旅レポ

ハワイ諸島間ネットワークが強みのハワイアン航空で羽田からハワイ島へ行ってみた

ハワイアン航空のエアバス A330-200型機

 日本人に人気の海外旅行地のトップ10に常に顔を出すといってもよいであろうスポット「ハワイ」。そのハワイを拠点として、日本とハワイを結んでいるのがハワイアン航空だ。9月現在、日本路線は羽田空港、関西国際空港、仙台空港経由~新千歳空港とホノルルを結ぶ3路線を運航している。このうち9月末をもって仙台空港経由を廃止し、新千歳~ホノルル直行便とすることがすでに発表されている。

 日本人に人気の観光地ということもあって、日本とハワイを結ぶ路線は多く、国内エアラインではANA(全日本空輸)、JAL(日本航空)が。海外エアラインでは、ユナイテッド航空、デルタ航空、チャイナエアライン、大韓航空が、それぞれホノルルへの便を運航している。

 そうした競合に対するハワイアン航空の強みはいくつか考えられるが、1つは東京都心から近いことで人気を有する羽田便を持っていることだ。羽田~ホノルル線を運航しているのは、ハワイアン航空のほかは国内エアラインのANAとJALのみ。海外エアライン唯一の羽田~ホノルル便なのである。ちなみに、ハワイアン航空の羽田~ホノルル線は、現在の羽田空港国際線ターミナルが2010年10月に供用を開始した際に開設が認められたもので、同年11月に就航した。

 もう1つの強みは、ハワイを拠点にすることから、同地におけるネットワークが充実している点にある。日本の国内線は海外エアラインよりも国内エアラインの方がネットワークが充実している。ハワイにおいては、ハワイを拠点するハワイアン航空のネットワークが充実しているのはある意味で当たり前のことではある。

 しかしながら、ハワイという土地は大小多数の島から成っている点に注目する必要がある。就航地の空港に到着後、陸続きの場所であれば飛行機以外にも鉄道やバスなどの陸路という選択肢がある。しかしながら、ハワイのように島が多く、しかもそれぞれの島がそれぞれの魅力を持った観光地として成立しているような土地では、移動のニーズが高い一方で、その手段は限られる。船という選択肢を思い浮かべる人もいるかもしれないが、船旅そのものを楽しむならばともかく、目的地へ向かう交通手段としては主に速度の点で現実的には飛行機という選択肢に絞られると言ってもよいだろう。

 と、理屈ではこのような利点が思い浮かぶハワイアン航空だが、そのサービスや実際の乗り継ぎの利便性を確認すべく、羽田空港からオアフ島・ホノルル空港を経由して、ハワイ島・コナ空港へ行ってみることにした。

ホノルル国際空港。ここで乗り継いで最終目的地のハワイ島・コナ国際空港へ向かう

羽田~ホノルル線は時間を有効に使えるタイムテーブル

 今回、日本を出発する際に利用する便は、羽田空港(23時55分)発~ホノルル空港(12時05分)着のHA458便だ。ハワイアン航空はANA運航便によるコードシェアも行なっているが、ハワイアン航空運航による羽田~ホノルル線は同便のみとなる。

 羽田空港を出発するのは深夜になるので、昼間は仕事や学校など普段どおりに過ごして、夜からハワイへ移動といったことが可能だ。すぐに思い浮かぶシチュエーションとしては、金曜日の日中に仕事をして夜からハワイへ移動。週明けに何日か有給休暇を取得しておけば、時間を有効に活用したハワイ旅行を楽しめる。時差が19時間あり、現地到着はハワイ時間の正午頃。乗り継ぎにも余裕があるし、オアフ島滞在を予定している人は到着日にもアクティビティの1つ2つは楽しめる時刻だ。

 一方、日本へ帰国する際の便は、ホノルル(17時55分)発~羽田(22時05分)着。やはり離島から乗り継ぎに便利なほか、オアフ島内であれば帰国便の出発日にもゆっくりできる。往復ともに、ハワイ旅行の時間の効率を最大限にできるよう発着時刻が設定されているようだ。

 使用機材は、ビジネスクラス18席、エコノミークラス276席の計294席仕様のエアバス A330-200型機。観光需要が高い路線らしくエコノミー席の割合が多い。エコノミークラスのうち36席は、エクストラ・コンフォートと呼ばれるシートピッチが広い席となっている。通常のエコノミークラスのシートピッチは78~81cm(31~32インチ)で、国際線としては標準的な間隔だ。ただ、配列は2-4-2の8アブレストでシート幅に余裕があり、約7時間のフライトも窮屈な思いをせずに過ごせたのは好印象だ。

