旅レポ
アジア初のプレミアム客船「ゲンティン ドリーム」で巡る2泊3日の香港ウィークエンドクルーズ(2日目)
メディア向けフォーラム開催、客室・アクティビティ・ショーをまとめてチェック
2017年7月6日 00:00
- 2017年4月7日~9日実施
「ゲンティン ドリーム ウィークエンドクルーズ」を利用して行なわれたプレスツアー2日目は、ゲンティン香港によるメディア向けフォーラムが実施された。アジアのクルーズ市場についての解説や、ゲンティンクルーズラインの今期のコース紹介、寄港地の代表者らによる各地の魅力が紹介された。その後行なわれた船内ツアーやガラディナーについても紹介する。
アジアクルーズ市場の活況とゲンティンクルーズラインの今期クルーズを解説
今回のプレスツアーはドリームクルーズとしては初めてのイベントで、トラベルエージェントやメディア関係者など、13カ国から約350人が招かれたという。2日目の午前中はこの関係者ら全員が出席して「Genting Cruise Lines 2017 Travel Agent and Media Partner Forum」がゾディアックシアターで実施された。
フォーラムはゲンティン香港の代表者らがプレゼンテーションを進める形で実施され、まずはドリームクルーズのサッチャー・ブラウン氏の挨拶から始まり、ゲンティンクルーズライン 営業部門 上級副社長 マイケル・ゴー氏によるアジアのクルーズ市場を取り巻く状況が解説された。
アジア太平洋地区のクルーズマーケットでは、クルーズによる休暇を楽しむ層がまだ0.5%しかいないと紹介。乗客の割合では100万人が中国からの利用者であり、残り110万人がシンガポール、台湾、日本、香港、インドなどそれ以外のアジア地区から参加しているそうだ。年齢層では10人中4人が40歳以下と若い顧客が多いという。
さらに、2015年のショートクルーズの日数を比較すると、2~3泊が約30%、4~6泊が50%、7~13泊が19%を占めるという。アジアの乗客は全体的に短い期間のクルーズを好む傾向なども解説された。
マーケットの伸び率にも触れ、アジアのクルーズ客は2012年に77万5000人程度だったが、2015年には208万人を超え、そこからさらに2016年には約40%伸びたと紹介。アジアで運航されるクルーズ数も2013年の861から2016年には1560へとほぼ倍増。キャパシティも約29%増加している。各国の海外渡航者も増加傾向で、特に人口約14億人の中国や人口約13億人のインドなど、今後の伸びしろがまだまだあることから、アジアのクルーズ業界は今後も毎年2桁の伸びが予想されていると解説した。
さらに「ゲンティンクルーズライン」が就航する東京(横浜)からバリまでの10カ国、8つの母港、36カ所の寄港地のエリアをドリームクルーズとスタークルーズによる“海のシルクロード”と紹介。ドリームクルーズでの香港発着クルーズや、7月から開始されるスーパースターヴァーゴによる上海・大阪・横浜を母港としたコースなど運航コースを詳しく解説。フライ&クルーズによる利用でもスムーズに利用できる体制を整えていると解説した。
ドリームクルーズとスタークルーズが2017年度に運航するコースもそれぞれ紹介され、今期の注目クルーズ5つをピックアップ。「スーパースター ヴァーゴによる上海・大阪・横浜を母港とした日本コース」や、「スーパースター ジェミナイによるバンコクを母港としたタイとカンボジアのコース」、「ゲンティン ドリームによる広州・香港を母港とした那覇・宮古島・ベトナムのコース」、「ゲンティン ドリームによるシンガポールを母港としたインドネシアとタイ・マレーシアのコース」「ワールド ドリームによる広州・香港を母港としたフィリピン・ベトナムのコース」が挙げられた。
さらにゲンティン香港のブランドの一つである「クリスタルクルーズ」の特徴や今後の計画についてもWinnie Chan氏より解説が行なわれた。クリスタル・クルーズは、「クリスタル・セレニティ」をはじめとするラグジュアリー客船や、ヨーロッパで「クリスタル・リバー・クルーズ」ブランドによるリバークルーズを運航。大型船では帰港できない浅瀬の離島や小さな湾にも寄港する「クリスタル・ヨット・クルーズ」など、いずれも高級感のあるクルーズが特徴で、積極的な事業展開を進めており、2019年完成予定の大型客船「クリスタル・エクスクルーシブ・クラス クルーズ&クリスタル・レジデンス」の紹介も行なわれた。
