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ハイアットとオリックス、金沢駅前に2ブランドのホテルを2020年6月開業
「『本物』を理解するハイアットホテルの利用客に金沢を広めてほしい」と山野市長
2017年6月8日 20:08
- 2017年6月7日 発表
- 2020年6月 開業予定
日本ハイアットとオリックス、金沢市は6月7日、東京・虎ノ門ヒルズ内のホテル「アンダーズ 東京」で記者発表会を開き、2020年6月に金沢駅金沢港口(西口)に「ハイアット セントリック 金沢」と「ハイアット ハウス 金沢」の2つのホテルを開業予定であると発表した。
金沢駅西口エリアの再開発の一環として「駅西広場」に建設される複合施設内に開業するもので、物件の所有・経営はオリックス、運営をハイアット インターナショナル アジア パシフィック リミテッドが行なう。
ハイアットとオリックスによるホテル事業概要
所在地:石川県金沢市広岡1-501
アクセス:JR金沢駅 金沢港口 徒歩2分
開業予定:2020年6月
所有・経営会社:オリックス
運営会社:ハイアット インターナショナル アジア パシフィック リミテッド
ホテル「ハイアット セントリック 金沢」
客室数:約250室
階数:1~14階
付帯施設:会議/イベントスペース、フィットネスジム、レストラン、ルーフトップバー
ターゲットイメージ:レジャー個人客、カップル/夫婦、一人旅、小グループが「アクティブに街を楽しむ洗練されたライフスタイルホテル」
長期滞在型ホテル「ハイアット ハウス 金沢」
客室数:約90室
階数:3~7階
付帯施設:ランドリー、フィットネスジム、レストラン
ターゲットイメージ:レジャー個人客、ファミリー、シニア世代、長期出張のビジネスマンが「自宅のようにゆったりとくつろげる長期滞在型ホテル」
発表会ではオリックス 執行役 不動産事業本部長の深谷敏成氏から、事業概要が説明された。
本事業の流れは、2016年4月に「金沢市公募型プロポーザル『インターナショナルブランドホテル事業』」の募集が開始され、2016年7月にオリックスが優先交渉権を獲得、2017年2月に市有財産売買仮契約を締結、3月に議会承認を得たというところ。今後は2018年1月に土地引き渡し、同年2月から2020年5月まで工事が行なわれ、2020年6月にホテルを開業する予定だ。
事業のコンセプトは「『The Kanazawa』の提供」で、「世界から富裕層に金沢へ訪問してもらい、賑わいを演出し、旅行者と金沢の人々が交流する場にしたい。この交流により新しい金沢の姿を発信できる場にしたい」と語った。
建物は駅西広場側から見て左側の建物(1~14階)がホテル「ハイアット セントリック 金沢」、右側は1~2階は商業施設、3~7階が長期滞在型ホテル「ハイアット ハウス 金沢」。さらに3階(商業施設の屋上にあたるエリア)には「みらいの丘」という名前で居住者や滞在者、地元の人たちが自由に利用できる広場を設けて「ヒト・コト・モノが交差する出会いの場」にしたいとした。
「ハイアット ハウス」のブランド展開は日本では初。客室数は約90室で、各室40m2以上の広さでキッチンを備え、金沢に長く滞在する観光客、ビジネス客の拠点にしてもらうことを想定している。1~2階の商業エリアは金沢を訪れる人がゆっくりと過ごせる場所であり、地元民も気軽に訪れられる、「金沢の顔となる駅前施設にしたい」と話した。
8~15階のレジデンスは「金沢で最高のプレミアム住居」として、オリックスのグループ会社である大京が取り扱っていく。販売戸数は約120戸の予定だ。
フルサービスと長期滞在型の2タイプのホテルを金沢に開業
日本ハイアット 代表取締役の阿部博秀氏からは、ハイアットブランドについて説明があった。ハイアットホテルズは1957年に第1号店をオープンし、2017年に60周年を迎え、世界56カ国で708のホテルを展開している。
これらのホテルは、「ラグジュアリー」「プレミアム」「ライフスタイル」「セレクトサービス」「オールインクルーシブ」「レジデンス・タイムシェア」の6カテゴリー、13のホテルブランドで構成され、フルサービスホテルは「ラグジュアリー」「プレミアム」「ライフスタイル」の3カテゴリーとなる。
「ハイアット セントリック 金沢」を金沢をアクティブに楽しむ「旅の拠点」に
