ニュース

ANA、マインドフルネスで「乗ると元気になるヒコーキ」実現へ。鎌倉市の建長寺に体験ブース設置

マインドフルネスの国際カンファレンス「Zen 2.0」に出展

2017年9月2日~3日 開催

ANAがマインドフルネスの国際カンファレンス「Zen 2.0」に協力。マインドフルネスのための瞑想体験ができるブースを出展した

 ANA(全日本空輸)は9月2日、9月2日~3日に神奈川県鎌倉市の建長寺で開催されているマインドフルネスの国際カンファレンス「Zen 2.0」に協賛。建長寺内にブースを出展し、マインドフルネス体験ができるコーナーを設置した。

「マインドフルネス」という言葉を耳にする機会は多くなっており、さまざまな言葉で定義付けがされているが、Zen 2.0の関係者数名の話を聞いてみると、特定の事柄に意識を集中でき、かつ、その時間や空間のなかで集中している自分をも意識できている、といった状態で、スポーツ選手が集中した状態である「ゾーン」に近いそうだ。

 そのマインドフルネスの状態を持っていくためのトレーニングの一つとして「瞑想」があり、その瞑想状態へと入る一つの方法として「禅」がある。こうしたことから、今回、マインドフルネスの国際カンファレンスである「Zen 2.0」が、禅宗の臨済宗建長寺派の大本山である建長寺で開かれることになった。

神奈川県鎌倉市の臨済宗建長寺派の大本山「建長寺」

 このZen 2.0にトラベルパートナーとしてANAが協力した。マインドフルネスと飛行機での旅の関係には、ANAが取り組む「乗ると元気になるヒコーキ」というプロジェクトの存在がある。このプロジェクトは、飛行機での旅は本来「旅先で最大のパフォーマンスを発揮できなくてはならない」という考えのもと、飛行機に乗ったあとも乗る前と同じように疲れない、さらに乗る前よりも元気になってもらおうという目的のもと、さまざまなアイデアの実現に取り組んでいる。

 この乗ると元気になるヒコーキのプロジェクトは、休みたい人にはよりリラックスしてもらうことや、飛行機内で仕事をしなければならない人にはより活力を持ってもらうといった気持ちの部分によりフォーカスを当てているのが特徴的な取り組みとなっており、その一つの手法としてマインドフルネスを取り入れることが検討されているという。

 今回出展したブースでは、エコノミークラスのシートとともに、コミュニケーションロボットの「CRE-P(クリップ)」を設置。着席後にCA(客室乗務員)の案内でCRE-Pの誘導による瞑想を体験できるものとなっている。

 CRE-Pは大企業の若手有志団体のプラットフォーム「One JAPAN」が提案している「CREATIVE FLOW_ER」プロジェクトから生まれたもので、脳波を測定するヘッドバンドを取り付け、CRE-Pが話す内容に従って「呼吸」することに集中して瞑想するもの。

 最初に脳波の状態から、被験者の個性を5種類の花に分けられる。そしてCRE-Pの案内で瞑想を始めるが、途中、まわりの声や雑念が入りそうなタイミングで「体から雑念を吹き飛ばすように息を吐き出す」といったなどのアドバイスをしてくれる。そして、最後に花の咲き具合によってどの程度の瞑想に達したかであったり、その人の脳がどのような状態であったかが文字の強弱で表わされる。

 例えば、記者が体験したときは、「喜怒哀楽がはっきり出るタイプ」という百日草に分類され、瞑想の結果は8.5分咲き。「RELAXATION」「COZINESS」「EXCITEMENT」といった項目が強く出る結果となった。人によっては「SADNESS」といったネガティブな感情が出ることもあるそうで、それなりにリラックスして楽しめたという実感そのままの結果が出ている印象はあった。

建長寺内に設置されたANAブース
エコノミークラスのシートを設置
瞑想体験へ誘うコミュニケーションロボット「CRE-P(クリップ)」
脳波を測定するバンドや、測定データを取得するタブレットなど
「内なる旅をお楽しみください」というメッセージカードとともに瞑想体験が始まる
まずは画面上で本人を識別するための顔写真を撮影
脳波バンドを取り付けたのち、CRE-Pの誘導で瞑想へ
瞑想中
3分ほどの瞑想で目を開くと画面上に結果が表示されている
選択された花の意味が書かれたカードとともに説明
花は5種類。それぞれの意味は「CREATIVE FLOW_ER」のWebサイトにも書かれている
記者も体験してみた。花は8.5分咲き

 ちなみに取材中、臨済宗円覚寺派の浄智寺住職の朝比奈恵温氏が体験する場も見学できたのだが、花はさすがの満開。瞑想中に語りかけられるCRE-Pのアドバイスも「なるほどと思うところがあった」と、この瞑想体験が禅に通じる部分がある様子。

 本来、マインドフルネスのための瞑想にしても禅にしても、結果を求めるものではなく、CRE-Pのような結果が出るものに一喜一憂せず、実践を繰り返すことで、いつしかマインドフルネスを“体感”できるようになるという。しかしながら、こうした可視化できるツールも、瞑想を継続的に始めるきっかけになったり、続けることのモチベーションを高めたりすることにつながることが評価されていた。

 なお、ANAでは、CRE-Pはあくまで今回のブース出展に合わせてコラボレーションしたもので、マインドフルネスを「乗ると元気になるヒコーキ」の実践に向けてどのように導入するかなど、具体的なことはなにも決定していないとしている。現在はあくまで検証段階ではあるが、例えば飛行機に乗っている間に数分間の瞑想時間を持ってもらうことで、飛行機での旅に伴うストレスを軽減してもらうなどの取り組みが考えられている。

臨済宗円覚寺派 浄智寺の朝比奈恵温住職も体験
体験者には機内で提供しているチョコレートをプレゼント