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JATAなど観光関係7団体、「海の日」にかかわる三連休の維持を主張
ハッピーマンデー解消の流れに対し、衆議院会館に観光業界300名と国会議員20名が集まる
2017年4月7日 17:56
- 2017年4月5日 開催
JATA(日本旅行業協会)、ANTA(全国旅行業協会)、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟、日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本観光振興協会の7団体は4月5日、東京・永田町にある衆議院第一議員会館において、「働き方改革など休暇制度を考える会議」を開催した。
現在、「成人の日」「海の日」「敬老の日」「体育の日」がハッピーマンデー制度によって毎年月曜に設定され、土日・祝日が休業の企業の場合は三連休となっているが、海事関係団体らが「海の日」の意義をより広く周知するなどの目的を掲げ、「海の日」を「7月20日」に再度固定化するよう働きかけ、議員立法化へ動いている。
「働き方改革など休暇制度を考える会議」はこの動きに対し、観光業界としてハッピーマンデー制度の維持を主張していくというもの。
衆議院第一議員会館 大会議室には7団体に所属する全国の会員企業からの代表者300名と、衆参議員20名が集まり、三連休が観光業界や日本にもたらす経済効果、維持の必要性などについて意見が述べられた。会議の最後は三連休、ハッピーマンデー制度の維持を主張する「決議文(案)」が読み上げられた。
この「決議文(案)」は会議開催前に陳情を行なった衆参議員80名に、あらためての説明とともに渡し、ロビー活動などを継続していくという。
「三連休は、正月、ゴールデンウィーク、お盆以外への観光需要の分散化に有意義」
まずは主催7団体の1つであるJATA 会長の田川博己氏から会議開催の背景、主旨について説明があった。
日本の観光産業は25兆円規模に成長し、GDPの5.4%を占める重要な産業になった。その内訳を見ると、インバウンドの消費額が増えているといわれるものの2015年度で3.5兆円であり、それ以外の82%は日本人の国内旅行によるものであると紹介。
日本人の海外旅行は2016年は約1700万人まで回復したものの、出国率で見ると約13%で、同じく海に囲まれた国であるイギリスの約93%、オーストラリアの約39%と比べても、また、隣国の韓国の約32%と比べても低く、先進国のなかでもひと際低い数値となっている。そのため、日本人による国内外の旅行を振興するためには、旅行に出かける環境をいかに整備するかが重要だと述べた。
一方で、日本人の休みが少ないかというとそうではなく、祝日に「山の日」が加わったことで年間16日となり、国際的にも少なくはない。しかし、日本における年次有給休暇の取得率は2015年度で約48.7%。これは世界のなかで最低水準だという。
このような状況を受けて、安倍内閣では「働き方改革」を成長戦略の1つに掲げ、2020年までに取得率を70%にすることを目標にするとともに、休暇取得の分散化によって、観光需要の平準化にも取り組んでいることに触れつつ、日本人の休暇取得は4割が正月、ゴールデンウィーク、お盆に集中しているため、「ピーク時は観光地が混雑し、ピークを外れれば観光地は泣いている状況」と説明した。
そして、ハッピーマンデー制度は年間4回の三連休をもたらし、国民の過半数である53.6%が支持する、重要な旅行やリフレッシュの機会として定着しているとし、これらの三連休は、正月、ゴールデンウィーク、お盆以外への観光需要の分散化に有意義であると述べた。
とりわけ海の日と敬老の日は、海外旅行や、長距離の移動を伴う国内旅行の機会として大きな意味があり、これはデータでも裏付けられていると指摘。
今年から始まった「プレミアムフライデー」が1年に12回あれば、その年間効果は2000億円とする試算もあるとのことだが、海の日を含めた三連休だけで経済効果は2000億円に達する試算もあると紹介し、海の日による三連休の重要性を説いた。
ただし他方で、「祝日が持つ意義」は忘れてはならず、観光産業は海の日に関連した旅行商品の開発や、機内誌、機関紙、広告などを通じて海に関するさまざまな取り組みを行ない、海の日の意義を広める努力をしてきたと説明。
それでも十分に海の日の意義が周知されていないとする意見が出るのだとすれば、働き方改革・休み方改革の流れを振り出しに戻すような方法ではなく、観光産業としてハッピーマンデーをよりよく活用するためいっそう努力していくことで、意義の周知を成し遂げなければならないと主張した。
