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ANA、マイルで出資できるクラウドファンディング「WonderFLY」1周年記念イベント実施
目標額を達成した製品をANAショッピング A-Styleで販売する新たな取り組みも発表
2017年11月4日 08:15
- 2017年11月3日 実施
ANA(全日本空輸)は11月3日、ちょうど1年前の2016年11月3日にローンチイベントを実施したクラウドファンディング「WonderFLY」が1周年を迎えた記念イベントをスルガ銀行 ANA支店 Financial Centerにおいて実施。現在出資を募集しているアイデアのプロトタイプ製品の展示などが行なわれた。
ANAが独自に展開しているクラウドファンディングプラットフォームである「WonderFLY」は、提示されたテーマに沿ってアイデアを募集する「クリエイティブアワード」が行なわれ、そこでアワードを受賞したアイデアに対してプロトタイプ製作資金をANAが提供。その後、クラウドファンディングよる資金調達が行なわれる。クレジットカードのほか、ANAマイレージクラブのマイルを使った支援が可能なのも特徴となる。
WonderFLYではこれまでに、第4弾まで実施されている。第1弾は「旅の常識を覆すモノ」でクラウドファンディングも終了。クリエイティブアワードを受賞した12件中、4件が目標額を達成し、現在商品化に向けて製品化が進められている段階に入っている。
イベントで挨拶したANAホールディングス デジタル・デザイン・ラボ チーフ・ディレクターの津田佳明氏は、「第1弾は500を超えるアイデアから、(クリエイティブアワード)のプライズ12件のうち、4件が目標額を達成した。アイデアは多数集まったが、もっとサクセス(目標額達成)してほしかった。第2~4弾ではファンディングをもっと集めることを強化して展開している」と説明。
このクラウドファンディングで中心的な出資者となる、アクティブ会員が約1000万人と見られているANAマイレージクラブの会員が好むものとして、第2弾で日本酒、第4弾で温泉を取り上げ、さらに第3弾では朝日新聞社とのタイアップという新たな取り組みも行なっている。
具体的には、第2弾は日本酒が暮らしに定着するアイデアを募る「家で、外で、日本酒をもっと。」で、すでにプロトタイプの製作が完了し、11月2日からクラウドファンディングよる出資募集を開始した。
第3弾は、家だけでなく旅先などでの安心を得られる新しい防災グッズのアイデアを募る「あなたの日常に防災をプラスする。」で、すでにクリエイティブアワードの受賞者は決定。現在プロトタイプの製作が進められおり、今回のイベントでもその一部が披露された。支援募集は12月中旬ごろにスタートする予定となっている。
第4弾は、温泉をもっと楽しめるモノ・コトのアイデアを募る「『温泉』の新しい楽しみ方。」で、クリエイティブアワードのファイナリスト12件が決定。現在、ファイナリストから受賞者を決める投票が行なわれている。受賞者発表は11月24日、支援募集は2018年1月下旬ごろにスタートする予定となっている。
このほかに、「アスリート応援プロジェクト!」「海・空・大地に挑む人々の翼になる!」「日本の祭り・行事をもっと元気に!」といったテーマでプロジェクトの募集も行なわれ、現在一部のプロジェクトが支援者を募っている。
さらに津田氏は、「次は、チャレンジャーが実際に市場に商品を展開するところを強化したい」と話し、目標額を達成して市場に展開する商品をANAショッピング A-Styleで取り扱うことを発表。「アイデア出しのサポートから、最後に商品を市場に提供していくところまで、元々目指していた“一気通貫のクラウドファンディング”が完成する」と説明した。
このA-Styleを運営する全日空商事 デジタルマーケティングカンパニー WEBセールス事業部 マーケティングチーム マネージャーの吉井敦司氏は「WonderFLYとANAショッピング A-Styleを連携して、提供価値を上げていく。目標額に達成した商品を、販売するチャネルとしてA-Styleを使っていただきたい。積極的にお手伝いできればと思っている」と取り組みの意義を話した。
今回の1周年記念イベントは、第1弾の製品展示会も行なわれたスルガ銀行 ANA支店 Financial Centerで実施。スルガ銀行 ANA支店の鈴木謙吾氏も来場し、2016年10月にオープンした同センターについて、フェイス・トゥ・フェイスで接する場を設けることでネット支店だけでは難しい顧客ニーズに沿ったサービスの提供をしていくのが意義であることを説明。
加えて、「ここでは金融のサービス提供もやっているが、もう少し旅に関することを発想いただけるようなイベントなどを実施している」と紹介。“観光でも出張でもない、新しい旅するカタチ”をテーマで新しい体験価値や資産価値を探すきっかけになるプログラム「Travel Investment College」を立ち上げた。
この第1弾として「ニッポン二拠点生活」というコースを設定。複数拠点の居住地を行き来するライフスタイルに焦点を当てたもので、実際に東京と北海道の帯広、神奈川と能登、東京と静岡県の下田を行き来して生活する3名を招いて講習を開いたという。
