ニュース

HomeAwayとせとうちDMO、古民家などを活用した宿泊施設の展開で業務提携

第1弾として愛媛県・内子町の古民家を簡易宿所として提供開始

2017年4月19日 発表

写真左から、HomeAway株式会社 営業本部長 榎田豪氏、同 日本支社長 木村奈津子氏、株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション 代表取締役社長 水上圭氏、同 マーケティングスペシャリスト 木村洋氏

 バケーションレンタル会社のHomeAway(ホームアウェイ)と、広域連携DMO「せとうちDMO」の事業支援を担う瀬戸内ブランドコーポレーションは4月19日、「HomeAwayとせとうちDMOの業務提携発表会」を開き、バケーションレンタル業界初となる広域連携DMOとバケーションレンタル会社との業務提携を発表した。

 HomeAwayは米国・テキサス州に本社を置くバケーションレンタル会社で、一棟貸しに特化した宿泊施設オンライン予約サービスを行なうエクスペディアグループの一員。

 せとうちDMOは瀬戸内地域の観光プロモーションなどを行なうせとうち観光推進機構と、瀬戸内観光事業者への事業支援を行なう瀬戸内ブランドコーポレーションの連携により、観光地域づくりを行なう事業推進主体だ。

 せとうち観光推進機構は瀬戸内7県(広島県、岡山県、兵庫県、山口県、香川県、愛媛県、徳島県)と旅行関連企業等の事業会社13社が参画している一般社団法人。瀬戸内ブランドコーポレーションは主に瀬戸内7県の地銀など金融機関19社と事業会社27社が出資した株式会社だ。

HomeAway株式会社 日本支社長 木村奈津子氏
株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション 代表取締役社長 水上圭氏

 発表会冒頭、HomeAway日本支社長の木村奈津子氏は1950年代にはすでにスタートし、現在の市場規模がグローバルで11兆円あるバケーションレンタルの事業が日本ではまだ認知されていない現状と、米国ではすでに宿泊市場の17%のシェアを持ち、そのうち40%がオンライン経由での利用という状況に触れ、すでに閣議決定された新たな観光立国推進基本計画(2017年3月28日発表)と併せ、日本での市場拡大が期待できると説明した。

バケーションレンタル市場におけるHomeAwayのポジショニング
政府が閣議決定した新たな観光立国基本計画

 また訪日外国人のリピート比率が60%と高い、日本のインバウンド需要を踏まえ、東京、大阪、京都といった大都市でホテルを利用してきた層が次に、自然を見たい、歴史を感じたい、もっと珍しいものを食べてみたい、などのニーズを地方に求めると予想したという。

 その点において瀬戸内地域は自然、文化、食が豊かで観光地としての魅力に富み、また全国平均170%程度のインバウンド成長率に対し、この地域の成長率は240%(2010年~2016年の成長率)と高い事を挙げ、世界で月4000万人のアクセスを持つHomeAwayとしては、物件が増えれば増えるほどすぐに予約につながる土壌がこの地域にはあると判断したことも、今回の提携の理由の一つとした。

株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション マーケティングスペシャリスト 木村洋氏

 一方せとうちDMO側は、瀬戸内ブランドコーポレーションのマーケティングスペシャリスト 木村洋氏が、瀬戸内エリアの社会課題としての地域人口減少と空き家率増加の現状に触れ、30万軒にも上る江戸~昭和期の近代建築が空き家となり、今後10年~30年ですべて消失する危機的状況だと現状を説明。また、それらは行政施策(重要伝統的建造物・伝統的建造物施策、市町村の歴史的建築物指定など)では賄いきれないとの見解を示した。

 その打開策として高いインバウンド成長率を持つこの地域において、外国人旅行者にとっての古民家宿泊施設はポテンシャルが高いと判断し「せとうち古街(こまち)計画」と名付けられた古民家や古い町並みを観光資源化するためのエリアリノベーションの計画を練ってきたという。そんなDMO側にとっては利用者のニーズを知るHomeAwayのマーケティングデータを利用し、インバウンドに最適化された宿をつくること、同社にプロモーションを委ねることが最適との判断で、今回の提携に至ったという。

契約内容
  • 瀬戸内ブランドコーポレーションが開発支援をする一棟貸し宿泊施設の外資オンライン旅行会社としてHomeAwayを戦略パートナーとし、関与する施設において外資オンライン旅行会社カテゴリに関する専属契約を推奨する。
  • 瀬戸内ブランドコーポレーションが100%所有する施設においてはHomeAwayを外資オンライン旅行会社カテゴリに関する専属契約とする。
  • 瀬戸内ブランドコーポレーションが開発支援をする一棟貸し宿泊施設に対し、施設内でのHomeAwayブランドを推奨する。
  • HomeAwayが自社マーケティング資産を積極的に活用し、瀬戸内ブランドコーポレーションが開発する一棟貸し宿泊施設およびその周辺地域に関するインバウンドプロモーションを実施する。

 せとうちDMOは瀬戸内地域において2021年までの5年間で100棟の歴史的建造物を活用した宿泊・商業施設の開発を目指しており、その第1弾として業務提携発表会当日の4月19日から、愛媛県喜多郡内子町の古民家を活用した宿泊施設「町家別荘こころ」と「ホテルこころ・くら」の予約をHomeAwayで開始した。なお、これらの施設は旅館業法上の「簡易宿所」として運営される。これらの施設はHomeAwayの日本語サイトでも掲載され、日本人も利用は可能だ。

宿泊施設に提供するHameAwayブランドグッズ