JATA訪日旅行推進委員会が取りまとめた提言書でもウォーターツーリズムの精神を掲げ、海に囲まれた島国としての魅力を発信していくと3月に提案したばかりであり、「今後はより海の日にスポットを当て、その意義に対する国民の理解を促進するために、海事関係や水産関係の方々とも連携し、海に親しみ、海の恩恵を考える活動や、クルーズなど船や海運に関する活動を展開していきたいと考えています。
ご来賓の方々のご叱咤を受けながら、観光先進国における休暇制度とはどうあるべきか、休暇制度と観光を通じた地方創生の関係についてもご意見を頂戴できればありがたいと思います」と述べ、説明を終えた。
「観光産業がお困りになるようなことは、一切いたしません」
続いて国会議員を代表して、衆議院議員 自由民主党 観光立国調査会 事務局長の福井照(てる)氏が挨拶を行なった。
自民党幹事長の二階俊博氏に代わってと前置きしつつ、会議に集まった300名に向け、「観光産業がお困りになるようなことは、一切いたしません」と高らかに宣言。
ハッピーマンデー制度がいかに大事であるかは、国会議員の面々も全員周知していると述べ、「観光産業を毀損するようなことは一切ないようにいたします」と重ねて強調した。
3月15日に国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所開設で行なわれた記念講演会において二階幹事長が、「日本のおもてなしの心は世界一であり、温かい自然にあふれる日本において、自分自身を見つめたり、教養を高めたりできる“持続可能な観光”、100年後も1000年後も持続する、発展する、そんな観光産業を目指していこう」と演説したばかりだと紹介。
観光業界の皆で志を合わせると同時に、もう一歩、もう一段国民の理解を得るために、自分たちももう一段の自覚、もう一段の責任感を持って、海の日が固定化されることにより、三連休がなくなる可能性があることを周知していこうと呼びかけた。
「国民も観光産業もウィンウィンの関係になるように」
観光庁を代表して、観光地域振興部 観光資源課長の蔵持京治氏からの挨拶があった。
政府では2016年3月に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」にもとづいて、観光先進国の実現に向けて、全力で取り組みを進めており、柱の1つとして、「働き方と休み方を改革し、躍動感あふれる社会を実現する」ということを位置付けたばかりであると紹介。
年次有給休暇の取得率を50%前後から70%に引き上げる、学校の休日や休暇を推進、分散化させる取り組みについて、関係省庁と共に取り組みを進めているところだと説明した。
「国民にとっても休み方改革が進めば、旅行を中心とするさまざまな活動に参加する機会ができ、ワークライフバランスの向上につながり、国民の皆さんにも、観光産業の皆さんにとっても、ウィンウィンの関係になります。そのために政府も頑張っているところです」と話し、今後も官民をあげて休み方改革に取り組んでいくと挨拶を終えた。
衆参議員が三連休と海の日について意見を述べる
ここからは、「働き方改革など休暇制度を考える会議」に参加した衆参議員の意見を紹介していく。
「国民の皆さんに旅行してもらおうということがハッピーマンデーのきっかけ」
衆議院議員 赤羽一嘉氏
「日本の経済成長、地方創生を考えると、観光政策をしっかりやらなければならないのは、あらためて言うまでもないほどのことです。経済財政資本会議の1番のテーマは、日本の労働生産性をいかに向上していくこととなっております。
政治家になる前は商社に勤めておりまして、長い労働時間と、休日を取らずに働くことは、生産性向上などありえない話で、働き方改革をどうやっていくのかは、日本の利益と共に、国民一人一人の生活の豊かさをどう追求していくかというなかで、なくてはならない話です。
ハッピーマンデーが始まったときは野党でしたが、同じく野党であった二階先生が、『金がないのであれば知恵を出そう』とおっしゃられました。予算が取れないのであれば、休みを増やして国民の皆さんに旅行してもらおうということがハッピーマンデーのきっかけであって、定着につながったのではないでしょうか。
私は兵庫県選出ですが、敬老の日というのは兵庫県の老人会から始まったため、9月15日に対する思いには強いものがあるんです。でも、それを乗り越えて三連休化しているということは、それだけ効用が大きいということなのであります。