また、専用のラグジュアリーな航空機で世界を巡る「クリスタル・エア・クルーズ」や、チャータージェットの「クリスタル・ラグジュアリーエアー」など航空機によるクルーズも映像で紹介。「クリスタル・エア・クルーズ」での第2弾となる就航は2017年8月31日にペニンシュラホテルとのコラボにより実施予定で、使用される航空機はボーイング 777-200LR型機。ファーストクラスシート88席限定で、ニューヨーク発着で世界各地のペニンシュラホテルを巡り、東京にも寄港する。
ドリームクルーズ、スタークルーズ、クリスタルクルーズの3ブランドを束ねるゲンティンクルーズラインについて詳細な紹介を終え、フォーラムの前半は終了した。
寄港地である香港、シンガポール、フィリピン、沖縄の各担当者が各地の魅力を紹介
フォーラムは休憩をはさみ、さらにゲンティンクルーズラインの寄港地のなかから、香港、シンガポール、フィリピン、沖縄の観光局などの各担当者が登壇。クルーズへの協力体制や、各地の魅力、観光資源などについて詳しく解説が行なわれた。
香港からは、香港政府観光局のKenneth Wong氏が登壇し、ゲンティン香港との強い結びつきと協力体制をアピール。香港の観光地としての魅力やフライ&クルーズ時の利点についても説明した。
シンガポール観光局からはG B Srithar氏とLi Yuemin氏が登壇し、2017年が東南アジア諸国連合(ASEAN)の設立50周年にあたることから、ASEAN観光年として取り組んでいることを解説。「Visit ASEAN@50」特設Webサイトで複数の東南アジア諸国を巡るツアーや、2017年に行なわれるイベントなどの情報提供を行なっていると解説した。
また、シンガポールとしても積極的にクルーズ船を受け入れ、フライ&クルーズの対応として「CruiseFly Service」を実施。シンガポール航空や中国国際航空、中国南方航空、カンタス航空など対応する航空会社を利用する場合、帰国時にクルーズ船が到着する「マリーナベイ・クルーズセンター・シンガポール」で航空機のチェックインが可能で、手ぶらで市内観光を行なうことができるなど利便性をアピールした。
フィリピン観光省のMaria Corazon Jorda-Apo氏からは、フィリピンの美しい海や島々、固有の動植物の多さ、物価が安く英語が通じる点、素朴な交流などがアピールされた。
日本からは沖縄県産業振興公社 沖縄県香港事務所 所長 税所清隆氏らが登壇し、寄港地である沖縄の那覇や宮古島について、歴史的な経緯からお勧めの観光地やモデルプランを詳しく解説した。
最後にスタークルーズ社長のアン・ムー・リム氏が挨拶。客席側を含め全員での記念撮影なども行なわれ、一体感が演出されて終了した。
プレゼンテーションの終了後、有料レストランの「シルクロード」に場所を移し、さらにランチをとりながら質疑応答が行なわれた。各国のトラベルエージェントやメディアが参加しているため自国の寄港地についての取り組みなどを質問。寄港地によるローカライズについては、スタッフもその寄港地に合わせて調整しているほか、マレーシアであれば食事もハラルに対応するなどさまざまな対応を行なっていると説明した。
また、インド発着クルーズの要望については現在シンガポールからフライ&クルーズで利用が進んでいると説明。スタークルーズでは「ディスカバリー&サプライズ」を意識しており、常に新しい寄港地を見つけることを意識していると解説。今後は「スーパースター リブラ」でのペナンとプーケット、メダン(インドネシアのスマトラ島北部)の新航路も計画していると発表した。
アクロバティックなプロダクションショー「Voyage of a Lover's Dream」
フォーラムの終了後、ゾディアックシアターで行なわれたプロダクションショー「Voyage of a Lover's Dream」を観賞。船体にも描かれている「人魚と宇宙飛行士の恋」のストーリーを表現したアクロバティックなショーで、背景の映像ともシンクロして展開する。
ステージ上のダンスだけでなく、ロープやワイヤで宙づりになったり、トランポリンを使ったりするアクロバット、海の中を表現した人魚のストーリー、バランスと柔軟性を活かした芸、宇宙飛行士が空中遊泳をイメージしたシルホイールでの芸などさまざまな場面が展開される非常に見応えのあるショーだ。ゾディアックシアターでどれか1つだけショーを選ぶならこのショーがよさそうだ。
スイート以上が利用できる特別エリア「ドリームパレス」
ショーの観賞が終わり、船内ツアーが実施された。まず見学したのが、デッキ16~18にあるスイート以上のカテゴリー利用者のみ利用できる特別エリア「ドリームパレス」だ。高級感ある豪華な内装で、英国式のバトラーも24時間常駐。荷解きやパッキング、有料レストランやショーの優先予約、レストランからの料理のデリバリーなども行なってくれる。
