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外環道、関越道~東名高速間のトンネル工事に使用するシールドマシン発進式を開催
東京・世田谷の東名JCT予定地で小池都知事らが列席
2017年2月20日 12:58
- 2017年2月19日 開催
国土交通省 関東地方整備局およびNEXCO東日本(東日本高速道路)、NEXCO中日本(中日本高速道路)は2月19日、仮称:東名ジャンクション(JCT)の予定地(東京都世田谷区)において、外環道(東京外かく環状道路)の関越自動車道~東名高速道路間のトンネル工事で使用されるシールドマシンの発進式を開催した。
発進式には国土交通大臣 石井啓一氏をはじめ東京都知事 小池百合子氏、衆参両国会議員、都議会議員、周辺区長など約170名が列席した。
まず、主催者を代表して国土交通大臣 石井啓一氏が壇上に立ち、挨拶を行なった。
「国土交通省では日本の経済を牽引する首都圏において、世界に互する国際ビジネス環境、居住環境を実現するため、渋滞解消、経済活性化、観光振興、防災機能強化を目的とする首都圏三環状道路の整備を推進しております」と前置き。
その中でも関越道、中央自動車道、東名高速を結ぶ今回の建設区間は「国土の大動脈を6車線の地下の高速道路で直結する強力なネットワーク」であるとし、「速達性、代替性を飛躍的に高め、広域的な物流の効率化や観光の振興など、新たなビジネスの可能性をさらに広げるもの」と期待しているとした。
続けて、今回の事業は「地下40mより深い大深度地下空間を活用した初めての道路トンネル」であり、「我が国初となる先端技術を結集して取り組んでいる」と説明。「このプロジェクトを通じて確立された技術が、今後我が国が進めている“質の高いインフラ”の海外展開における国際競争力向上にもつながっていくと期待している」と述べた。
最後に「1日も早い開通に向け安全を最優先に工事を進めるとともに地域の要望を踏まえ、外環道が環状道路としての機能を最大限発揮するよう湾岸部までつなぐ、東名高速以南の計画の具体化も進めていく」と締めくくった。
続いて東京都知事 小池百合子氏が登壇し、祝辞を述べた。小池氏は外環道の整備事業を首都圏交通の根幹をなすものであるとし、「経済の血液とも言うべき人と物のスムーズな流れを確保する」取り組みとして大いに期待しているとコメント。
続けて「大規模災害時の避難、および救急活動のルートとして有効な選択肢が増えることは、防災上重要な意味を持つ」「平常時には生活道路を抜け道とする通過交通を減少させ、地域の安全性を高める」など、外環道の開通によるさまざまな効果に期待しているとした。また、国や関係機関と連携し、外環道の早期整備に向けても力を尽くすとともに、東名高速以南についても計画の具体化に向け取り組んでいくと述べた。
来賓の祝辞に続き、シールドマシンの命名式が行なわれた。名称募集は広報誌「外環ジャーナル2016年12月号」で告知されたもので、272通の応募のなかから審査の結果、南行きが「みどりんぐ」、北行きが「がるるん」と命名された。
最後に石井大臣ならびに小池都知事、来賓による「シールドマシン発進スイッチ押釦」を実施。25名の参加者が手元のボタンを押すとシールドマシンのカッターフェイスが回転。式典は終了となった。
外環道はいわゆる「首都圏三環状道路」の1つで、首都高速中央環状線と圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の間に位置する半径約15km、延長約85kmの道路。現在、三郷南IC(インターチェンジ)~大泉JCT間が開通しており、2017年度には千葉湾岸地域と接続する三郷南IC~高谷JCT(仮称)間の開通が予定されている。
今回の工事部分はリングの西側にあたり、関越道、中央道、東名高速を結ぶ約16kmの区間。計画当初、高架での建設が予定されていたが、2007年に大深度地下空間を活用する地下方式に変更。国内最大となる直径約16mのシールドマシンにより、片側3車線の本線トンネルを建設することになった。
東名JCT側からの本線トンネルは南行きをNEXCO東日本、北行きをNEXCO中日本が発注。南行き、北行きトンネルを2台のシールドマシンが同時に掘り進み、井の頭通り付近までの約9kmを掘進。掘削速度は最大500m/月となっており、約2年で予定地点に到達する。残りは大泉JCT側から発進する2台のシールドマシンが担当する予定となっている。総工費は1兆6000億円。
これまで道路工事で使用されたシールドマシンの直径は、東京湾アクアラインの13.9mが最大で、最近の例では中央環状品川線が12.3mのマシンを使用している。これらの道路が2車線だったのに対し、外環は3車線となるため、より直径の大きなシールドマシンが必要となったわけだ。
掘進距離についても例に挙げた2カ所がそれぞれ約2.5km、約8kmなのに対し、今回は約9.1kmとこちらも伸びている。なお、予定距離を掘進したシールドマシンは現地で解体され、鋼材として再利用されるという。
この路線の開通により所要時間の大幅な短縮のほか、災害時のバックアップ、周辺道路の混雑緩和などが見込まれている。特に時間短縮については現状、東名高速から関越道までは環状8号線(一般道)を経由すると混雑時には60分あまりを要するのに対し、外環を利用することにより約12分と大幅に速達性を高めることができるとしている。
開通時期に関しては東京オリンピック、パラリンピック開催前を望む声が多いものの、地質調査や用地取得の遅れなどにより、現状では未定となっている。