ニュース
セントレア、伊勢志摩サミットに向けて爆発物探知システムを5月25~28日公開
(2016/5/23 22:42)
- 2016年5月25日~28日 公開
セントレア(中部国際空港)はG7伊勢志摩サミットに向けて、5月25日~28日の期間、旅客ターミナルビル入館時の検査で、日立製作所、日本信号、山梨大学が共同開発したゲート型爆発物探知システムのデモンストレーションを行なう。それに先駆けて5月23日、報道陣向けにシステムが公開されたので、その様子をレポートする。
最初に、セントレア 空港運用本部 保安・防災グループのリーダーである高橋和裕氏が挨拶、「伊勢志摩サミット期間中の旅客ターミナルビル安全確保策として、文部科学省の『社会システム改革と研究開発の一体的推進』事業に含まれている『安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム』の一環として、日立製作所、日本信号、山梨大学が共同で開発したゲート型爆発物探知システムを、今回は空港関係者の検査のために導入する」とコメントした。
システムの概要について、日立製作所 基礎研究センタ チーフサイエンティストである坂入実氏は「爆発物を扱った場合には微量の成分が手などに残留するので、それを分析する。以前から微量の爆発物成分を人的作業で採取する技術を有していたが、今回はそれを自動化した。検査時間の長さが課題となっていた従来の金属探知検査やX線検査とは違い、ゲートを通過する乗客の流れを妨げることなく全乗客を対象とした全数検査も可能になる」と話した。
実際の動作は、ICカードや携帯端末の読み取り動作中に高速の気流を利用して付着微粒子を高速で採取、大量の空気とともに回収された微粒子を、サイクロン方式の遠心分離技術を使って不要な空気を外部へ逃がしつつ、短時間で濃縮して、高感度の質量分析が可能にしたという。「通常のゲートに比べると少々大きいが、小型で高感度の質量分析装置や爆発物に関わるデータベースまで内蔵している」とも坂入氏は語っていた。
検査イメージのデモンストレーションを見学したが、実際に3秒もかからず判定されているようで、実運用時も同様の速さで処理できるとのこと。将来的には駅やスタジアム、イベント会場などの人が集まる場所への入場セキュリティ機器に応用し、公共スペースの安全確保を目指しているということだ。