荒木麻美のパリ生活

印象派の巨匠たちに愛され数々の名作を生み出した、セーヌ川に浮かぶ「印象派の島」

川を挟んで左側が印象派の島

「印象派の島」に行ってきました。パリ中心部から電車を使って30分くらい、パリの西部に位置するシャトゥーという町にあり、セーヌ川の中州にあります。

 ここは19世紀後半に鉄道が通ったことで、パリ市民の行楽地として栄えました。ルノワール、モネ、シスレーといった印象派の巨匠たちもこの周辺に集い、たくさんの作品を残しました。

 当時はセーヌ川でボート遊びをしてからレストラン「メゾン・フルネーズ」で食事というのがお決まり。ルノワールは人々の幸福感があふれる大作「舟遊びをする人々の昼食」をこのレストランで描きました。

 20世紀に入り、工業化に伴って印象派の島の人気は低下してレストランも閉業しました。しかしシャトゥー市が建物を買い取り、1990年にレストランが再オープン、その2年後には博物館もオープンしました。現在、レストランは運営委託された民間の会社が営業をしていますが、お手頃な価格で気取らないフレンチを出すレストランです。

メゾン・フルネーズ
テラスでセーヌ川を眺めながら、のんびりとランチを楽しみました

 レストラン隣にある博物館は、2019年にルノワールの没後100年を記念してリニューアル。30分ごとに出発する体験型となっており、俳優演じるルノワールの映像が、自身の生涯や芸術観について語るのを見ながら各部屋を進んでいきます。最後はレストラン最後の女主人だったアルフォンシーヌ・フルネーズが、ルノワールとの思い出や、メゾン・フルネーズの全盛期から終焉までの様子を語ってくれます。

フルネーズ博物館

 大きな博物館ではないのですがとてもよくできていて、私の参加した回では私を入れて2人だけだったため、ゆっくりと当時のことを想像しながら見学を楽しみました。

まずはVRヘッドセットで19世後半の島の様子を体験
ルノワールの案内で各部屋を見て行きます
私のあとに来たグループ。少人数で見学をしたいときは、電話で確認をするとよいかも
これが「舟遊びをする人々の昼食」。オリジナルはワシントンD.C.にある美術館所蔵
メゾン・フルネーズ最後の女主人アルフォンシーヌ・フルネーズと、ルノワールが描いた彼女の肖像。肖像はパリのオルセー美術館所蔵

 博物館をあとに、セーヌ川に沿って南下、静かな小道を散歩していると、対岸にすてきな家も見えました。3kmほど歩いてブージバルという町まで行きましたが、モネが「ブージバルの橋」を描いたのはここだよというパネルがありました。

ブージバルに続く道
モネが「ブージバルの橋」を描いたところ

 印象派の作品はパリ市内にある美術館でたくさん見られますが、それとはまた違う体験をできるので、パリに来ることがあればぜひ印象派の島にも足を伸ばしてみてください。

印象派の作品で私の心に一番残っているのは、パリのオランジュリー美術館にあるモネの巨大な「睡蓮」。楕円形の静かな展示室に一人になったことがあり、圧倒されました
荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/