旅レポ
アジア初のプレミアム客船「ゲンティン ドリーム」で巡る2泊3日の香港ウィークエンドクルーズ(1日目)
乗船からディナー、ショーまで深夜までにぎやかな船内
2017年5月22日 00:00
- 2017年4月7日~9日 実施
香港とシンガポールを母港にクルーズを運航しているドリームクルーズは、同社のプレミアム船「ゲンティン ドリーム」による「ゲンティン ドリーム ウィークエンドクルーズ」のプレスツアーを実施した。その様子をレポートする。
ドリームクルーズは、「スタークルーズ」や「クリスタル・クルーズ」など複数のクルーズブランドを傘下に持つゲンティン香港のクルーズライン。なかでもスタークルーズは7万トンクラスの「スーパースター ヴァーゴ」で、7月から11月までの大阪・横浜発クルーズを実施予定で、よしもとクリエイティブ・エージェンシーとの提携でも話題を集めている。
ドリームクルーズは2016年11月に就航した新造船「ゲンティン ドリーム」による運航を実施しており、2017年11月には姉妹船となる「ワールド ドリーム」の就航も予定している。「ゲンティン ドリーム」は3月~10月までは香港発着で運航され、12月~2018年4月まではシンガポール発着で運航を予定している。
ゲンティン ドリーム
総トン数:15万1300トン
全長:335m
全幅:40m
デッキ数:18
客室数:1674室
乗客定員数:3352名
乗組員数:2016名
就航日:2016年11月13日
建造:マイヤー・ヴェルフト社(ドイツ)
今回のプレスツアーで乗船したコースは、3月31日から10月13日まで「香港 ウィークエンドクルーズ」として運航されているもので、金曜夜に出港し、翌日は終日航海。日曜の朝入港するという、まさに船内を楽しむための2泊3日の手軽なツアーだ。日本からは香港までの飛行機と組み合わせたフライ&クルーズでの利用になり、航空券を含め成田発で7万円程度から利用できる。
ちなみにゲンティン ドリームでは4月2日から10月8日まで香港発着の「沖縄クルーズ」も実施しており、こちらは(4月9日と6月4日を除く)毎週日曜の12時に香港を出港し、火曜に那覇、水曜に宮古島に寄港し、金曜の18時に香港へ入港する。
香港 ウィークエンドクルーズ
金曜:香港 21時30分出港
土曜:終日航海
日曜:香港 8時入港
出航日:2017年3月31日~10月13日までの毎週金曜
船内通貨:香港ドル
プレスツアーでは、10時50分成田発、14時40分香港着のキャセイパシフィック航空を利用した。16時30分ごろ空港からチャーターバスでカイタック(啓徳)クルーズターミナルに向かったが、このときの所要時間は約1時間。個人で向かうときは香港エアポートエクスプレスでカオルーン駅まで乗り、そこからタクシーで100香港ドル(約1400円、1香港ドル=約14円換算)ほど。ただし空港からでも300香港ドル(約4200円)なので、4人なら香港国際空港から直接タクシーで向かう方が便利だそうだ。
カイタッククルーズターミナルは、これから乗船する3300人以上が集合するとあって混雑していた。乗船手続き時にアクセスカードを受け取り、カジノ以外の船内での精算は以後すべてこのカードで行なう。イミグレーションを通り、船内には20時30分ごろ乗船。そのまま部屋へと向かった。
窓側が全体の7割、設備が充実した広めの客室
宿泊した部屋は、バルコニー付きの「バルコニーステートルーム」。約20m2の広さに余裕がある作り。ベッドはクイーンベッド1台で2名の利用。ソファベッドもあり、3人~4人での利用もできる。このバルコニーステートルームは全体で814室、もう一回り大きい約30m2のバルコニーデラックスステートルームも232室ある。ほかのタイプの客数は、「ガーデン ペントハウス」が2室、「スイート」が140室、バルコニーはないが窓のある「オーシャンビューステートルーム」が84室、窓のない「インサイドステートルーム」が402室。
バルコニーステートルームは天井も高く広々感じる部屋で、2016年11月に就航したばかりだけあって設備も真新しく水回りも快適。やや堅めの高級感のあるベッドで寝心地もとてもよい。シャンプーやボディーシャンプー、歯ブラシなどのアメニティ類や、スリッパやバスローブなども一式揃っている。電話、セキュリティボックス、湯沸かし器、コーヒーや紅茶のスティックも毎日補充される。
部屋に設置されているデスクも十分な広さ。卓上にはコンセントが2口。BFタイプとOCタイプが一つずつあり、日本のAタイプではないので変換プラグの持参が必要だ。どちらも220Vなので電子機器を利用する際は対応範囲に注意。ちなみに、ベッドの枕元にUSBポートがあるのでスマホの充電はケーブルさえあれば変換プラグは必要ない。
船内はWi-Fiが充実していて、船内用のアプリでスケジュールの確認や予約が必要なイベントの申し込みを行なえるほか、乗客同士でメッセージのやりとりができる。また、インターネットに接続する場合は2台まで接続可能で、1泊あたり速度・普通が128香港ドル(約1792円)、速度・高速が168香港ドル(約2352円)。乗船中を通して使えるフルクルーズで速度・普通256香港ドル(約3584円)、速度・高速336香港ドル(約4704円)のパッケージもあった。船に乗っている間、メールやFacebook、LINEを自由に使える便利さは想像以上。プライベートで乗る場合もフルクルーズで利用しようと強く思わされた。
部屋に設置された大型のテレビでは、施設やレストラン、イベントのタイムテーブルなど船内のさまざまな情報を参照できる。言語は英語表示が選択可能。ちなみに客室内は禁煙だが、客室バルコニーやオープンデッキ、バーの灰皿がある場所では喫煙できる。
