大城和歌子の沖縄グルメ&スポット

元気満点、美味しさ満点、お腹満タンな居酒屋

 沖縄の人はお酒が好きというイメージをお持ちの方は多いのではないだろうか?

 はい、当たりです(笑)。お酒が好きだし、お酒を飲みながらワイワイ楽しくやるのが好きだ。もちろんお酒を飲めないウチナーンチュもいるが、酒の席は好きという人も珍しくない。

 そんな酒好き文化の沖縄なので、飲み屋の数もハンパない。居酒屋などは、大将が1人で切り盛りしてるような小さな店から全国チェーンの有名店まで、どこに入るか迷うほどだ。

 私も馴染みの店を何軒も持っているので(笑)、なかなか全部をまわりきれないのが悩みのタネ。今回はそのなかでも特にお気に入りの居酒屋を紹介しよう。「元気炉端まんたん」。その名のとおり、元気のよい挨拶で迎えてくれる店だ。

入り口に扉はなく、石畳が奥へ続いている
石畳の突き当りに縁側風の入り口がある。隠れ家的な店構えだ

 店主のテルキさんと料理長のヨシキさんは兄弟。息の合った連携プレイで切り盛りする。客層はわりと落ち着いた世代が多い。ビジネス街に近いこともあり、サラリーマンや公務員が仕事帰りに、またカップルや女性同士のお客さんも目立つ。

 テルキさんが以前バンドをやっていたこともあり、お店にもバンドマンたちがやってくる。そういう仲間たちと音楽談義をするのも楽しい。

店主のテルキさん。頼れる兄貴だ
料理長を務めるのは、弟のヨシキさん

 オープンキッチンなので、彼らの気持ちのよい仕事っぷりを目の当たりにできるのも楽しい。まんたんの一番のお勧めは、目の前で焼いてくれる炭火を使った焼き物だ。

キッチンを囲むようにL字に配されたカウンター席
掘りごたつの座敷は、襖を閉めれば個室としても使える
少人数向けの隠れ部屋的な個室もあり
これこそ、なくてはならないアイテム! 炭に火をおこし、焼きに入る

 この日食べたのは軟骨ソーキのあぶり焼き。ソーキとは豚のあばら肉のこと。自家製のタレに漬け込んだソーキを、炭火でじっくりと焼く。肉はジューシーで柔らかく、軟骨も食べることができてコラーゲンもたっぷりだ。胡椒でピリリと味にアクセントを加えている。

 炭火焼きは豚や鶏などの肉ももちろんだが、野菜も超お勧め。シンプルだが素材本来の美味しさを味わえる。私は玉ねぎか長ねぎかでいつも迷う(笑)。

しっかり味が染みこんで、肉も軟骨も柔らかく焼き上がった軟骨ソーキあぶり焼き。630円

 日替わりのお勧めメニューには、魚料理も多くラインアップされている。この日作ってもらった「ミーバイのガーリックバター焼き」は、醤油ベースの味付けながらワインも使い、洋の風味も醸し出している。料理長のヨシキさんは洋食の経験もあるので、和と洋をミックスさせたオリジナリティのある料理を得意としているのだ。このあたりも女性客に人気の要素かも知れない。

和と洋がミックスされた味付けに仕上げたミーバイのガーリックバター焼き。600円~(※魚の大きさにより料金が変わります)

 沖縄の家庭料理もいろいろある。この日のチョイスは「ナーベラーの味噌煮」。ナーベラーとはヘチマのこと。

「え! ヘチマを食べるの?」とびっくりする方も多いだろうが、沖縄ではごく普通の食材だ。かく言う私も最初はびっくりしたが、初めて食べたときは感動した。食感はナスに似ており柔らかい。ちょっと青臭さがあるが、そこが好きだという人も多い。

 ナーベラーの代表的な料理法は味噌煮。まんたんでは、味噌に自家製の油味噌を使っている。油味噌とは、これまた沖縄ではオーソドックスな調味料で、味噌に豚の脂、砂糖などを加えて作る。沖縄方言で「アンダンスー」などと呼ばれている。ご飯のお供にする人も多い。沖縄のコンビニには油味噌おにぎりが普通に売っている。

 数種類の味噌を合わせたまんたん特性油味噌は、深みがあり優しい味。ナーベラーと豆腐に味が染み込み、落とし卵が優しさをプラス。さらに、たっぷりかかった鰹節が香ばしさを添える。おつまみとしても最高だが、白飯がほしくなる味わいだ。

ナーベラーの味噌煮。器の下の方に見える緑色の食材がナーベラー、つまりヘチマだ。650円

 元気なスタッフと美味しい料理でいっそう元気になれるお店。ついつい時間を忘れて長居をしてしまう。お店を出る頃には、お腹も心も満タンになっている。

 年末のカウントダウンには、ふるまい酒も用意するそうだ。2016年は、居酒屋でワイワイ楽しく迎えてみてはいかがだろう?

施設情報
店名元気炉端まんたん
所在地沖縄県那覇市久茂地3-16-6
TEL098-861-1993
営業時間月~木18時00分~01時00分、金・土18時00分~03時00分、日18時00分~24時00分
定休日不定休

大城和歌子

横浜生まれのウチナーンチュ二世。東京での出版社勤務を経て1998年11月に沖縄移住、フリーのライターとなり「和歌之介」のペンネームで活動。主に音楽系記事を得意とし、沖縄インディーズの隆盛を間近で体感した。自らも音楽活動をゆる~く展開。現在、那覇市内でレコードバー「リンドウ」を営んでいる。