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首都高、1号羽田線「東品川桟橋・鮫洲埋立部」更新の迂回路を事前公開
9月14日1時に上りを迂回路へ切り替え
2017年9月7日 18:14
- 2017年9月6日 現場公開
- 2017年9月14日1時 切り替え予定
首都高(首都高速道路)は、高速道路リニューアルプロジェクト「大規模更新事業」の第1弾として工事に着手している高速1号羽田線「東品川桟橋・鮫洲埋立部」について、9月14日1時に上りを迂回路へ切り替えるのにあたり、報道向けに現場公開を行なった。
1号羽田線は1964年に開催された東京オリンピックに向けて、1963年12月21日に羽田空港と都心を結ぶ高速道路として開通。同じく羽田空港と都心を結ぶ公共交通機関として1964年に開通した東京モノレールと、京浜運河の上を並行して走る光景が印象的だ。
開通から50年以上が経過し、損傷や腐食が進んていることから、1号羽田線の南側は鮫洲運転免許試験場付近から、北側は天王洲アイル駅付近までの延長約1.9kmを丸ごと造りかえるため、2016年2月から工事を進めている。
高速1号羽田線「東品川桟橋・鮫洲埋立部」更新事業
開通:1963年12月
都市計画事業認可:2015年2月
上りの迂回路への切り替え:2017年9月14日1時(予備日は15~16日)
完成予定:2026年度
事業区間:東品川桟橋(東京都品川区東品川2丁目)~鮫洲埋立部(品川区東大井1丁目)
延長:約1.9km
車線数:4車線(幅員を17mから18.2mに拡幅)
道路区分:第2種第2級
Webサイト:首都高速道路の大規模更新・修繕事業(高速道路リニューアルプロジェクト)
更新区間の上下線を機能させたまま工事を続行するために、上りをバイパスするための迂回路がこのたび完成し、その切り替えが9月14日1時に行なわれる。このあとは現状の上りを造りかえ、完成したらそれを暫定の下りとして供用。そして現状の下りを造りかえるという流れだ。また、この更新事業のため大井JCT(ジャンクション)が2016年6月から通行止めとなっている。
着工まもない時期の様子は、本誌の「首都高、1号羽田線の東品川桟橋、鮫洲埋立部更新工事を公開」も参照していただきたい。
鮫洲運転免許試験場近くに本更新事業の現場詰所が設営されており、まず現場詰所内のセミナールームで、工事の概要について説明があった。
首都高 東京西局プロジェクト本部 本部長の山口修一氏は、開通から50年以上が経過した1号羽田線は、増加する交通量による損傷や京浜運河の水面が近いことによる腐食などにより、更新作業が必要になったと経緯を説明した。
そして「ご利用の皆さまには工事期間中通行止めなどご迷惑をおかけしますが、極力早く、安全第一に工事を進めてまいります」と述べて挨拶を終えた。
続いて首都高 東京西局プロジェクト本部 更新事業部長の伊原茂氏が、工事の概要を説明した。
首都高が予定している大規模更新は、1号羽田線の「東品川桟橋・鮫洲埋立部」と「高速大師橋」、3号渋谷線の「池尻・三軒茶屋出入口付近」、都心環状線の「竹橋・江戸橋JCT付近」と「銀座・京橋出入口付近」の計5カ所。そのうち「東品川桟橋・鮫洲埋立部」が1番最初に着工した更新事業となっている。
首都高が予定している大規模更新事業
1号羽田線「東品川桟橋・鮫洲埋立部」:延長約1.9km、1963年度開通、2014年度~2026年度更新
1号羽田線「高速大師橋」:延長約0.3km、1968年度開通、2015年度~2023年度更新
3号渋谷線「池尻・三軒茶屋出入口付近」:延長約1.5km、1971年度開通、2015年度~2027年度更新
都心環状線「竹橋・江戸橋JCT付近」:延長約2.9km、1964年度開通、2015年度~2028年度更新
都心環状線「銀座・京橋出入口付近」:延長約1.5km、1962年度開通、2015年度~2028年度更新
「東品川桟橋・鮫洲埋立部」の更新区間は、1号羽田線上りを羽田空港方面から北上すると、勝島を過ぎて鮫洲に差しかかるあたりから、JAL(日本航空)が本社を置く野村不動産天王洲ビルが見えてくる天王洲アイル駅付近までの延長約1.9kmとなる。
この区間は京浜運河の水面に非常に近いため維持管理作業が難しく、コンクリートの剥離や鉄筋の腐食などが深刻だという。そのため新しく造る道路は、高さを現状から2m~17mほど上げてメンテナンス性を向上、水による腐食を低減させる。
更新事業は大きく4段階で進められる。「STEP1」で迂回路が完成。9月14日に上りが迂回路に切り替えられる。
そして「STEP2」として現状の上りの更新が始まり、2020年春に完成。
「STEP3」では、2020年の「オリンピック・パラリンピックの時期まで」に大井JCTと上りの迂回路が接続され、新しい上りは「暫定下り線」として供用される。新しい下り線は2023年冬に完成する予定だ。
最後に「STEP4」として迂回路を撤去して、1号羽田線「東品川桟橋・鮫洲埋立部」の事業は2026年に終了する。
これまでの工事では、1号羽田線に接続していた大井JCTの一部撤去と迂回路の設置などが行なわれてきたが、特に目立つ箇所として、大井水管橋の架け替えがある。
2連のアーチ状の水管橋が京浜運河を横切っており、現状は1号羽田線もモノレールもその下をくぐる形だ。更新後はこの水管橋の上を道路が跨ぐ形にするため、2連のアーチの片方をフラットなものに架け替える工事が行なわれた。
これにより水管橋の高さが5m80cmほど抑えられ、建設される1号羽田線はその上を通ることができるようになる。
工事概要の説明が終わり現場へ。迂回路には鮫洲付近から入り、北に向かい全体の1/3程度の距離にある大井JCT付近までを徒歩で見学していく。その様子を写真とともに紹介していく。
1号羽田線を北上してきて勝島を過ぎ、鮫洲にさしかかるところで左にゆるくカーブするが、迂回路に入るためにそのカーブが少しだけ深くなる感じだ。そして序盤に右、左とゆるいカーブがあり、あとはほぼ直線となる。
八潮橋(国道357号)をくぐるとぐっと上り坂になり、右に工事中の大井JCTが見えてくる。その付近がこの迂回路の最高地点だ。2020年には大井JCTと再接続となる予定。
現場公開はここまで。遠くに大井水道橋が見える。迂回路はこのあと下り坂になって大井北埠頭橋(都道316号)と大井水管橋をくぐり、天王洲に向かって再び少し上り坂になって迂回路は終わる。
迂回路の最高地点はこの大井JCT付近だが、新しい1号羽田線の最高地点は大井水道橋を跨ぐ箇所になる。
大井JCTは2020年に再接続されるまでは通行止めとなっており、首都高はこの期間中、湾岸線から都心方向へは深川線(上り)、台場線(上り)などの利用を推奨している。
最後に、現場詰所の見学者向けスペースに首都高の歴史を振り返る展示があったので、少し紹介する。