旅レポ

ジェットスター・ジャパン、WILLER TRAVEL業務提携によるツアー第1弾「AIR & BUS成田発伊勢行きツアー」に参加した

飛行機とバスによる新しい旅行環境の可能性を体感

 6月1日に運航されたジェットスター・ジャパンの特別フライトを利用した1日限定ツアー「AIR & BUS成田発伊勢行きツアー」の体験レポートをお届けします。

 国内観光旅行のさらなる質の向上と規模の拡大を目指し、4月27日に業務提携することを発表したジェットスター・ジャパンとWILLER TRAVELが取り組む最初のツアーとして企画されたのが、この「AIR & BUS成田発伊勢行きツアー」です。

 長距離を短時間で結ぶ飛行機は、その特性上空港から空港への移動には圧倒的なメリットを持つ一方、その周辺地域までのサービスは提供しにくい。一方、その周辺地域を網羅でき、時間的制約も少なく夜行便も運行されているのが高速バス。そんな2つの特性を組み合わせ、国内旅行におけるシームレスな環境を実現する第一弾がこのツアーなのです。

 さて、出発当日。ジェットスターが発着する成田空港第3ターミナルは鉄道駅がなく、第2ターミナルから630mもの距離を歩くか、ターミナル連絡バスを利用することとなりますが、実はバスで成田空港入りした場合、第3ターミナルまで直接乗り入れるので非常に楽だったりします。今回のツアーとは直接関係ないものの期せずして出発時の朝からバスのメリットを享受しての旅のスタートとなりました。

 ツアーの始まりは9時50分発のGK881便による成田~中部(セントレア)のフライトです。この便は今回企画された「AIR & BUS成田発伊勢行きツアー」のための特別フライトのため、搭乗口では搭乗者全員に登場証明絵馬や参宮の木札などお土産が配布されました。

 ツアーは成田から伊勢への片道運賃のみ、伊勢での食べ歩きクーポンや神楽&お伊勢案内がセットになったもの、復路の高速料金までがセットになったものなどバリエーションがあり、価格も7490円から1万2690円とリーズナブル。なおジェットスター搭乗時の受託手荷物20kgまでの料金も含まれているので荷物の多い人でも安心です。

6月1日、たった1日限定の特別フライト GK881便。現在ジェットスターによる成田~名古屋(中部)の定期便はありません
搭乗前に乗客全員にお土産が渡されます
手渡されたお土産入りのバッグ
参宮の木札
GK881便 登場証明絵馬
絵馬は実際に書き込みスペースがあるので実際に奉納できます

 セントレアまでの飛行時間はわずか1時間15分。短いフライトですが機内ではこの便が「1日限りの特別フライト」であることがアナウンスされ、搭乗口で渡されたお土産の中にひっそりと同封されていた番号札による機内抽選会が行なわれました。幸運な1名にはとれたての伊勢名産品の参宮あわび等を煮あげた、伊勢せきやの「夏旬鮮」が贈られました。実は機内でもかなりうらやましかったのですが下衆な筆者は帰宅後その価格を調べ、再びうらやましさが湧き上がってきてしまいました。かなりイイモノです。

伊勢の名産品が当たる機内での抽選会
幸運な当選者には伊勢せきやの「夏旬鮮」が贈られた
ファーストネームで書かれた名札に親近感。国旗は対応できる言語を示している
GK881便を担当した乗務員

 盛り上がった機内も搭乗した乗客すべての方にご利益がありますように、とのアナウンスで締められあっという間にセントレア到着。それに合わせ、すでに空港には伊勢行きのバスが待機。このシームレスな環境こそがツアーの魅力です。交通機関を乗り継ぐ旅行の場合、一つ一つの乗り継ぎ時間はわずかであっても旅程全体で考えるとその合計は案外大きなものとなる場合がありますから。

 ちなみに待機しているのはWILLER EXPRESSのピンクのバスかと思いきや今回はセントレア~伊勢神宮を名鉄観光バスが担当。地域との連携や効率を考慮しツアーは組まれているようです。

セントレア到着時にはすでに伊勢行きのバスがスタンバイ。セントレア~伊勢は名鉄観光バスが担当
全シートコンセント付き
乗用車とは違う高い位置から眺める開放感のある風景も、乗用車移動の多い筆者には楽しいものでした

 バスは高速道路で伊勢湾をグルッと回り一路伊勢へ。お腹も空いたので伊勢神宮 内宮そばのおはらい町通り(旧参宮街道)/おかげ横丁でまずは昼食をとります。ここは自由行動ですのでツアー料金に含まれる食べ歩きクーポンで名物のお団子やコロッケを頬張りながらゆっくり過ごすのもよし。伊勢名物のうどんやてこねずし、はたまた松坂牛をがっつりいただくのもよし。もちろん両方いただくのもよし。旅の形はイロイロです。

 筆者は名物の食事を一気喰い!と欲張り、内宮にほど近い食堂「ゑびや」で地元で水揚げされた鰹を使った伊勢志摩の定番名物「てこねずし」、それの豪華版でいろいろな地魚が盛られた「特製地魚てこね」、「松坂牛 霜降り焼牛丼」、そして「伊勢うどん」すべてを選択。筆者と食事をご一緒した2人で4品をシェアして楽しみました。これで伊勢神宮の見学前の腹ごしらえも充分。いざ伊勢神宮へ。