 全席にタッチスクリーン対応のシートモニターも備える。プログラムは映画や音楽、ゲーム、フライトマップといった一般的なものに加え、ハワイアン航空の歴史を紹介するビデオや沿革を紹介するコンテンツなど、飛行機に興味がある人ならつい見入ってしまうであろうユニークなものもある。なお、映画については日本語字幕、日本語音声を持つのが一部である点には注意だ。シートモニターの脇にはUSBポートも備えており、スマホの充電を行なえる。

 ちなみに、機内安全ビデオは8月にリニューアルされ、ハワイの観光地を背景に30名を超えるハワイアン航空職員らが登場するものが上映されてえる。

エコノミークラスのシート。シートピッチは31~32インチ程度で国際線機材としては一般的だが、シート幅の広さのおかげで、約7時間のフライトでも窮屈さを感じさせなかった
機内の照明が落とされた時はムーディな光に
全席にシートモニターとUSB充電ポートを備えている
ハワイアン航空の歴史を説明したプログラムが意外にハマる機内エンターテイメントシステム
ハワイアン航空が8月から上映している機内安全ビデオ「Aloha and Welcome Aboard! Hawaiian Airlines In-Flight Safety Video」

 このほか、エコノミークラスの乗客にも、ハワイで人気のアパレルブランド「Manuheali'i」(マヌヘアリィ)デザインのアメニティグッズが配布される。これは4月からリニューアルしており(当該記事参照)、中身はアイマスク、耳栓、ヘッドフォンのセット。機内でゆっくり過ごすのに便利なアイテムが入っているうえ、ヘッドフォンはカナル型の汎用的なものなので降機後も何か使い道を見つけたくなる。

2015年4月からリニューアルされた「Manuheali'i」(マヌヘアリィ)デザインのアメニティグッズ。写真はエコノミークラスで提供されているもの
機内誌など。日本語の機内誌も用意されておりハワイの観光スポットなどが紹介されている

 羽田~ホノルル便での機内食は2回だった。なお、本記事の機内食は搭乗取材をした5月時点のもので、9月よりリニューアルしているのでメニューが異なる点はご了承いただきたい。9月からの機内サービスの概要はこちらの記事を参照してほしい。

 さて、1度目の機内食は出発後1時間ほどした頃で、(日本時間では)夜遅い時刻ということもあってか、手巻き寿司、卵焼き、唐揚げという軽食メニュー。手巻き寿司は具が入っていないものなので、唐揚げや玉子を巻いて、天むす風の手巻き寿司にして食べたが、多くの人はこれから就寝するであろう前に空腹を満たすのにちょうどよい量だった。

 2度目の食事は、離陸後5時間半~6時間が経過した頃で、到着まであと1時間ちょっとという時間帯だ。到着がハワイ時間の正午頃であることを考えると、ブランチといったところだろうか。こちらはロコモコ風の食事で食べ応えのあるもの。到着後に入国審査や税関などを通過して……という時間が待っているので、そのための腹ごしらえとして絶妙のメニューだ。

 エコノミークラスの機内食とはいえ、ハンバーグにかけられたグレービーソースの風味がよく、さすがは本場のエアラインと感じさせる味も印象的だった。ハワイが近付いたところでこのメニューは気分も盛り上がる。

 復路は逆に1度目の機内食がボリュームのあるもの、2度目が軽食のサンドイッチだった。ホノルル発が夕方なので、ちょうどディナータイムに当たる時刻に機内食が出ることになる。日本に到着するのは22時過ぎと夜遅い時間となり、あとは家に帰って寝るだけ、と考えると、到着前を軽食とするのはベターな判断だと思う。

 このほかに紹介しておきたいのがドリンク。記者は日本人だったためか、CA(客室乗務員)からは「オレンジジュースやリンゴジュースはどう?」(注:もちろん英語)と訊ねられたが、「POG」(ポグ)と呼ばれる、ハワイではおなじみのジュースの注文が可能だ。POGは、パッションフルーツ、オレンジ、グアバの頭文字を取って名付けられたもので、これらのフルーツのミックスジュース。酸味と甘みが同居したクセになる味だ。

