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ヤマハ、ボートシェアリング「Sea-Style(シースタイル)」の体験クルージング開催
レインボーブリッジをくぐる快晴のベイクルーズ
(2016/4/19 12:08)
- 2016年4月14日~15日 開催
ヤマハ発動機は、4月14日と15日の2日間に渡り、都内のTHE CRUISE CLUB TOKYO(旧クリスタルヨットクラブ)において、報道陣向けにヤマハマリンクラブ「Sea-Style(シースタイル)」説明会および、クラブ艇の体験クルージングを開催した。報道陣向けの試乗説明会は毎年開催され、今年は約50媒体80名が参加。試乗艇は、5種類6艇が用意された。
シースタイルは2006年に発足した、ボートを所有していなくても気軽にマリンスポーツを楽しめるボートの会員制シェアリング(レンタル)サービス。海外を含む全国約140カ所のマリーナを利用でき、最寄りのマリーナや旅先でボートをレンタルできる。
シースタイルへの入会は、ボート免許(小型船舶免許)が必須だが、免許を持っていなくてもレンタルボートが楽しめる「シースタイルLight(ライト)」があり、全国約20カ所のマリーナで利用できる。利用する場合は、ボートレンタル料のほか、キャプテン(船長)派遣料が必要になる。
試乗説明会では主催者を代表し、ヤマハ発動機の執行役員で、マリン事業本部マーケティング統括部長の臼井博文氏が登壇。ヤマハ発動機のマリン事業について、「売上高3000億円、営業利益率20%から、さらに成長するビジネスモデルへ進化していく。世界の人たちに、より豊かなマリンライフを提供することで、さらに強固なグローバルナンバー1ブランドを目指していきたい」と挨拶した。
続いて、同社マリン事業本部東日本ソフト課の堀越宜秀氏が登壇し、試乗艇やコース、注意事項などを説明した。今回、試乗艇として用意されたのは、今年春から導入されたSR310のほか、S-QUALO(エスクアロ)、LUXAIR(ラクシア、2艇)、AR190、FR-23の5種類6艇。体験クルージングは2コースに分かれ、Aコースがレインボーブリッジ、晴海、勝どき、佃島を巡る約40分のコース。BコースはスポーツボートAR190のみとなり、THE CRUISE CLUB TOKYOから京浜運河を通り、羽田空港までを往復する約40分のコースとなる。
レインボーブリッジを目指す体験クルージング
いよいよクルージングとなり、参加者はライフジャケットを着用。デッキに移動し、それぞれボートに乗り込んだ。筆者が試乗するのは、SR310。船外機艇ながらトランサムステップがあるレイアウト、スクエアバウの採用による広いバウデッキ、ラウンジシートやサンベッドがあるゆとりのデッキスペースなどが特徴。
スポーツクルーザーとしての走りにもこだわり、大型4ストローク船外機F350AETXを搭載。5330cc V8エンジンで、257.4kW(350ps)の出力を誇る。チャインに下向きの角度をつけ、船側にブレード形状を持つ独自のA.R.B.(アンチ・ローリング・ブレード)は、停泊時の静止安定性だけでなく、波浪中の横安定性や、航走時の走行安定性も実現している。
試乗するSR310を操縦するのは、ニューポートマリンクラブのニューポート江戸川に所属する藤田亜耶キャプテン。筆者が乗船すると、藤田キャプテンは静かにエンジンをかけた。350PSのV8エンジンの船外機だが、その音はとても静か。あまりに静かなため、エンジンがかかっているにも関わらず、セルを回そうとしてしまうこともあるとか。
SR310は、THE CRUISE CLUB TOKYOがある天王洲アイルのシーフォートスクエアを離れ、京浜運河を5ノット(約10km/h)でゆっくりと南下。運河などで係留している船がある場所の近くを通る際は、波を立てないように最徐行するのがマナーだという。
品川埠頭と大井埠頭を結ぶ若潮橋(都道316号)をくぐり、左に品川火力発電所、右に大井火力発電所を見ながら、次第に視界が開けてきてスピードアップ。左にターンし、レインボーブリッジを目指す。速度はすでに20ノット。時速にすると40km/h弱だが、視点が水面に近いことと風の影響もあり、体感速度は倍以上だ。SR310は、条件がよければ40ノット(約74km/h)は出せるという。
レインボーブリッジを抜け隅田川に入り、浜離宮恩賜庭園の先、建設中の豊洲大橋手前で転回して帰路についた。風はまだ暖かくないものの、快晴ということもありとてもクルージングを楽しめた。普段の生活では見ることがない水面からの眺望は新鮮で、あっという間の40分だった。
マリンレジャーのハードルを下げる「シースタイル」
説明会では、マリン事業本部東日本ソフト課の太田幸名氏が登壇。シースタイルは、シェアリングサービスにマリンレジャーを足した「新しいマリンライフスタイルのカタチ」を提供するサービスとして2006年に発足。毎年会員数が増加し、2015年に会員数が1万8700名を超えた。利用回数は延べ2万回に達し、会員と同乗者を合わせて、年間で約5万5000人がボート遊びを楽しんでいるという。マリンレジャー、特にボートで遊ぶとなると費用がかかるという印象があるが、シースタイルの会員の約半数が会社員で構成され、40代~50代の経済的に安定した層が多いとのこと。