海の日は7月の夏休み最初の三連休であり、これを三連休でなくすということは正気の沙汰ではないと。いろいろ知恵を出し合って、例えば7月20日の海の日を固定するとしても、祝日はハッピーマンデーを継続するであるとか、そういったことを検討しながら進めていきたいと思っています。
プレミアムフライデーが始まりましたが、1泊2日の旅行だけでなく2泊3日であるとかロングステイの旅行を志向するよう、国が取り組んでいるところで、その腰を折るようなことにならないよう、そして観光業界の皆さまもいろいろなバリエーションに富む旅行商品ができて、老若男女、現役世代も含めて観光を楽しめる状況にご尽力いただけることをお願い申し上げて、公明党を代表してのご挨拶とさせていただきます」。
「三連休を守りながら海の日を連想させるような旅行商品を」
参議院議員 江島潔氏
「私は山口県選出ですが、山口県は東京から遠く、地方創生の大きなキーワードとして観光立国、観光立県というものを目指している県です。
もちろん山口だけでなく多くの都道府県において、観光こそ地域産業を復活させる大きなきっかけであると、取り組んでいると思います。そして三連休、ハッピーマンデーもすっかり定着したところです。
海の日制定から今日に至るまで、数多ある休日のなかで海の日の意義が十分に浸透していないことも事実であります。日本は海事立国であります、海に囲まれて、海のことを考える国民がより増えることは重要であります。三連休を守りながら、旅行プランを考えるときに海の日を連想させるような旅行商品を、海の日を意識してもらえるようなプラン作りを、旅行業界の皆さまからも提案していただけたらと思います。
ただ休みが増えればいいということでは働き方改革につながりません。休みというものの意義、祝日の意義を国民の皆さんと考えていただくことが、より創造性の高い働き方につながるのではと思っております。皆さんと取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いします」。
「観光業界の思い、海の日の意義、双方の着地点を見付ける」
衆議院議員 秋元司氏
「観光業界には観光の思い、一方で海の日の意義、双方の着地点を見付けることが大事だと考えます。日本は経済的な観点ではお金が使いづらい環境といわれていますが、これからは『もの』から『こと』といわれるなかで、観光は大きなテーマであって、経済効果を考えても大切なことです。
三連休はどうしても必要なものですし、子供がいる家庭であれば、子供が休みでなければなかなか観光に行けないわけですし、三連休の意義は非常に大切なものだと思っています。
ただ、海の日も海洋立国日本で大切なものですし、観光業界の皆さまも海の日、海の恩恵のなかでの三連休であるという、その啓蒙活動はお願い申し上げたい。そして今日の集まりの意義もしっかり受け止めてこれからも頑張ってまいります」。
「観光業界が団結するきっかけになる」
衆議院議員 門博文氏
「今日は観光業界の方々がここまで大規模に初めて1つのテーマに集ってらっしゃると思います。
私は国会議員になる前は23年間観光業界で仕事をしてきました。観光にはホテル、旅館、鉄道、航空、旅行代理店とさまざまなジャンルがあります。国会議員になってからの目線でみると、観光産業が1つのテーマでまとまるきっかけがこれまであまりなかったように思います。
今回、休みを考えるというテーマで集まりましたが、これから日本は観光が基幹産業になるわけですから、皆さんが政治を動かしていく、皆さんが団結して政治の方向を形作っていく、今日をそのきっかけにしていただければと思っております。
三連休の問題については、いかに三連休で経済効果が大きいか、数字で皆で自覚して、維持していくよう努めてまいります。
海事業界はいわゆるBtoBの現場で働く方が多いと思いますが、旅行業界はBtoBもBtoCもあり、顧客と直接触れ合う仕事をしていますから、その発信力で、この海の日が7月20日であることを、我々も発信してきましょう。一緒に頑張っていきましょう」。
「日本の観光産業はまだまだ30兆円の伸びしろがある」
衆議院議員 岩屋穀氏
「日本の観光業の第一線で活躍してらっしゃる皆さんに心から敬意を表します。日本の観光産業が25兆円になった、GDPの5%を超えたといいますが、世界の平均は10%です。観光は燃料、化学に次ぐ3番目の世界の基幹産業となっています。
我々はこの日本において、ぜひ観光を基幹産業にしていきたい。成長戦略の柱にしていきたいと思っています。まだまだ30兆円の伸びしろがあります。日本の観光業界にもっともっと活躍していただいて、その基盤を我々が作っていかなければならないと思います。