 また、ハワイの飲み物といえばコーヒーも定番。コナ・コーヒーで知られるように、有名な豆の産地もある。ハワイアン航空で出されるコーヒーは同社オリジナルのブレンドとのことで、ちょっと薄めだが、ほどよい酸味の飲みやすいコーヒーだった。

 こうしたハワイらしいドリンクは、特に往路で楽しめると思う。往路の機内食で提供されたロコモコや、こうしたドリンクは到着前からハワイへ行くワクワクが高まってくるというか、むしろ、飛行機のなかからハワイの一部のように感じて楽しめる。ハワイを拠点とするハワイアン航空の面白いところだ。

往路で最初の機内食は、唐揚げや卵焼きとともに味わう手巻き寿司
往路2度目の機内食はハワイらしい「ロコモコ」
復路最初の機内食はチキンを煮込んだもので日本人の口に合う
復路の2度目はランチボックス風にパッケージされたサンドイッチ
ハワイらしいドリンク「POGジュース」
ハワイアン航空オリジナルブレンドのコーヒー

ホノルル空港ではすぐに荷物を預けて徒歩数分で乗り継ぎ先のターミナルへ

 機内でハワイ気分が高まったところで、飛行機は到着。この日はほぼ定刻どおりに着陸。国際線到着ロビーに降り立った。そして、入国審査、税関といったCIQ施設を通って入国となる。

 アメリカでは原則として、最初に入国する空港で預け入れ荷物を受け取るというルールがある。日本からハワイへ行く場合、ほとんどはホノルル空港が最初の入国地となるはずなので、ここで預け入れた荷物を受け取る必要がある。

 ホノルル空港から別の島への乗り継ぎまでを1つの航空券を購入していれば、航空会社側が預け入れ荷物の最終目的地も登録していることが多い(出発時にチェックインカウンターで確認しておこう)。異なる航空会社などでは再チェックインが必要になったりするが、今回のハワイアン航空→ハワイアン航空のように同一航空会社での乗り継ぎの場合は乗り継ぎ用の荷物預け入れカウンターへ進むことになる。

 ホノルル空港の税関を抜けて左方向の出口を出ると、右手にハワイアン航空の看板がある。カウンターではないのでちょっと不安に思うかも知れないが、ここのスタッフに預け入たい荷物を渡すだけで、乗り継ぎ便への預け入れが完了となる。ちなみにこの看板は移動も可能で、帰国時にも様子を見に行ったら、到着時とは別の場所に設置されていた。とはいえ、目立つのですぐに見つけられるだろう。預け入れ荷物をホノルル空港で持っていた時間は10分足らずで、階の移動もなく再度預けられるのでラクだ。

 そして、その近くにあるエスカレータで1つ上の階へ移動し、振り向いた先にはすでにハワイアン航空の出発ロビーが見えている。この“振り向く”というところさえ間違えなければ徒歩で2~3分といったところで、荷物もなく、シャトルバスなどの乗り物を待つこともなく、極めて効率的に移動できる。

空港内の税関を抜けて左側の出口から外へ出ると、右手にハワイアン航空の看板。そこのスタッフに預け入れ荷物を手渡す
その近くにあるエスカレータまたは階段を使って1つ上のフロアへ
階を上がって振り返ると、奥に見えるのがハワイアン航空の出発ロビー。預け入れ荷物もない身軽な状態で徒歩2~3分もあればたどり着ける

 ホノルル国際空港の施設は、アルファベットの「L」字型のレイアウトになっており、長い辺が国際線およびアメリカ本土への便を運航するアメリカの航空会社、短い辺がハワイアン航空およびハワイの離島路線を運航する航空会社のロビーとなっている(詳しくはホノルル国際空港Webサイトのターミナルマップを参照されたい)。

 そして、L字の角に当たる部分に国際線到着ロビーとハワイアン航空の出発ロビーが設置されているのだ。結果、最短距離で国際線~国内線(逆もしかり)の乗り継ぎが可能になっている。

 もっとも国際線は基本的に同一のターミナルに到着するので、離島行き便へ乗り継ぐ際の距離の短さは、国内線から国際線の時により強くメリットと感じられるはずだ。ターミナルビルのL字の長い辺は450~500mほどある。例えば、離島からホノルル空港へ到着し、長い辺の先端にあるロビーを使っている航空会社を利用しようと思うと、これだけの距離を移動する必要があるわけだ。もちろんシャトルバスはあるのだが、待ち時間などが発生する。無理のない距離を徒歩で移動できる気楽さは、地元航空会社の拠点空港であるがゆえのメリットと言えるだろう。