シースタイルは、「選べる遊び」「選べるボート」「選べるスポット」の3つの魅力があり、会員にさまざまなマリンライフの提案をしている。
「選べる遊び」とは、マリーナごとに楽しめる遊びを具体的に提案する「海遊びプラン」を、インターネットや会報誌を通じて会員に紹介していること。現在、全国で約300コースを展開し、釣りやクルージングなど、好みに合わせた遊びを選ぶことができる。また、その土地ならではの遊び方を、クルージングのスケジュールや詳細なども合わせて提案している。都内のお花見クルージングや、小樽のカレイ釣り(4月~6月上旬)、湘南は江ノ島鳥帽子・裕次郎灯台クルージングに人気があるという。季節ごとに異なる遊び方も提案され、福井県の三方五湖での秋の紅葉クルージングが人気だという。
「選べるボート」とは、クラブ艇21モデルのなかから、釣りやクルージングなど目的に合わせて選べるようになっていること。今回試乗したSR310は4月から導入され、シースタイルのラインアップのなかでは一番大きな船となっている。SR310は購入すると約2000万円だが、レンタルだと平日3時間で4万5000円からレンタルできる。購入や係留の費用、メンテナンスの維持費を考えると、かなりリーズナブルに楽しめる。それらのレンタルボートは、すべて3年で入れ替えているため、どこのマリーナであってもきれいなボートに乗れるのも特徴。GPSナビが付き、保険にも加入済み。ライフジャケットやマリングッズも揃っているため、手ぶらで気軽にマリーナへ行くことができる。
価格面のシミュレーションとして「東京リバークルーズ」を例とした場合、利用艇は定員6名の「AS21」。レインボーブリッジ、浜離宮恩賜庭園で水辺からの花見、勝どき橋、神田川では水面に反射した聖橋などを周遊するルートで、休日のボート利用料が1万2300円(3時間)、燃料代5000円で合計1万7300円。5名で利用した場合、1人あたり約3400円となる。今回試乗した印象では、3時間たっぷり楽しんでこの金額であれば、テーマパークなどのアクティビティと比較してもかなりリーズナブルな印象だ。
そういったお勧めコースを含め、ボートのレンタルが可能な「選べるスポット」は、東名阪を中心に国内に137カ所、海外2カ所(ハワイのオアフ島、タイのパタヤビーチ)。ボートを購入すると1つの海域を中心に遊ぶことになるが、シースタイルならこれらさまざまな場所を起点に遊ぶことができる。
マリンジェットのレンタル「シースタイル ジェット」
マリンジェット(ジェットスキー/水上オートバイ/水上バイク)を操船するのに必要な特殊小型免許の取得者数は、4年連続で増加しているそうで、2015年は1万8785人。免許新規取得者の世代構成は、10代~30代が2級船舶の約6割に対し、特殊小型では8割近くにもなるという。若い世代に身近な存在になってきていることから、同社ではマリンジェットのレンタルだけを楽しみたい人向けに「Sea-Style Jet(シースタイル ジェット)」を設立したという。現在、全国25カ所のマリーナで同社製のマリンジェットをレンタルできる。
シースタイル ジェットでは、「MJ-VX Deluxe」「MJ-VX Cruiser」「MJ-FX HO」の3種類のマリンジェットと、8人乗りスポーツボート「AR190」(1級または2級船舶免許が必要)をレンタルできる。レンタル代は平日3時間で1万1300円から。
説明会では、実際にボート遊びとシースタイルを楽しんでいる「みっちぃ」こと石崎理絵さんが登壇。石崎さんは、釣り番組のオーディションに合格したことがきっかけで釣りと出会った。ボートに乗る機会が増えたが、船長の船に“お邪魔している”という感覚がずっとあったという。ボート免許を取ることで、1から自分で釣ることができると思い、2010年に2級小型船舶操縦士免許を取得した。「夢は、日本全国で釣りをすること。現在は29都道府県を制覇。シースタイルは全国で約140カ所あるので、夢のサポートに利用していきたい」と語った。
ヤマハのボート免許教室
シースタイルに入会するには、ボート免許(小型船舶操縦士免許)が必要。免許取得は難しいイメージがあるが、実は簡単だと説明するマリン事業本部東日本ソフト課の北岸由衣氏。
ボート免許取得者数は増加傾向にあり、2015年度は5万5000人以上になる見込み。そのなかでも女性の比率が上がっており、現在は約1割が女性だという。自動車免許とボート免許との違いとして、取得できる年齢設定の違い、取得できるまでの金額や期間を対比し、自動車免許よりも取得しやすいとアピールした。
ヤマハボート免許教室では、「海の普通免許」と呼ばれる2級のボート免許を3日間で取得する通常コースの合格率は97%以上だという。さらに短期間で免許を取得できる「スマ免」というコースがあり、PCやタブレットを使い、eラーニングで学科を勉強する。オンライン講習を終え、実技講習に1日、国家試験に1日の2日間で取得するレギュラーコースと、実技講習半日、国家試験半日の1日で免許取得する1日コースがある。
また、すでに2級を取得している人向けに、1日半で1級にステップアップする「1級ステップアップコース」、1日半でマリンジェットが乗れるようになる「特殊小型学科セルフコース」などもある。
今回の試乗では、車やバイクとはまた違った魅力をボートに感じることができた。季節は、これからますます暖かくなっていく。本格的なマリンレジャーのシーズンに突入する前に、ボート免許取得やシースタイル入会を検討してみるのもいいだろう。