「ハイアット セントリック 金沢」はフルサービスホテルのうちの「ライフスタイル」に入る。「セントリック」は「街の中心、行動と情報の拠点(センター)」という意味付けで、「いつでもどの街でもあらゆることの中心にいて、さまざまな情報が集まるポータル、拠点を目指している」という。ブランドのロゴマークは地図のピンをイメージしたデザインだ。セントリックブランドは北米を中心に現在15軒開業。東京・銀座など、14の進行中のプロジェクトがある。
ハイアットが世界規模で利用客に実施した調査から、旅の目的がビジネスであれレジャーであれ「この街を知りたい」「この街を探索したい」というニーズが高かったことが分かり、「街を紹介する」ことがセントリックブランド立ち上げの柱だったという。
セントリックは街の個性をホテルのハードやソフトを通じて表現している。フロントは既存のホテルのイメージとは違い開放的で立ち寄りやすいデザインにし、ラウンジスタイルのソーシャルスペースを設け、活気のある人の交流を演出している。ソーシャルスペースが旅の情報収集の拠点となり、その街にまつわる本が用意され、備えられたPCで情報を検索したり、街の情報に通じたスタッフが案内をしたりするという。
客室で重視するのは、「快適で機能的」であること。街の特徴を感じられるエッセンスが客室内にも散りばめられ、「遊び心があふれるデザイン」になっているという。
ダイニング&バーは宿泊客だけでなく、地元の人も集まり楽しんで交流できる空間にし、地元の食材生産者や飲食店ともコラボレーションを行なっていく予定だ。
「『ハイアット セントリック 金沢』は金沢を最大限楽しむための『旅の拠点』となり、世界中から訪れたゲストを多彩な体験と発見に満ちた旅へと誘います。私たちは金沢の魅力を発信し、金沢と世界、地元の皆さまと旅行者をつなぐ新しいランドマークにしたいと考えております」と説明した。
「ハイアット ハウス 金沢」は自宅にいるようなくつろぎを提供
「ハイアット ハウス 金沢」は長期滞在客に適したサービスを提供する「セレクトサービス」に入る。長期滞在型ホテルとして、「単なる宿泊施設ではなく旅行者にとっていつものように快適に過ごせる『家』でありたい」というコンセプトだ。
ソーシャルスペース「The Commons」はフロント、ラウンジ、ビジネスセンターなどの機能を兼ね備えた多目的の場所となっており、Wi-Fiの提供はもちろん、自由に使えるPCも設置され、滞在客は自分のニーズに合わせて好きなように時間を過ごせる。
ダイニング&バー「H BAR」では、朝食から夕食、夜食まで、自宅にいるようにいつでも気楽に食事でき、夜はソーシャルスペースとして、ゲスト間の交流を楽しめるようになっている。
ゲストルームは各室にキッチンが設けられ、冷蔵庫や電子レンジ、基本的な食器や調理器具を備え、普段どおりの生活を送れる。さらにテイクアウトアイテムや日用品の販売施設、ジムやランドリーも備え、「自宅にいるときと同様のくつろぎを提供すます」と、ハウスブランドを説明した。
そして「これらの2つのホテルを拠点として、国内外のお客さまが金沢の魅力と可能性を見つけながら思い思いの旅をしていただきたいと考えております」と話し、説明を終えた。
宿泊代金については未定としながらも、1泊あたり「ハイアット セントリック 金沢」は3万円台、「ハイアット ハウス 金沢」は2万5000円から3万円付近になるのではとのことで、通年80%以上の稼働率を目指したいと述べた。
「『本物』を理解するハイアットホテルの利用客に金沢を広めてほしい」
金沢市 市長の山野之義氏は、「先輩方が金沢の街を作ってくださいました。この“先輩”は歴代の市長、議員、職員だけではなく、『前田のお殿様』からのことでございます」と語り、金沢市をPRするプレゼンテーションを行なった。
金沢には長い歴史とともに育まれた文化、伝統があり、積極的にそれを発信していかなければならない。その理由は、発信によってさらに優れた文化や伝統、歴史、情報、人材が集まり、蓄積していくところにあると説明。
「世界に視座をおいた街づくり」をしてきた金沢を、交流拠点の都市として発展、成長させていくために、街のブランドを高めるホテルに進出してほしいと思っていたところに今回の事業計画があったと、関係者に感謝を述べた。
そして、「『本物』を理解するハイアットホテルの利用客に、金沢を国内外に広めていただき、金沢という街をさらに賑わわせ、都市のグレードを高めていければと思っております」と話し、プレゼンテーションを締めた。