また、専用の「ゲンティン クラブ レストラン」のほか、プール、サンデッキ、ジムやスタジオ、シガーラウンジ、カジノなどもプライベートエリアにすべて専用のものが用意されている。どこもゆったりした優雅な空間が広がる別世界だ。特に船内最高級の部屋である「ガーデン ペントハウス」は客室183m2、プライベートバルコニー41m2という広さ。ダイニングにはグランドピアノ、リビングには海に向かう双眼鏡……という夢のようなスペースだ。
インサイドステートルームからドリームスイートまで一般客室をチェック
続いて一般的な客室も見て回った。最初が最も手頃な値段の内側客室「インサイドステートルーム」。シングルベッド2台、ベッドルームとシャワー付きバスルーム、32インチの液晶テレビ、クロゼット、小さめのデスクという構成。スーツケースを広げてしまうとやや狭そうだが、寝る分には圧迫感はなく、多くの時間を船内のイベントなどで過ごすならまったく問題ないだろう。
続いて最も一般的な「バルコニーステートルーム」へ。今回宿泊させてもらった部屋と同じタイプだが、こちらはソファが窓際にあるつくり。ベッドはクイーンベッドで部屋の広さも十分だし、バルコニーは開放的。寄港地があるコースの場合はやはりこのバルコニーがあるタイプが魅力的だ。
窓はあるがバルコニーのない「オーシャンビューステートルーム」は一般的には「インサイドステートルーム」と「バルコニーステートルーム」の間の価格帯だが、見学できたタイプは大型の窓を備えた船首にあるかなり広い部屋だった。「オーシャンビューステートルーム」は場所によって16~35m2と広さに大きく差があるので、どの部屋になるかで満足度は大きく変わるだろう。
スイートのカテゴリーに属する「ドリームスイート」は客室32~35m2ととても広々。ベッドはクイーンベッド1台で、リビングのスペースにも余裕がある。バスルームにもバスタブが備えつけられている。テレビも42インチと大きく、バトラーサービスも利用可能だ。
設置数も多く一般的なのはバルコニー付きの「バルコニーステートルーム」だが、「インサイドステートルーム」のシングルベッドも十分寝心地はよい。特に寄港地がない今回のようなツアーなら内側でもあまり関係がないだろう。
屋外には巨大スライダーなど数々のスポーツ系アトラクションが充実
船上プールなど、屋外のスペースにはスポーツ系のアトラクションも多数揃っている。ロッククライミングができる施設や、バブルサッカーのイベント、つり下がって高速でスライドするジップラインなどもありにぎやかだ。
なかでも、最も特徴的なのは大小6つのウォータースライダーで、見る限りスタート地点はかなり急な角度で最初は勇気が要りそうだが、大人が歓声と共にどんどん滑っていた。
子供向けスライダーやプールもあり飽きないが、「リトルパンダクラブ」という名称のキッズ専用スペースもあり、専任のスタッフがおり、有料で託児もできる。テレビゲームやアート体験、ドレス体験などさまざまな楽しみ方ができる。
室内のジムとしては、マシンが並ぶ「クリスタルライフフィットネス」があり、インストラクターからスタジオやスペースでヨガなどを学ぶこともできる。また、美容系では昨日利用した「クリスタルライフアジアンスパ」のほかに、レーザー治療までできる本格的な美容クリニックの「クリスタルライフウェルネス」、個室でトリートメントが受けられる「クリスタルライフスパ」、ヘルシーフードを提供する有料レストラン「クリスタルライフキュイジーヌ」も併設。これらは同社の“クリスタル”ブランドで統一されており、高級感があった。
関係者向けカクテルパーティーとガラディナーでエンタテイメントを垣間見
一通り船内を巡ったあと、夕方からはメディア向けのカクテルパーティーが「ズークビーチクラブ」で行なわれた。浅いプールのダンスフロアと巨大なスクリーンを持つスペースで、階段になったソファでくつろげる。ゲンティン香港の一つであるシンガポールの老舗クラブ「Zouk(ズーク)」がプロデュースした特徴的なスペースなので、普段クラブには行かないという人も、クルーズ中にイベントがあれば見ておいた方がよいだろう。
カクテルパーティー後、普段メインダイニングルームとして使われているドリームダイニングルームに移動し、“The Voyage of Golden Era”のガラディナーを実施。中華料理のディナーが提供され、中央のフロアではチャイナドレスのファッションショー、社交ダンスやアクロバティックなダンス、中国風の伝統芸能などさまざまなショーが行なわれ、最後に調理スタッフがデザートを運んでくる「ベイクドアラスカ」を実施。ドリームクルーズ社長のサッチャー・ブラウン氏からの挨拶で終了した。