イベントには、これまでに目標額を集めて商品化が決まっている4製品のほか、支援者を募集中のプロトタイプ製品、クリエイティブアワードを受賞して製作中のプロトタイプを展示。アイデアを出しているチャレンジャー同士のコミュニケーション、一般来場者への説明などで賑わった。
クリエイティブアワードを受賞した製作途中のプロトタイプ
レスキューランジェリー
災害時に課題となる下着の問題を解決するアイデア。少量で済む洗剤と下着、洗濯から周囲を覆って干すことまでできる多機能なバッグのセット。女性用はすでに商品化されており、今回は男性用のボクサーパンツをセットにした商品の検討が進められている。
大切な人を思い出す、贈りたくなる防災
ペンケースやメガネケースのように、普段使うものをベースにデザインしているが、内側にソーラーパネルを搭載しており、いざという際にスマホなどの充電が可能という防災グッズのアイデア。持ち運んだり、人に贈りたくなったりするようデザインもポイント。
赤ちゃんとパパママのための防災マザーズバッグ
普段はマザーズバッグとして使えるデザインながら、非常時には防災バッグとして使える、赤ちゃん用の防災バッグ。広げるとベビーベッドとしても使えるのが特徴で、非常時はもちろん、旅行先などで赤ちゃんを休ませるのにも便利。今後のプロトタイプでは、防水性を持たせることや、水に浮く構造とすることなどを検討する。赤ちゃん用の非常品としておむつなどのベビー用品とセットでの商品化を予定しているという。
クラウドファンディングで支援者募集中のプロトタイプ
第1回日本酒リレーマラソン in KAWASAKI
ワインを飲みながらマラソンをするフランスのメドックマラソンに感銘を受け、給水所で日本酒を飲みながら楽しむマラソンを実施しようというアイデア。将来的には酒蔵のさまざまな地域で開催し、地域活性化などにつながる大会になることを目指している。すでに“プロトタイプ”として有志が集まっての試行も実施。スポンサーや日本酒、おつまみの募集のほか、第1回大会への出場権をリターンとして支援も募っている。
PHOENIX Limited Edition
日本酒をテーマにしたアイデア募集のクリエイティブアワードを受賞した、唯一の酒造会社である楯の川酒造。そのアイデアは、日本酒人気が高まっているフランスのロックバンド「PHOENIX」とコラボレーションした未発売の日本酒。PHOENIXのメンバーにも試飲してしてもらったという純米大吟醸を、オリジナルのラベルはもちろん、オリジナルの手染め手ぬぐいで包んで提供する。
木の香りを楽しむ新しい酒器「木香るボトル」
日本酒をワインのようにおしゃれに、そして樽酒のような木の香りも体験できることを狙ったアイデア。ボトルと、スギとヒノキでできた木栓のセットのほか、グラスと圧縮ヒノキで作られたマドラーのセットを提案。グラスは底に丸みがあり、揺らすことで香りをより楽しめる工夫も。
味憶
お酒の記憶を盃に映し出し、そのお酒に込められた想いや歴史とともにお酒を楽しむというアイデア。盃をスクリーンとしたプロジェクションマッピングだが、盃を持ったり、動かしたりなどのアクションを検知して映像を変えることなどもできる。この味憶の出張イベントなどをリターンに支援を募っている。
GEKO MO JOGO MO
お酒を飲まない人のための酒器という発想で作られたという「GEKO MO JOGO MO」。両端の底の深さを変えており、下戸の人と上戸の人とが同じ器で一緒に飲めるのが特徴のタンブラーで、熱伝導率が高く、液体の雑味をとれるというスズでできているのもポイント。同じスズで作られたデカンタとのセットも。
ジャパンブルーと、先ずは一献
徳島の阿波藍を塗装した天然木の酒器。いわゆる藍染めのように染料に木材を浸しても藍の青さが出ず、緑色が混じったようになってしまうそうで、阿波藍を木材に塗装するには特殊な技術を必要とするそうだ。日本のお酒を、日本の優れた素材と技術が詰まった酒器で楽しめる。
SAKÉTUDE
フランスのワイングラスブランド「Lehmann Glass(レーマングラス)」が提供する日本主要のグラス。フランスでの日本酒人気の高まりを日本へ逆輸入するという発想がきっかけになったという。上部はくびれを付けることでグラスのなかの香りがより強まるような形状となっているほか、底を盛り上げることで注ぐときに空気に多く触れ、香りがより強くなるようにしている。グラスのみのリターンのほか、富久千代酒造の協力で、グラスと「鍋島」のセットも用意している。
We LOVE 日本酒!
女性が家の外でもお酒を楽しめるように、というコンセプトで作られたグッズ。おしゃれなデザインで、女性が抵抗なく日本酒を飲めるようにしたボトルとグラス、そして持ち運び用ケースのセットで、取っ手のサイズも女性の利用を想定したものにしている。グラスには量を把握しやすいよう目盛りを付けている。
心が疲れた大人に向けてのアート絵本
アートを介護や医療に適用できるか、心の病などを救う「ヒーリングアート」が成立するかを検証しようというアイデアで、そのようなヒーリングアートを自費出版するための出資を募っている。実際の絵本では色の効果にフォーカスしたものにする予定という。
日本の最高傑作 地下足袋と革小物
履きだおれの街とも呼ばれる兵庫県・神戸発のアイデアで、なめしの段階で撥水成分を練り込んだ仔牛のレザーと播州織の消臭生地、兵庫県産のコハゼ(金具)を用い、兵庫県の職人技という、「オール兵庫」で作られる地下足袋。ほかに小銭入れや名刺入れをリターンとした支援も募っている。