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“大鳴門橋 開通30周年”記念セレモニーに徳島県と兵庫県知事が出席
両県が協力して“鳴門のうず潮”を世界遺産に登録へ
(2015/6/8 16:51)
- 2015年6月6日実施
徳島県鳴門市と兵庫県南あわじ市を結ぶ吊り橋「大鳴門橋」が1985年6月8日の開通から30周年を迎えるのを記念して、徳島県知事の飯泉嘉門氏、兵庫県知事の井戸敏三氏らが出席する「記念セレモニー」が、鳴門公園内の千畳敷において6月6日に開催された。
記念セレモニーでは、徳島県の鳴門高校書道部生徒による書道パフォーマンスや兵庫県の柳学園ジャズバンド部生徒によるジャズ演奏が披露されたのち、両県の知事が挨拶の言葉を述べた。
飯泉知事は開通30周年を祝う祝辞を述べるとともに、2014年4月から導入された新通行料金について触れ「平成の大関所と揶揄されるその通行料金の高さに、兵庫県の井戸知事と全国共通料金にすることができないかと話し、なかなか個別では対応が難しいとのことで“関西広域連合”を2府5県で作り、その第一号議決事項が“本四高速の全国共通料金の導入”となった」と、これまでの取り組みについて話した。
飯泉知事は「昨年4月に全国共通料金が実現することとなり、これにより通行台数も変化を見せた」と、導入前の一日の平均通行台数が7853台であったものが平成26年度で2万3626台と導入前の3倍になったことを報告、「名実ともに本州と四国を結ぶ大動脈となった」と話した。
また、今後も30周年を記念したイベントして、徳島県と兵庫県が一緒になって取り組む、ブランド食材の試食やPRをする“食のブランド海峡ダービー”や両県のプロ・アマミュージシャンが共演・交流する“徳島ジャズフェスティバル”のほか、スポーツの分野では鳴門の景観を楽しみながら周遊する“うずしおライドFan”を開催することを紹介。
さらに、鳴門のうず潮を世界遺産にするため「“鳴門のうず潮”世界自然遺産登録推進協議会」を立ち上げたことを明かし、飯泉知事は「兵庫県では自然遺産の可能性を、徳島県としては文化遺産としての可能性を共に力を合わせて探るチャレンジをスタートさせ、鳴門のうず潮の世界遺産登録を目指す」と、意気込みを語った。
続けて登壇した井戸知事は「徳島県といろんなプロジェクトを共同で実施しているのも、この大鳴門橋ができたからだと思います」と挨拶。
淡路島と徳島県の歴史的なつながりについて飯泉知事から指摘されたことに、井戸知事は「明石海峡大橋より前に大鳴門橋が開通したのは、技術的な要件もあるかと思うが、きっと歴史的ないきさつ、徳島県と淡路島を早く開通させたほうがいいという地域の人の願いがそうさせた、私はそのように思っている」と感想を述べた。
また、淡路島で3月21日から5月31日まで開催された“花みどりフェア”について、井戸知事は「357万人が淡路島を訪れ、大鳴門橋を通って四国からも大勢の方が訪れました。大鳴門橋は1日2万台の通行量ですが、きっと、もっと増えてくれると思います」と、今後の発展に期待を寄せた。
さらに、井戸知事は「人間に例えると“三十にして立つ”時流の年となった」と孔子の言葉を持ち出し、「兵庫県と徳島県がともに自立の道をきっちりと協力しながら歩んでいく、その象徴が鳴門のうず潮を世界遺産に登録する取り組み」と語り、「鳴門のうず潮が世界遺産に指定されるように、力を尽くしていこうではありませんか」と、呼びかけた。
井戸知事は最後に「このような素晴らしい道を提供しているのは、本四高速道路であります、心から感謝すると共に“もう少し料金を負けていただけたらいいな”と、お願いをしてご挨拶とさせていただきます」と締めくくった。
本州四国連絡高速道路代表取締役社長の三原修二氏からは、建設にまつわる話がされた。三原社長は「大鳴門橋の建設にあたっては、鳴門のうず潮に影響を与えないことが一番の問題だった。主塔を支える基礎部分は18本のパイルを海底に打ち立てる多重基礎工法にチャレンジした。また、瀬戸内海国立公園に橋を立てるということで、橋そのものが周囲の景観にマッチしたデザインにしなければならなかった」と述べ、「工事環境も厳しく、パイルを打ち込むときや海底を掘削するときに出てくる汚濁水についても、鯛の漁場である鳴門の海を汚してはいけないということで処理方法を考え、これらの条件をクリアして大鳴門橋を作り上げることができた」と続けた。
さらに、三原社長は「30年を経過して、今では、本州と四国を結ぶ3つのルートが完成したが、神戸淡路鳴門道、瀬戸中央道、西瀬戸道における年間の通行台数のうち、ほぼ半分が大鳴門橋と明石海峡大橋で出入りをしていただいている」と紹介。
加えて、「大鳴門橋に関しては、阪神淡路大震災のときには、淡路島の救援に際して淡路島民を支える道となった。また、産業面においても安定してスピーディーに物や人の移動が可能となり、徳島県においてはLED関連企業が集積して、その出荷額が全国の6割を占めるようになり、産業や観光においても高速道路が役に立っていると思っている」と感想を述べた。
締めくくりに、三原社長は「当社としては、橋を利用していただける皆さんに安心安全快適な道路を提供していくとともに、簡単には橋の掛け替えができないので、200年近く長く持たせるため”信頼と挑戦”というスローガンを掲げて、維持管理に万全を尽くして瀬戸内地域の発展に貢献していきたい」と述べた。
その後のセレモニーでは、徳島、兵庫両知事と地元の園児による風船飛ばしや、観潮船上から鯛の放流が行われ、大鳴門橋開通30周年を祝った。