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中部国際空港、2016年3月期の決算を発表、6期連続の黒字

売上、経常利益、当期純利益は過去最高

2016年5月16日 発表

 中部国際空港(セントレア)は、東京都千代田区の東京事務所において同社代表取締役副社長 各務正人氏が登壇し、2016年3月期の決算を発表した。

決算発表を行なう中部国際空港株式会社 代表取締役副社長 各務正人氏

 空港事業においては、国際線は中国、台湾を中心に多くの新規の就航を実現、増便もあった。それに合わせてこの地域からの訪日外国人旅客の取り込みにつなげることができ、旅客数は約213万人と、国際線ネットワークが大幅に拡充とともに、需要の底上げを図ることができた。これにより、旅客数は前期比8.8%プラスで約489万人、発着回数は10.6%プラスで約3.7万回となった。

 国内線については、機材の小型化の影響を受け売上高としては前期を下回ったものの、旅客数は前期比2.3%プラスで約552万人、発着回数は3.3%プラスで約6万回となった。航空貨物は、前期末に北米向けの緊急輸送が大量に行なわれていた影響があり、国際貨物取り扱い量は前期比で伸び悩んだものの、地元農水産物の輸出拡大に取り組むなど、引き続き地域産業の輸送インフラとしての役目を果たしていると述べた。

 商業事業においては、店舗の増床や改装など店舗リニューアルに取り組んだこと、現場スタッフの継続的な販売努力などにより、免税店は訪日外国人旅客の需要をしっかりと取り込むことができ、過去最高となる大幅な売上更新となった。その結果空港事業売上が262.7億円なのに対し、商業事業は265.9億円となり、開港以来初めて商業事業が空港事業の売上を上回り、空港事業以外での収益強化を推し進めることができたと振り返った。

 これら航空ネットワークや需要の拡大に向けた取り組み、免税店を中心とした商業系収入の拡大化努力などの成果により売上は前期比112.1%で552.3億円、経常利益は158.3%で68.4億円、最終の当期純利益は164.2%で45.3億円と、過去最高を実現、6期連続の黒字となった。なお、前期比141%で79.9億円となった営業利益については、開港直後の2005年度に次ぐ実績としているが、当時は資産計上時期の問題で固定資産税などが部分的にしか計上されておらず、実質的には営業利益も過去最高を実現できたととらえているという。

 交通アクセス施設事業売上は主に空港駐車場にかかわるもので、前期は開港10周年の記念事業で大々的なイベントが多数あったための伸びがあり、その反動でのマイナスと考えているという。営業費用の増加は商業事業の好調に合わせた仕入れ費用の増加、経年劣化への対応、深夜早朝便への対応などによるものであり、必要な施策を行ないつつ、コストの抑制に取り組んだ結果ととらえていると述べた。

区分2016年3月期実績
(前期比)
2015年3月期実績
売上高全体552.3億円
(+59.5億円、112.1%)
492.8億円
―空港事業売上262.7億円
(+3.8億円、101.5%)
258.9億円
―商業事業売上265.9億円
(+55.9億円、126.6%)
210.0億円
―交通アクセス施設事業売上23.7億円
(-0.1億円、99.4%)
23.8億円
営業費用472.4億円
(+36.3億円、108.3%)
436.1億円
営業利益79.9億円
(+23.2億円、141.0%)
56.7億円
経常利益68.4億円
(+25.2億円、158.3%)
43.2億円
当期純利益45.3億円
(+17.7億円、164.2%)
27.6億円

 旅客数においては、国際線の日本人旅客数は伸び悩んだものの、航空ネットワークの拡充により、中国、台湾、香港などからの訪日需要を積極的に取り込んだ結果、前期比108.8%とすることができ、外国人旅客数については過去最高であった前期からでも144.6%と大幅な更新となっているとした。訪日需要については、全国的に活発に誘致活動が行なわれているなか、セントレアでもこれだけの実績をあげることができたのは、エアポートセールスと商誘導プロジェクト、供給側と需要側両面での取り組みを、地域と一体となって継続してきたからこそだと述べた。

 一方、国内線の旅客数では、機材の小型化によって供給座席数が前期を下回る状況においても、これに連動して需要が落ち込むことはなく、LCCの新規就航路線で着実に需要が拡大するなど、前期を上回った。以上によって旅客数は、国際線は前期比108.8%で489万人、国内線は102.3%で552万人、トータルでは105.3%で1042万人となった。

 発着回数は、国際線では地域と一体となった取り組みによって、中国、台湾を中心に多くの就航便を実現し、国際旅客数の週間便数は2007年夏ダイヤのピークである354便(成田経由の14便含む)を超えて、過去最高となる362便を記録。国内線では沖縄などでLCCを含めた便数が拡大、一時的に減便されていたスカイマークの復便と増便によって、旅客数同様便数も増加。以上によって便数は、国際線は前期比110.6%で3.7万回、国内線は103.3%で6万回、トータルでは106%で9.7万回となった。

 国際貨物取扱量は前期末にあった北米向けの緊急輸送の反動で前期比91.5%となったが、地域と一体となった活動によって、切り花や鮮魚など新しい地元農産物の輸出拡大が実現するなど、地域産業への貢献、あらたな需要の拡大に向けた取り組みの成果も出始めていると説明した。

区分2016年3月期実績
(前期比)
2015年3月期実績
航空旅客数1042万人
(105.3%)
990万人
―国際線旅客数489万人
(108.8%)
450万人
―国内線旅客数552万人
(102.3%)
539万人
航空機発着回数9.7万回
(106.0%)
9.2万回
―国際線発着回数3.7万回
(110.6%)
3.4万回
―国内線発着回数6.0万回
(103.3%)
5.8万回
国際貨物取扱量16.1万トン
(91.5%)
17.6万トン
決算発表を行なう中部国際空港株式会社 代表取締役社長 友添雅直氏(左)

 なお同日、愛知県の中部国際空港でも、同社代表取締役社長 友添雅直による会見が行なわれ、下記のような質疑応答が交わされた。

Q:エアアジア・ジャパンの就航が遅れているが?

友添氏:増加のポイントとなるエアアジア・ジャパンについては秋ごろの就航と聞いている。安全・安心を最優先にしておられるためで、長期的にはよい方向につながるだろう。

Q:ボーイングの100周年イベントが開かれるが、どのエリアからの集客を考えているのか?

友添氏:アメリカではすでに同様のイベントが開催されており、そのほかの国ではドバイになる。アジアではセントレアだけ。決算発表でも触れたように、台湾・中国・香港などアジアからの訪日外国人が増えており、アジアの方がいらっしゃるような機会を設けていきたい。

Q:サミットについて

友添氏:これまでは、名古屋や長野、飛騨高山などセントレアから北の方に注目が集まることが多かった。伊勢志摩サミットを機会にして、セントレアの南のほうに注目が集まることを活かしたい。(広域観光プロジェクトである)昇龍道プロジェクトを着実に実行していきたい。

セントレアに展示されている、広域観光プロジェクト「昇龍道」のプロモーションモニュメント
昇龍道を訴求するポスター

(編集部:稲葉隆司)