪~横浜入港(日曜日15時)
15万トンクラスのプレミアム船「ゲンティン ドリーム」が2017年4月から那覇・宮古島へ寄港
一方、スタークルーズ同様ゲンティン香港の子会社であるドリームクルーズが第1船として2016年11月に運航を開始した「ゲンティン ドリーム」は、2017年4月2日~10月8日まで5泊6日の香港発着クルーズに就航し、那覇、宮古島に寄港する。
旅程は、日曜日に香港を出港し、終日航海後に火曜日17時に那覇に入港。翌1時に出港し、水曜日11時に宮古島に入港、21時に出港。再び終日航海のあと、金曜日18時に香港に戻る(時刻は現地時間)。
ゲンティン ドリームは2016年11月に就航した新しい客船で、前述のスーパースター ヴァーゴの約2倍となる約15万トンのプレミアム客船。すでに就航している香港を母港としたクルーズでは、3カ月間だけで300人ほどの日本人も利用しているとのこと。ドリームクルーズでは、ゲンティン ドリームと同規模の姉妹船「ワールド ドリーム」を造船中で、2017年11月に就航を予定している。
ゲンティン ドリーム
総トン数:15万1300トン
全長:335m
全幅:40m
デッキ数:18
客室数:1674室
乗客定員:3352人
乗組員数:2016人
完成日:2016年10月12日、マイヤー・ヴェルフト社(ドイツ)
海外旅行の選択肢としてクルーズを提供、来日客数の増加にも期待
発表会では、スタークルーズ社長のアン・ムー・リム氏から大阪・横浜発着の新航路を発表。「ゲンティン香港は日本マーケットを重要な市場として捉えている。年間1560万人の日本人が海外旅行へでかけているが、その選択肢の一つとしてクルーズの旅を提供したい。旗艦船のスーパースター ヴァーゴの日本への配船は日本市場を重視するコミットメントを表すもの。ゆったりと船旅で人気の都市を訪れることができるのがクルーズ船のよさ。さまざまな文化に触れてもらい、寄港地での観光を楽しんでほしい。
また、4月からはゲンティン ドリームによる那覇・宮古島への寄港も実現した。美しい海、魅力的な文化は今年の夏、人気の旅行先になるはず。アジアの美しさ、多様性を楽しんでもらいたい。
さらにゲンティン ドリームは12月2日からシンガポールを母港する新航路も開始する。ゲンティン ドリームそのものが統合型リゾートとしてアジアマーケット向けに作られたもの。ぜひ一度体験して、アジアのおもてなしを楽しんでほしい。」とコメントした。
続いて国土交通省 大臣官房技術参事官(港湾局担当)津田修一氏より挨拶があり「わが国に寄港するクルーズ船での来日数は、2016年は前年度比78.5%増の199万2000人に達し、急増している。政府としても2020年までに訪日クルーズ船観光客数を500万人とする目標に向けて現在クルーズ船の受け入れ環境を全国で整えている。そのなかで2つの新航路の発表があったのはうれしいこと。特に、クルーズ船の寄港地が西日本に集中する傾向にあるなか、スーパースター ヴァーゴが横浜に寄港するのはうれしい限り。ゲンティン ドリームの寄港にも期待している。国土交通省としては、クルーズ船社と連携しながら受け入れの拡大を目指している。特にゲンティン香港が静岡県の清水港や、沖縄県の本部港(もとぶこう)に関わり、さらなる展開を図ることに期待している。日本を中心とした北東アジア地域が、カリブ海に匹敵するような世界的な市場になるよう、引き続きクルーズ船社と連携してクルーズ船の受け入れ環境を整えていきたい」と話した。
また、今回寄港地となった清水を代表し、静岡県副知事 難波喬司(たかし)氏から「国土交通省により整備された、官民連携の新しいしくみを利用して、ゲンティン香港が清水港を選んでくれたことに感謝している。静岡県は、静岡市、民間が参加して、清水港客船誘致委員会により活動しているが、今回まさにドリームのような寄港が実現し本当に喜んでいる。静岡に来ていただいたお客さまには決して失望させない。富士山が出迎え、“世界で最も美しい湾クラブ”に参加している駿河湾、食の魅力も備えている。十分楽しんでもらえてもらえるはず。ゲンティン香港のイノベーティブなサービスが大成功することを静岡県としても全面的に協力していきたい」と、寄港への熱い期待が語られた。