おはらい町通り(旧 参宮街道)
伊勢名物 伊勢うどん
伊勢志摩の定番名物てこねずし
松坂牛 霜降り焼牛丼
日替わりの特製地魚てこね。イサギ、鰹、サワラ、蛸、エボダイ、トビコ、伊勢真鯛、鮑、すべて三重県産

 今回筆者が体験したのは伊勢案内がセットになったものなので文字通り案内人が同行しての伊勢神宮参拝となります。最初に内宮の参拝です。

 伊勢神宮はリピーターも少なくない人気のスポットで筆者自身も3度目でしたが案内人に同行していただいたのは初めてです。今までより伊勢神宮をちょっぴり深く感じ、そして知ることができました。正直言って今までの参拝がいかに漠然としたものであったかを反省するとともに、その軽妙な語り口に大いに楽しめました。

 再訪する機会があれば是非また同行してもらいたいものです。内宮参拝後、外宮へ。ここは短い区間ですので地元の路線バスで向かいます。外宮での参拝を終え、しっかりと歩き続けた体にご褒美ということで夕食会場へ向かいます。

伊勢神宮 内宮(皇大神宮、こうたいじんぐう)。五十鈴川に架けられた宇治橋は神宮の表玄関です
伊勢案内人の解説付きだと伊勢神宮の参拝が一層深く楽しめる
宇治橋を渡ってすぐ左側が橋を見渡せる記念撮影スポットだそうです
手水舎で手と口を清め参拝開始。正しい手順は案内人が詳しく教えてくれます
正宮。階段から先の撮影は禁じられています
伊勢神宮 内宮(皇大神宮、こうたいじんぐう)
伊勢神宮 外宮(豊受大神宮、とようけだいじんぐう)へ
外宮は左側通行です(内宮は右側通行)
豊受大御神は天照大御神の食事をつかさどる御饌都神。そしてお米をはじめとするあらゆる産業の守り神。話題のハート型の石もこの外宮にあります

 夕食はかつて外宮前に存在した大正時代の建造物を復元したというレストラン「伊勢外宮前勢乃國屋豊恩館 勾玉亭」で。こちらも地元食材にこだわったメニューが並びます。

 ちなみに神宮参拝の案内人の方曰く「食事は神のおさがりといえます。そして外宮に祭られている豊受大御神は食の神様。そんな神様のお膝元だからこそ、参拝のあとは食事やお酒を十分に楽しんでください。それが直会(なおらい)というものです」とのことだ。

 そう、今回はマイカーやレンタカーを使わない行程で帰路は夜行バス。あとは寝るだけなのだ。というわけでしっかりお酒も楽しませてもらいました。

夕食は伊勢外宮前勢乃國屋豊恩館 勾玉亭にて
エビの卵かけ、穴子のチリソースなど海産物から野菜まで地元食材にこだわった料理
左から鯛、ヒラマサ、トビウオ、こちらも地元の食材です
伊勢志摩サミット直後とあってサミットでも提供されたという地元の地酒「酒屋八兵衛 山廃純米酒 伊勢錦」も用意されていました
レストランのそぐそばにWILLER EXPRESSのバス停(伊勢市駅前)が。帰宅はここから定期便で新宿へ向かいます
4列シート、全席にコンセント完備
21時前には伊勢市を出発、新東名高速道路経由で5時40分頃新宿到着。コーヒー飲んで一休みしたらいざ仕事へ!!
今回の行程は上記2つのパターンによるものです。飛行機で目的エリアまで一気に向かい到着地からはきめ細かい運用が可能なバスが受け持つ。また出発空港までの足もバスが受け持つことでよりきめ細かいサービスが可能となります(左)。と同時に往路を飛行機を利用し時間短縮をはかり現地滞在時間を確保。夜まで目一杯楽しんだあと、復路では飛行機や鉄道がカバーしていない深夜を利用する欲張りパターンです

 機内での抽選会から始まって伊勢神宮 内宮、外宮の参拝、そしてさまざまな地元料理を堪能。ここまでがたった1日のこととは思えないほどの充実ぶり。少々駆け足気味なところもありましたが満足度の高い1日でした。

 もちろんこのあと伊勢やその周辺都市で一泊するのも自由。次の目的地へ向かうのも自由。そんな気ままな旅を実現するのがジェットスター・ジャパンとWILLER TRAVELが打ち出す飛行機とバスによるハブ&スポークの構築だと帰り際にあらためて実感。

 既存の路線のみならず運航事業者だからこそできる特別フライトを含めオリジナリティあふれるツアーの可能性の一端も見えました。鉄道からすっかり姿を消してしまった夜行の旅はバスで継承。翌日早朝から仕事が入っていた筆者にも堪能できる伊勢の旅でした。

高橋 学

1966年 北海道生まれ。仕事柄、国内外へ出かける機会が多く、滞在先では空いた時間に街を散歩するのが楽しみ。国内の温泉地から東南アジアの山岳地帯やジャングルまで様々なフィールドで目にした感動をお届けしたいと思っています。