ただ、観光需要の8割は国内旅行です。日本の人口が減り、高齢化が進む状況では、国民の皆さんが働きやすい、旅をしやすい、観光をしやすい環境を作ることが大切です。せっかく定着した三連休を壊すことはあってはならないと思っています。海の日も大事ですが、それは別の方法で啓蒙、啓発をしていければと。皆さんと一緒に力を合わせて、世界一の観光立国を目指してまいりましょう」。
「全力で三連休、ハッピーマンデーの維持を主張する」
参議院議員 中川雅治氏
「三連休によっていろいろなメリットが生まれていることは、国民の皆さんの豊かさ、いろいろな意味で精神的なものも含めて豊かになっていくと同時に、産業業界がそれによって発展していく、それによって経済の好循環が実現していくことに、大きく寄与しています。
三連休、ハッピーマンデーの維持は本当に大事なことだと思っています。観光業界の発展、国民全体のために、全力で三連休、ハッピーマンデーの維持を主張してまいりたいと思っています」。
「ハッピーマンデーの死守は観光業界と国民の幸せのためにも大切な議論」
参議院議員 新妻秀規氏
「私は以前重工業メーカーで働いており、メーカーでは飛び石の休みは合体させて長期連休にする慣習がありまして、連休を確保すると、社員は会社のために頑張ろうという気持ちになって、夫婦円満の家庭が多い会社でした。
ハッピーマンデーの死守は、観光立国の最前線で頑張ってらっしゃる観光業界の皆さまはもちろん、国民の幸せのためにも大切な議論だと思います。
海の日の三連休を守りつつ、海の日を国民が喜ぶ、尊ぶ、ということが大事だと思います。皆さまといろいろと考えながら、ハッピーマンデーを死守していきたいと思っています。よろしくお願いします」。
「ハッピーマンデーの成長の天井はまだまだ先にある」
衆議院議員 西村明宏氏
「ハッピーマンデーによる成長段階はまだ天井には達しておらず、天井はまだまだ先にあり、育てていく必要があることは、皆さんと一緒の気持ちです。
同じ志を持つ観光業界の皆さんと国会議員がここに集まっています。観光産業をしっかり育てることが、日本を豊かにすることになりますので、共に頑張ってまいりましょう」。
「三連休の維持と海の日の意義については、いろいろ策はある」
衆議院議員 山本拓氏
「ここへ来る前に、海事の人たちから海の日をもとに戻せという陳情を受けたばかりです(笑)。『戻せ』『続けろ』という主張ですが、これだけ(300名)の人が反対していたらこれは無理というものでして、海の日の意義もありますし、7月20日が土日に重なるときは別に休日を設けて三連休、土日に関わらないのであれば外すといった、いろいろ策はあると。
まずは三連休を維持しながら、あとは7月20日の海の日も大事にしていくと、みんなが丸く収まるように、1日でも多く休めるように私は頑張っていかないとと思っています。しょっちゅううるさく言われた方に議員は傾くので」。
「九州にとって観光は重要な産業」
参議院議員 高瀬弘美氏
「私の地元福岡、九州は、熊本の震災などで全体的に観光が少し元気がない状況です。そうしたなかで、九州にとって観光は重要な産業でありますので、所属する国土交通委員会でも観光のことを取り上げております。三連休はなんとしても守っていきたいという強い思いを持っております。2016年7月に当選したばかりで不勉強なところがたくさんありますが、皆さまに教えていただきながら、頑張ってまいります」。
「観光立国として進んでいくなかで、三連休を守っていかなければならない」
衆議院議員 熊田裕道氏
「自分の父は休むことを知らない世代でありまして、まだ現役で仕事をしていますが、若い頃にはなかったのですが、三連休などを活かして、母親を連れて旅行をしている姿を見ることは、とてもうれしいことであります。時代の変化、日本が観光立国としてこれから進んでいくなかで、三連休をしっかり守っていかなければならないと思っています。
同時に祝日の意義を若い世代は忘れており、なぜ日本に祝日があるか、その教義を伝えることを合わせてやっていかなければならないとも感じております。これから観光立国として、私たちもしっかり頑張っていきますので、旅行業界の皆さんと共に歩んでいきたいと思っております」。
「働き方を変えようと思えば、休み方も変えなければならない」
衆議院議員 樋口尚正氏
「観光立国、観光先進国を牽引されている皆さまに敬意を表します。私は働き方改革だけでなく、『働き方改革・休み方改革』だと思っています。