充実した食と施設、日本の文化を再認識できるようなプログラムを提供
続いてゲンティン香港 日本オフィス代表 山本有助氏より、スタークルーズの概要や新航路についての詳細、スーパースター ヴァーゴの充実した施設やグルメ、プログラムについて解説が行なわれた。
日本人に向けては「バルコニー」と「オーシャンビュー」を中心に旅行会社を通じて販売。1室につき3万円の早期割引が設定される。3人目・4人目料金は大人1名料金の50%。
特に日本料理、中華料理、インド料理などのアジア料理の美味しさが自慢とのことで、無料レストランで1日6食まで食べられるほか、有料レストランも設置。ファミリーで楽しめるスライダー付きプールや、「Beat Ship」と呼ぶフェス会場でのイベントもあり、若者も楽しめるプログラムも充実させるという。
また、ゲストを招いての講演会、日本の文化を再認識できるようなプログラム、マジックショーやコンサートなどエンターテインメントを計画しているとのこと。日本人向けサービスとして、寄港地自慢の食べ物を無料で提供したり、寄港地の名産品を船内で買い物したりできるようにし、アメニティーにもスイートではロクシタンを使用するなど、こだわりの品を用意するとのこと。
最後に今回、スーパースター ヴァーゴの大阪・横浜発着の新航路の就航にあたり、アンバサダーとしてクルーズライターの吉田あやこ氏が就任したことを発表。現在ドックにて改修中のスーパースター ヴァーゴの改良点などのアドバイスを行なうほか、実際に就航後は1回目・2回目の14日間の航海に乗船し、日本人の乗客のサポートも行なうとのこと。
同社の17年ぶりの再挑戦、日本の顧客向けサービスを拡充
プレゼンテーションのあとの質疑応答ではゲンティン香港の役員が回答した。「スタークルーズとしては、17年前にスーパースタートーラスで就航し、撤退して以来の復活となるが」という質問については、「日本市場はこれまでも注視してきた。(2.5万トンのスーパースタートーラスに比べて)スーパースター ヴァーゴは大型で、今回はより満足いただけると思う。今回の新航路を成功させ、将来的にはより大型のゲンティン ドリームや新造船のワールド ドリームによる日本発着路線も検討していきたい」(スタークルーズ社長アン・ムー・リム氏)
「ゲンティン香港は世界中に20カ所に拠点を持ち、中国と日本以外の国も視野に入れている。クルージングは国際的に人気があるので、その環境作りを今後も行なっていきたい」(ドリームクルーズ&スタークルーズ営業上級副社長 マイケル・ゴー氏)
「われわれはさまざまなパートナー企業と協力してゲストがワクワクするような商品作りを行なってきた。そういう意味ではフライト&クルーズも重要だと考えている。20カ所のオフィスを拠点としてその開拓を進めていきたい」(ドリームクルーズ社長 サッチャー・ブラウン氏)
「私が22年前にスタークルーズを創業した当時とは違い、今は200万人の中国人がクルーズで旅行し、爆買いする時代になっている。しかし4泊~5泊の旅程ではどうしても中国から近い九州への寄港が中心になる。今回は7泊8日で横浜や清水まで行き、日本の中心、必見の場所を見てまわれるのがポイント。日本の顧客にも“退職後の楽しみ”というイメージを離れ、もっと若い人にも船旅を楽しんでほしい。
ほかにも吉田あやこさんのアドバイスを反映させたり、日本人向けラウンジの設置を行なったりするなど船の改修も進めている。実際のクルーズでは、40人の日本語通訳が乗船し、24時間対応する。乗客20人につき1名が対応するので安心して利用してほしい」(ゲンティン香港顧問 コーリン・アウ氏)とそれぞれコメントした。
ゲンティン香港では、10年後には20万トン級の船を地中海やアラスカに就航も計画しているとのこと。日本語通訳やサービスに力を入れ、いずれ日本の顧客のファーストチョイスになりたい、と語った。