ニュース

ジェットスター・ジャパン、運航開始から4年目で初の単年黒字達成

今期は中国本土路線の就航を狙う

2016年8月24日 発表

 ジェットスター・ジャパンは8月24日、2016年6月期決算(2015年7月~2016年6月)を発表。2012年7月の運航開始から4年目にして、初めて単年度で黒字を達成した。付帯収入増などによる営業収入の増収、燃油費下落によるコスト減、国際線就航により保有機材の稼働率が高まったことなどを主な要因に挙げている。

ジェットスター・ジャパン株式会社 CEO ジェリー・ターナー氏

 同日実施された説明会で、CEOのジェリー・ターナー氏は、「4年が経ち、日本の航空業界の変化、進化は目覚ましいものがあると感じている。LCCの参入で日本の航空業界は活性化し、訪日ブームを引き起こしたり、地方に観光客があふれたり、新たな顧客層を掘り起こしたりし、より気軽に低コストで空の旅を楽しむ時代になった。日本における旅行の低コスト化にジェットスターが一端を担うことができたことを誇りに思っている」とコメント。

 また、「機体数を増強し、国内線の路線網を拡張することを優先に、をリピーター層を堅実に構築してきた。4年が経って、機体数は20機体制、国内11の就航地、海外3都市に就航。日本3大都市を拠点にして運航する日本で唯一のLCC企業になった。8月には日本のLCCとして累計搭乗者数1500万名を達成。日本の消費者に低運賃が認められていることを実感した」と、これまでの事業の進め方に自信を見せた。

ジェットスター・ジャパン株式会社 CFO 財務本部長 鈴木明典氏

 続いて、CFO 財務本部長 鈴木明典氏により、黒字化を達成した決算内容の説明があった。

 ジェットスター・ジャパンのブランド浸透、LCCというビジネスモデルが定着してきたことなどにより、搭乗率が大幅に改善。国際線においては2015年の香港線就航に続き、2016年6月期には、台北線、マニラ線といった新規就航先を追加。付帯収入についても前年から伸長。これらを背景に、営業収入は、前年同期比24%増、102億5700万の増収となる522億3800万円。

 営業損益は、大幅な増収に加え、費用削減の取り組みを強力に推進したこと、燃油費が前年に比べて改善したことを受けて、経費の伸びを最小限に抑えたことで、前年同期比92億5000万改善の13億500万円。経常損益は同76億8200万増の1億5300万円、純損益は同76億3400万円改善の6300万円となった。

 経営指標について、国際線6路線の新規開設などがあり、有効座席キロは前年同期比22%増の63億4200万キロ、有償旅客キロは同34%増の52億6000万キロ、有償旅客数は同15%増の521万人、搭乗率は同7ポイント増の83%と好調な結果となった。

 上記の鈴木氏の説明に加え、ターナーCEOは質疑応答のなかで、「燃油費下落は大きな要素だが、それだけに頼っていては黒字化は果たせない。これまで関空の基地化や国際線の事業認可に時間がかかるなどの問題があったが、機体の稼働率を改善させられたのが大きい」とし、深夜に運航する国際線の路線を増やして機体の稼働率を上げたことを黒字化達成の要素として強調した。

ジェットスター・ジャパン株式会社 代表取締役会長 片岡優氏

 次に、代表取締役会長 片岡優氏が2016年6月期の事業報告ならびに今後の事業戦略について説明を行なった。

 2016年6月期は、2015年11月に成田/関空/セントレア(中部)~台北線、2016年3月~4月に同3空港~マニラ線を開設し、国際線を3都市8路線に拡大。

 販売面では、ファミリーマートのFamiポートでの予約、決済が可能になり、これまで業務提携していたローソン、ミニストップを含めて全国約2万5000店舗のコンビニエンスストアでの予約、決済が可能になったことや、2016年6月にはCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)との提携で大阪府枚方市の「枚方T-SITE」に対面カウンターを設けて販売体制を強化。

 また、2016年4月には、WILLER TRAVELとの提携を発表。空港以遠の目的地までをバスネットワークで接続することを目的に、ジェットスターのWebサイトからバスチケットを購入できるようにした。

 このほか、2015年8月には「プライス・ウォッチ」機能、2016年1月からのモバイル搭乗券の運用開始、2016年3月からのジェットスターアプリへのモバイル搭乗追加といったサービスを提供した。

質疑応答で事業計画の詳細などを解説したジェットスター・ジャパン株式会社 事業・戦略本部長 田中正和氏

 今後の事業計画について、機材を今会計年度中に1機増やして21機体制とし、中国本土をはじめとする新たな海外都市への就航を目指すとする。また、「市場環境や運航リソースの状況を見極めながら」との前提はあるものの、2019年には28機体制として、さらなるネットワーク拡大を目指すとした。

 中国本土への就航については「近い将来」を目指すとし、都市名について具体的な言及はなかった。アウトバウンド、インバウンド双方をターゲットに据えるが、昨今の需要からインバウンドが多くなるとの見通しを述べるとともに、販売体制についてはジェットスターグループ内のジェットスター・アジアやジェットスター・オーストラリアが路線を有して販売網を持っており、この拠点を活用するとした。

 一方で、訪日客の伸びに陰りが見られるとの見方もあるが、片岡氏は「政府は2020年に訪日観光客4000万人という目標を掲げている。中国や香港からの訪日について以前は富裕層が来て“爆買い”をするといった状況だったが、だんだん中間層が来るようになりなり、爆買いは収まったものの人数は増えている。リオデジャネイロオリンピックで安倍総理がマリオの格好でアピールしたが、世界中の人が東京、そして日本に注目している。4年後に関しても、引き続き強いもの(注目)があると考えている」とし、今後も旺盛な訪日需要が続くとの見通しを述べた。

 このほか、7月から東京・自由が丘の「ジュノエスクベーグル」とコラボしたオリジナルベーグルや、成田山の「なごみの米屋」とコラボしたジェッ太焼き印入りどら焼きなどのコラボメニューを提供しているが、このような他社と共同開発した機内メニューを提供するなど、他社との提携によるサービス強化、同社予約サイト、モバイル対応の強化などの販売体制の強化を図っていく。