働き方を変えようと思えば、休み方も変えなければなりません。皆さんとともに、まずは日本の国内観光を盛り上げていくためには、三連休が何よりも大事だと思っていますので、よろしくお願いします」。
「観光などに出かけて英気を養っていただくことが生産性の向上には必要」
衆議院議員 堀内詔子氏
「3月末に10回目となる働き方改革会議が終わり、内容を取りまとめているところでございます。働き方改革は生産性の向上が第1の目的であり、生産性の向上を図るためにはしっかりと休む、それが大事だと思います。しっかりと休むためには、観光などに出かけて英気を養っていただく、そういった必要があると思っています」。
「三連休の解消は観光立国の動きに逆行」
衆議院議員 うえの賢一郎氏
「観光立国ということを標榜しているなかで、インバウンドだけでなく、国内需要の喚起が、これからの課題になると思っています。三連休の解消はそうした動きに逆行してしまうことだと感じています。三連休を堅持できるようしっかりと頑張っていきたいと思っています」。
「北海道は休みが多くないとまわりきれない」
衆議院議員 佐藤英道氏
「私の地元である北海道をくまなくまわっていただくには、休みが多くないとまわりきれないです。座長の赤羽一嘉さんらとともに、しっかりと観光振興を目指していきたいと思っています」。
「海の日だけでなくハッピーマンデー制度の危機」
衆議院議員 武井俊輔氏
「海の日の固定化と三連休の維持については、働き方改革の大きな争点となっています。プレミアムフライデーが始まりましたが、ある調査によるとプレミアムフライデー12回分と、ハッピーマンデーの1回分が、ほぼ同じ経済効果といわれています。このハッピーマンデーをやめてしまうことは、これまで政府がやってきた、これから政府がやろうとしていることを、むしろ否定してしまうことになるのではと思っています。
海の日以外のハッピーマンデーの休日でも、例えば体育の日をスポーツの日にしようといった動き、10月10日が1964年の東京オリンピックだったからその意義が云々という話が出ています。海の日がハッピーマンデーからなくなってしまうと、ほかの三連休もなくなってしまうような可能性もあり、危機感をもたなければならないと思っております。
祝日の意義をどう出していくか、皆さんと一緒に考えて、発信していくことで、ご理解をいただきながら取り組んでいけたらと思っています」。
観光業界を代表して、三連休の維持を求める
「働き方改革など休暇制度を考える会議」では、JR東日本(東日本旅客鉄道)、ANA(全日本空輸)、JAL(日本航空)など観光業の代表者たちも意見を述べた。
「ハッピーマンデー制度は2泊3日の旅行を計画的に実施できる」
JATA 近藤幸二氏
「ハッピーマンデー制度は2泊3日の旅行を計画的に実施でき、家族旅行や地方の地域経済の活性化に大きく寄与しています。我々の地元、岡山県倉敷市でも三連休を利用して広域、全国から子供が集まるスポーツ大会をはじめ、多くのイベントを行なっています。地元も大変ににぎわっております。これは恒例化したものとなっています。
今や国民の生活に必要不可欠となっているハッピーマンデー制度が維持されるよう、ぜひとも国会議員の皆さまのご理解と、ご支援をたまわれますようお願い申し上げます」。
「観光振興、地方創生の観点から、海の日は固定化せずに三連休のまま維持を」
日本ホテル協会 小林節氏
「7月の夏休み直前にある海の日を含めた三連休は、家族が揃って日本全国に宿泊を伴う旅行ができる、絶好の機会となり、国民にもすでに定着したものになっています。また、お盆に集中しがちな観光需要の分散化、平準化にも寄与しています。
日本ホテル協会としては、観光振興、地方創生の観点から、海の日は固定化せずに、三連休のまま維持していただくことが必要だと考えています。ぜひともお力添えをいただけますよう、よろしくお願い申し上げます」。
「ハッピーマンデーの維持、継続を女将を代表してお願い申し上げます」
日本の宿 古窯 佐藤洋詩恵氏
「地方の旅館にとりまして、旅行需要を喚起する三連休、年に4回あるハッピーマンデーのありがたさをお伝えしたく、山形県上山市から参りました。
日本全国の宿の女将は、観光は平和産業、地方創生を担う素晴らしい生業と、誇りをもってそれぞれの宿でおもてなしに努めております。
大震災より6年、まだまだ東北の復興は道半ばでございます。インバウンドと申しましても、大都市を中心としたものになっています。
海の日に、国内外から地方に遠出していただき、『海は広いな、大きいな』と子供たちの声が日本全国に響き渡りますよう、観光業界を挙げての切なる願いの海の日、ハッピーマンデーの維持、継続を、ぜひぜひ先生方、伏して心より、女将を代表してお願い申し上げます」。
