【イベントレポート】ツーリズムEXPOジャパン2016

フランス観光開発機構、「テーマで巡る魅惑のフランス」セミナーを開催

2016年9月22日~25日 開催

 2016年9月23日、フランス観光開発機構は「ツーリズムEXPOジャパン」において「テーマで巡る魅惑のフランス」と題したセミナーを開催した。

フランス観光開発機構 ジェネラル・マネージャー クリスチャン・マンティ氏

 冒頭で挨拶したフランス観光開発機構 ジェネラル・マネージャーのクリスチャン・マンティ氏は「フランス経済にとって、観光業はGDPの7%を占めており、非常に重要な産業となっています。その観光業には、政府レベルだけでなく地方自治体もコミットメントしています。ここには、日本の観光客の方々が自分たちの地方に来てもらいたいと、強い意志を持っている人々が登壇し、その地方の魅力を語ります」と、セミナーの趣旨を説明した。

 また、テロの発生により日本からの団体観光客が減少しているという認識を示しつつも、「2017年は間違いなく回復の年になる」と自信を見せた。

アルザス地方観光局 総裁 マリー・レーヌ・フィッシャー氏

 続けてアルザス地方観光局 総裁のマリー・レーヌ・フィッシャー氏が登壇した。ストラスブールを首府とするアルザスは、ヴォージュ山脈とライン川に挟まれたドイツに隣接した地方であり、ワイン造りが盛んなほか、ストラスブールのグラン・ディル地域はユネスコ世界遺産にも選定されている。

 フィッシャー氏はこのストラスブール以外にも魅力的な街がたくさんあると話し、コルマールやミュールーズを紹介した。「コルマールは生活の芸術の中心地と言われている都市で、ワインの都と言われているほか、アルザス地方の魅力を集約した観光地になっています。ミュルーズは芸術と歴史の街で、多くの美術館や博物館があります。とりわけ有名なのがミュルーズのフランス国立自動車博物館で、ここにあるブガッティコレクションは世界中の人たちに知られています」と話し、さらにフィッシャー氏は、アルザスにおける食の魅力やヴォージュ山脈沿いにあるアルザスワイン街道などについて語った。

アルザス地方の首府であるストラスブール。ストラスブール大聖堂があるほか、欧州議会をはじめとするEU関連機関も多く設置されている
アルザス地方の主要都市の一つであるコルマール。宮崎駿監督の「ハウルの動く城」のモデル都市となったことでも有名
ミュルーズにはブガッティコレクションで有名なフランス国立自動車博物館や、鉄道博物館であるシテ・デュ・トランがある
アルザス地方には、日本にも支店がある「auberge de l'ill」など、ミシュランの星を獲得したレストランが数多くある
ストラスブールやコルマールに宿泊した多くの観光客が足を向けるというアルザスワイン街道。ヴォージュ山脈の斜面沿いにぶどう畑が広がっている
ドイツ領であった時期も長いアルザスはビール造りも盛んで、フランス最大のビールの生産地となっている
サントル・ヴァル・ド・ロワール地方観光局 総裁 ピエール・アラン・ロワロン氏

 多くの王族が城を築いたことで有名なロワール地方について語ったのは、サントル・ヴァル・ド・ロワール地方観光局の総裁であるピエール・アラン・ロワロン氏だ。今回、ロワール地方にある4つの城の代表とともに来日したと語るロワロン氏は、アンボワーズ城やシャンボル城、クロ・リュセ城、ショーモン・シュール・ロワール城など、数多くの古城がロワール地方にあることを紹介し「それぞれの城に特徴や強みがあります。教養のある日本の皆さまに、ぜひフランスの城の魅力を知ってもらいたい」と語った。

 また、ロワール川の河岸に整備された自転車専用道路である「ラ・ロワール・ア・ヴェロ」に触れ、「多くの自然に触れられるロワール川の河岸を自転車で安全に楽しめます」と述べた。最後に「ロワール地方は文化的な体験ができますし、自然を楽しむこともできます。その昔、貴族が暮らしていたシャトーホテルに宿泊することも可能です。ぜひ、サントル・ド・ロワールにお越しください」とアピールした。

数多くの古城を抱える、サントル・ヴァル・ド・ロワール地方。Webサイトでは日本語での情報発信も行なっている
今回のツーリズムEXPOジャパンには、日本人観光客の誘致に向け、アンボワーズ城やショーモン・シュール・ロワール城など、4つの城が参加した
2000年にユネスコ世界遺産に登録されたロワール渓谷は野生の自然が数多く残っており、渡り鳥の重要な飛来地にもなっている
ロワール川沿いに整備されたサイクリングロードである「ラ・ロワール・ア・ヴェロ」により、ロワール渓谷の自然や川沿いの古城を自転車で楽しむこともできる
サントル・ヴァル・ド・ロワール地方は古城だけでなく庭園でも有名。2017年には庭園を中心とした大規模なイベントが開かれる予定だ
ロワール地方は白ワインの産地としても有名。パリで一番飲まれている白ワインはロワールのものだという
ミディ・ピレネー地方観光局 プロモーション・コミュニケーション ディレクター ジャック・ダウラス氏

 ミディ・ピレネー地方観光局のプロモーション・コミュニケーション ディレクターであるジャック・ダウラス氏は、ラングドック=ルシヨン=ミディ=ピレネー地域圏について説明した。まず「私たちの地方観光局では、日本を戦略的な市場と捉えており、インターネット上でキャンペーンを展開するなど、多くの投資を行なっています」と述べた。同地域圏には「バラ色の都市」と呼ばれる歴史ある街のトゥールーズや、同じく美しい町並みで人気の高いモンペリエといった都市が有名なほか、歴史的城塞都市であるカルカッソンヌや司教都市のアルビなど、数多くのユネスコ世界遺産もある。ダウラス氏はこうした観光資源をアピールするだけでなく「スペインとの国境にあるピレネー山脈を有効に使った、自然を活かした観光も開発していきたいと考えています。また私たちの地方には美しい村がいくつも存在し、これから観光地として前面に押し出していきたい」と語った。

ラングドック=ルシヨン=ミディ=ピレネー地域圏の主要都市であるトゥールーズとモンペリエ
ピレネー山脈のふもとにあるルルドは聖母マリアの出現で有名
ユネスコ世界遺産に登録されているガヴァルニー圏谷とアルビの司教都市
古代ローマ時代に架けられた水道橋のポン・デュ・ガールと、毎年200万人の観光客が訪れるカルカッソンヌ
フェスティバルや美術館が多いのもこの地方の特徴。マルシアックのジャズフェスティバルには、世界各国からジャズ好きが集う
日本旅行業協会の「ヨーロッパの美しい村30選」の一つに選ばれた「サン・シル・ラポピー」。中世の雰囲気を色濃く残す町並みが断崖絶壁の上に広がっている