出港は21時30分の予定で、まだ船は出港していない。まずは、有料レストラン「ビストロ by マーク・ベスト」へ向かった。
モダンオーストラリア料理「ビストロ by マーク・ベスト」
ゲンティン ドリームの食はかなり充実している。クルーズ代金には1日6食が含まれ、無料レストランは2カ所。「リド」でのビュッフェが利用できるほか、ディナーは部屋ごとに指定された時間に「ドリームダイニングルーム」が利用できる。それ以外にもツアー中は中華料理や日本食、火鍋など9カ所の有料レストランやフードコート、7カ所のバーやラウンジがオープンしていた。
この日ツアーで指定された夕食は有料レストランの「ビストロ by マーク・ベスト」。オーストラリア人シェフのマーク・ベスト氏が手がける洋上初のレストランで、エイジングビーフのステーキなどアジアと西洋を融合したモダンオーストラリア料理が提供される。ワインもオーストラリアを中心にラインアップが充実していた。ランチとディナーの提供があり、セットメニュー(288~668香港ドル、約4032~9352円)のほかアラカルトも選択できる。
ビストロの屋外デッキからは、出港時に香港の夜景を見られる。2日目は終日航海で、3日目の帰港は朝なので、航海中に夜景が見られるのはこのタイミングのみ。食事中に21時30分の出港時間を過ぎ、華やかな夜景を見るために多くの乗客がデッキに出て見とれていた。
ディナーで用意されたメニューは、パン、「ローストパンプキンスープ」「マスの前菜」「ビーフステーキ」「ライスミルクプリン」のセット。味の濃いチーズやハーブが入ったパンや、ホースラディッシュが使われたソースが添えられたマスのマリネはワインによく合った。
パンプキンスープは深いしっかりした味で、ソースでアジア風のアクセントが付けられ、柔らかい赤身肉のビーフステーキはグレービーソースでしっかり楽しめる。デザートのミルクプリンはティラミス風でステーキのあとの締めにぴったりだった。
見応えあるダンスと歌のプロダクションショー「Rhythm Divine」
船内にはいろいろなコーナーでプロの歌手によるショーやバンドの生演奏などが行なわれている。吹き抜けスペースにある「バー360」では英語の曲、「ロビーバー」では中国語の曲が多いようだ。「パームコート」では上海音楽も演奏されるそうで、あちこちでショーが行なわれている。通路にはマスコットキャラクターが練り歩いていたり、季節に合わせたイベントが行なわれていたり、とにかくにぎやかだ。
食事後、「Rhythm Divine」を観賞。メインのショーは客席999席の「ゾディアックシアター」で行なわれる。イタリアや東欧などの社交ダンスのチャンピオンたちが登場するダンスと歌のショーで、背面の大型スクリーンもうまく使われた幻想的なステージだ。約45分間たっぷり観賞でき、非常に見応えのあるステージだった。
このゾディアックシアターでは一晩で何種類かのショーが実施され、この日はタレントオーディション番組の中国版「China's Got Talent」も公演された。「China's Got Talent」では実際に船内のアプリ「Dream App」を使って観客が投票できるシステムになっている。
カジノやクラブ、スパやバーなど“プレミアムな体験”を意識した施設が充実
「Rhythm Divine」は23時からのスタートで、終了時には日付が変わりそうな時間帯だったが、館内はまだまだ人であふれていて熱気があった。クルーズの旅は朝が早く、意外と夜は早く静まりかえる場合も多いが、ゲンティン ドリームは夜もめいっぱい元気な雰囲気だ。
アルコールが楽しめるバーも充実している。スコッチウイスキーの飲み比べができる「ジョニーウォーカーハウス」は北京や上海、ソウルにも店舗があるそうで、洋上ではここだけ。オーストラリアワインのメーカーとして有名な、ペンフォールドのさまざまな製品が楽しめる「ペンフォールドワインヴォールト」ではグラス単位で飲み比べもできる。
この近くにはシガーラウンジの「ヒューミドール」もあり、キューバ産の葉巻がずらりと並ぶ。ソムリエもいて、葉巻と合うお酒と一緒にゆっくり楽しむこともできる。
“忘れられないぐらい美味しいワイン”や“初めての葉巻体験”など旅行先でする特別な体験が、一晩のうちに洋上でいくつもできてしまうよう工夫されているようだ。
カジノエリアは「バー360」の周囲、デッキ6~8まで吹き抜けのエリアにあり、ゲームテーブル39台、スロットマシーン205台、電子式テーブルゲーム114台など充実。これ以外にもメンバー用の個室エリアもある。
広々としたマージャンルームではマージャンパイやカードの貸し出しもあるのでカジノ以外の楽しみ方も豊富。カラオケルームやゲームセンター、ボーリング場、ゲンティングループの老舗ナイトクラブ「ズーク」がプロデュースしたクラブなどもあり、深夜まで遊び尽くせる施設が揃っていた。
一通り見学したあと、足裏マッサージや指圧が受けられる「クリスタルライフアジアンスパ」に引かれ、「中国式全身マッサージ」60分(188香港ドル、約2632円)を受けた。料金にはサウナやスパの利用料金も含まれている。アジアに旅行に行くとほぼ毎回マッサージに行くのだが、洋上とはいえ技術は本格的で安く感じた。冷房が効いた船内で体が冷え気味だったので、サウナもとても温まり、大満足で就寝した。
金曜の夜に出港し、日曜の朝に帰港するので、2泊3日といってもまる1日遊べるのは翌日だけになる。あまり寝坊せずに特にゲンティン ドリーム名物のウォータースライダーやジップラインなど昼間のアクティビティを遊び尽くした方がよいだろう。