「海の日は、お子さまの夏休み前後であり、家族旅行の需要が多い」
東京都ホテル旅館生活衛生共同組合 海老原秀一氏
「現在ハッピーマンデーは成人の日、海の日、敬老の日、体育の日と、4つあり、我々宿泊業は、多くのお客さまにご利用いただいております。特に海の日は、お子さまの夏休み前後であり、家族旅行の需要が多く、家族の絆がさらに深まり、生涯の思い出となっています。
国民生活のさらなる余暇活動の充実と、旅行消費の拡大による経済効果は日本における重要課題であり、海の日を固定化するべきではなく、三連休とすることを強く申し上げます。また、祝日の意味はしっかり考え、子供たちにしっかり伝えていけたらと思っています」。
「連休の日数の違いで400万円の違い」
全日本シティホテル連盟 清水嗣能氏
「今日の集まりでハッピーマンデーの大切さ、三連休の重要性が語られてきましたことを、心強く思っております。
全日本シティホテル連盟はビジネスホテルを中心とした団体ですが、昨今観光のお客さまも大変多くお泊りいただいておりまして、飛び石連休に、もしなってしまいますと、ビジネス客も観光客も来ないと、そういった事例は過去多々ございます。
これは地方も大都市も関わらず、旅館もホテルも関わらず、皆一様に三連休は継続してほしいという声をいただいております。2016年9月の連休は3日連続でした。2015年は5日連続でした。2日間違います。その違いによって、私たちのホテルだけでも400万円の違いがありました。連休の効果は大きいものなのです。
海の日の大切さ。これは皆さんおっしゃるように意義を考えなければなりません。宿泊業界ではWeb予約の割合が50%前後になっております。Webで予約できる宿泊プランを考えるにあたり、『海の日プラン』というものを作りまして、海の日の意義を訴えるといったことも可能と思いますので、三連休の継続をお願い申し上げます」。
「ほかの土日と比較して三連休は非常に多くの利用がある」
JR東日本 深澤祐二氏
「JRグループ各社、鉄道会社を代表して、意見を述べさせていただきます。
三連休は非常に遠距離の旅行に大きな効果があります。JR各社は新幹線を運行しておりますが、7月のほかの土日と比較しまして、三連休は非常に多くのお客さまにご利用いただいております。東北の復興、熊本の復興にも多大な効果があると考えております。
海の日をいかに周知させるかということについても、我々は努めておりますが、それも引き続き努めてまいりたいと思っております」。
「ハッピーマンデーの維持、発展を」
ANA 志岐隆史氏
「三連休の効果について、今日もたくさんの方々が述べられていますが、昨今の働き方改革の成果もあり、なるべく長く休もうという流れがあります。せっかくの三連休ですので、三連休あるいはあともう1日、2日と休みを足して、国内でも遠いところや海外など、いろいろな方が旅に出られております。
有給休暇の取得率が世界最低という日本においても、この働き方改革の影響があり、遠慮しながらではありますが、1日や2日の有給休暇を使って、さらに遠いところへ旅行を楽しむ、そういった効果が出てきている状況です。働き方改革に必ずやつながると思いますので、先生方、ハッピーマンデーの維持、発展させていただけるよう、切にお願い申し上げます」。
決議文が読み上げられ、賛同の拍手とによって会議は終了
「働き方改革など休暇制度を考える会議」の最後には、決議文(案)が読み上げられ、賛同の拍手によって会議は終了した。
決議文(案)
政府においては働き方改革についてさまざまな観点から検討が進められている。働き方改革のなかでも、特に休暇制度の改革が観光産業にとっては大変重要な課題である。日本人の有給休暇消化率は50%と先進諸国に比べ大変低く、「権利があっても休めない」という現実が存在する。さらに、休暇の取り方として「短い休暇を複数回」とする割合が56%と世界一であり、長期休暇が取りにくいというのが現状である
このような状況のなか、日本人の旅行需要は暦上わずか34.5%の休日に旅行需要の83.5%が集中しており、休日が減少することにより旅行需要が大幅に減少するとともに、特に、地方の宿泊施設をはじめとする旅行産業に大きな弊害を及ぼすことになる。
以上のことから、祝日三連休化(ハッピーマンデー)は全国653万人の署名と全国47都道府県849の自治体の採択により議員立法化され、指定化以来、多くの国民に認知されてきたとともに、地域経済の活性化に大きく寄与してきたことから、祝日三連休化の維持について強く主張するものである。