出発ロビーにはハワイアン航空のカウンターが並ぶが、出発地の羽田で乗り継ぎ便の手続きも終わっているので、そのままセキュリティチェックへ進めばOK
ホノルル空港~コナ空港で運航されているボーイング 717-200型機
ハワイ島へ向かう機内でもPOGジュースを頼んでみたら、こちらはハワイアン航空オリジナルパッケージ

 そんなわけで、特に苦もなくハワイ島・コナ国際空港行きの飛行機へ乗り継いだ。ホノルル空港とコナ空港を結ぶ路線には、ボーイング 717-200型機が使われていた。ビジネクスラス8席、エコノミークラス115席の小型ジェット機だ。エコノミークラスは2-3配置の5アブレスト。

 シートピッチは29インチ程度と国内線らしさ狭さだが、ハワイ諸島内の移動では気にするほどではないだろう。このホノルル~コナのフライト時間も46分と、記者にとっては日々の通勤時間より短いほどで、ここでもPOGジュースを飲んだり、窓からの青い海や島々を見ていればあっという間に着いてしまう。

コナ空港にはボーディング・ブリッジなどはなく、緩やかに傾斜を付けたタラップでの乗降
ハワイアン航空のボーイング 717-200型機は機体ごとに異なるハワイ語が書かれている。どの言葉の機体に乗ったかを記憶しておくと楽しさが増すかも知れない

 そして、コナ空港に到着。以前は日本から直行便もあった国際空港であるが、国際空港というよりは、リゾート地のローカル空港という雰囲気に包まれている。当たり前のようにタラップを使って乗降し、ターミナルは平屋建てで2階がない。飛行機から一歩出た瞬間に飛び込んでくるこうした光景に、リゾート気分が一気に高まるはずだ。

 ホノルル空港で(ほんの数分移動しただけで)預け入れ直した手荷物も無事に到着。ちなみに、預け入れ荷物を受け取るターンテーブルも外部からの出入りが可能な開放的なスペースに設置されているので、飛行機を降りてからは早めに移動した方がよさそうな印象は受けた。

 ただ、よい意味でコンパクトな空港でもあり、空港を出るのも、チェックインをしてセキュリティエリアに入る時も、その移動距離は極めて短い。空港内にはお土産物屋や飲食店もあり、復路で訪れた際にはストリートパフォーマンス風のフラダンスショーも行なわれていた。

車窓から望むコナ空港。火山が生み出した黒い大地と青い海に囲まれた独特の風景
コナ空港のターミナルは2つ。どちらの平屋の建物で、屋根のない中庭を囲むように搭乗口を設けている
コンパクトな空港なので移動距離が短いのは魅力。ツアー旅行以外では多くの人が利用するであろうレンタカーはターミナルを出てすぐに送迎バスの乗り場があるし、出発時のチェックインカウンターも同様にバスを降りたら目の前

 このように、実際にハワイアン航空を使ってみて強く感じたのは、「やっぱりハワイを拠点とする航空会社だな」という点。今回利用した羽田路線では、ハワイを有意義に過ごせるようタイムテーブルが組まれ、離島へ行く人への配慮がなされている。もちろん文中で触れたホノルル空港での移動距離の短さは地元航空会社ならでは。

 ちなみに、ハワイアン航空は、ホノルル空港からコナ(ハワイ島)、ヒロ(ハワイ島)、カフルイ(マウイ島)、リフェ(カウアイ島)への便を運航するほか、子会社の「オハナ・バイ・ハワイアン」によりモロカイ(モロカイ島)、ラナイ(ラナイ島)の便を持っており、そのネットワークはハワイ諸島全体に及ぶ。こうした離島が目的地の場合には、日本でチェックインして最終目的地までの手続きをまとめて行なえることが大きなメリットになる。

 ハワイ中を飛びまわってバカンスを楽しむなら、日本~ハワイ間もハワイアン航空を利用することで乗り継ぎや手続きを簡略化でき、より気楽な旅に繋がるだろう。

帰路の機内からハワイとの別れを惜しむ。ウイングレットに描かれたハワイアン航空のコーポレートカラーが青い海に映える

編集部:多和田新也

Photo:高橋 学