大城和歌子の沖縄グルメ&スポット
冬だからこそオススメ! ぶらり、首里さんぽ
(2016/1/30 00:00)
首里城をはじめ文化財、史跡が多く点在し、坂道や曲がりくねった小路が古都の雰囲気たっぷりの首里は、散歩するのにお勧めの場所だ。2016年の年明け某日、ふらっと首里に向かった。
ゆいレールの首里駅から「龍潭通り」を進むと、約15分ほどで首里城の入り口にたどり着く。この通りは、城下町としての景観を美しくしようということで、2002年に景観形成地域に指定された。建物の一部には沖縄伝統の赤瓦を使い、外壁の色や看板の色に統一性を持たせている。コンビニの看板も首里色なので注目してほしい。
沖縄がテレビ番組などで紹介されるとき、出てくる映像はコバルトブルーの海と、石垣に囲まれた赤瓦屋根の平屋が並ぶ町並みだ。
しかし赤瓦屋根の家が並ぶ地域は、今やごく限られている。ましてや中心地の那覇市内にはそのような風景はほとんどない。米軍からの返還地に至っては、一から街づくりができるにも関わらず、景観など考えず個性だけ主張する建物が乱立する雑然とした街並みになっている場所も多い。
そんな状況のなか古都・首里が、町並みの景観をよくしようと動いているのはとてもうれしい。これが観光資源の一つとしてもっと知られてほしい。
さて、「首里城前」交差点から首里高校方面に向かう。この辺りには、紅型(びんがた)の工房などが点在する。紅型とは沖縄独特の染め物で、原色を多用した鮮やかな柄が特徴だ。
小さな脇道に入り金城町の石畳道を目指す。琉球王朝時代、城下町の首里には石畳が敷かれていたが現在その姿を残す場所はほんのわずか。
住宅街にひっそりと残るこの石畳の坂道は、いにしえの先人たちが一つ一つ石を運び敷き詰めた苦労を語ってくれる。アスファルトに慣れてしまった現代人の私たちには歩きやすいとはいえないが、当時は数少ない整備された美しい道だったのだろう。今後も残してほしい歴史の一部だ。
石畳道の途中、ある指標が目に入った。見てみると樹齢300年を超える大アカギという樹木があるとのこと。道案内に従って住宅の間を通り抜けると、緑に覆われた小さな森にたどり着いた。
風に揺れる木々のざわめきは、厳かな雰囲気を醸し出す。マイナスイオンに包まれ、心身が浄化される感じがする。指標にあった大赤木は、森を守るように大きくそびえている。拝所も設けられており、このあたりの住民にとって鎮守の木であるようだ。
沖縄は自然崇拝、先祖崇拝を大切にしている。戦禍を逃れ、今でもどっしりと根を張り緑を育む大木はとても神秘的だ。石畳道にもどり、
さらに下ると金城ダムの道に出た。金城ダムは人工物でありながら自然も取り込んだ、いい雰囲気の場所だ。
このダムは、安里川の氾濫による被害を防止するために造られた。安里川は首里から国際通りを通り、泊港まで流れる川だが、大雨のために氾濫しており住宅街などに被害をもたらしていたそうだ。そこで、洪水調節と流水の正常な機能の維持を目的に2000年度(平成12年度)に完成した。
貯水槽の周辺は散歩道になっており、この日も犬の散歩をする人、のんびりベンチに座る人、近くの中学の部活生がランニングをするなど、公園としても親しまれている。水辺には野鳥の姿も。
見逃せないのが、ダム公園内にある古い橋「ヒジ川橋」。首里と識名園を結ぶ道の途中にある金城川に架けられた橋だそうで、17世紀中頃に造られたといわれる石造りのアーチ橋。県指定有形文化財に指定されている。
このような文化財が、ダム造成時にも撤去されることなく今も残っていることに感動する。
一回りするだけでもけっこう歩きでがあり、散歩コースとしてお勧めの場所だ。緑と水に癒された。
ダム上流の門から出て大通り方面へ。再び首里城方面に向かう。大通りからそのまま首里駅に行ってもよかったのだが、なんとなく野生の勘(?)により脇道に入ってみた。
初詣ののぼりが。どうやら近くにお寺がある模様。
たどり着いたのは西来院というお寺で、通称「だるま寺」というそうだ。まだ初詣を済ませていなかったので、これも何かの縁と思い初詣。
おみくじも引いた。
大吉。
ここにたどり着いたのは、野生の勘というより、呼び寄せられたのかもしれない。
だるま寺をあとにし、今日の散歩は終わることにした。約3時間の散歩、いい運動にもなったし、歩いていると普段見逃してしまう小さな、でも深い意味のあるものに出会えた。
首里は、戦争により大きな打撃を被った。それでも近隣住民の方々の思いや、行政の働きかけで、琉球王朝の歴史を今も伝えてくれる場所になっている。
首里散歩、オススメである。
……が、夏はあまりオススメしません。暑さで溶けてしまいます(笑)。冬のうちにぜひ!