ニュース
バケーションレンタル業界最大手のHomeAwayと、古民家再生事業を展開するNOTEグループがパートナーシップを締結
2016年9月1日 17:39
- 2016年9月1日 発表
9月1日、バケーションレンタル業界最大手のHomeAway(本社:米国テキサス州)と地方における古民家を再生活用した宿泊施設を展開するNOTEグループ(本社:兵庫県篠山市、以下NOTE)がパートナーシップを結び、地方創生の取り組みや国家戦略特区を活用した地域活性化事業の参画することを発表した。
今回は両社のパートナーシップ締結に先立ち、9月1日よりサイト上でも取り扱われる兵庫県篠山市、集落丸山の古民家が報道陣に公開されたのでその模様を写真で紹介する。NOTEが行なった篠山市での古民家再生は国家戦略特区の活用により実現した全国初のケースだ。
HomeAwayは“THE WHOLE HOUSE. THE WHOLE FAMILY. A WHOLE VACATION(一軒まるごと貸し切り。家族や仲間と、最高の休日を。)”とのコンセプトを掲げ一軒家や別荘の一棟貸しにこだわり、物件管理者と滞在希望者を結ぶバケーションレンタル事業を世界各国で展開してきた企業。現在は「Expedia」のグループの一員として培ってきた独自のノウハウで、世界最大規模のオンライン旅行予約サービスの一角を担っている。
一方のNOTEは日本各地の農村に残る地域独自のコミュニティに豊かな社会づくりの源泉があると考え、古民家再生や空き家活用を中心とし2009年設立以来約8年間で60棟以上の古民家などの歴史的な建造物の再生を行ない、それらを宿泊施設などへ改装、運用してきた一般社団法人ノオト、株式会社NOTEからなるグループ。
旅館として使われてきた建築物ではなく、空き家化していた民家や酒蔵などを宿泊施設として再生してきたNOTEの事業コンセプト、そしてHomeAwayが求める一棟の空間をまるごと貸し旅行者に豊かな時間を提供するというこだわり、その2つの想いが合致し、今回のパートナーシップの締結に至ったと、HomeAway日本支社長 梅澤亮氏、NOTE代表取締役 藤原岳史氏は口を揃える。
日本古来の伝統的な生活を垣間見ることのできる古民家での宿泊は、日本を訪れる外国人旅行者にとって、それ自体が魅力的な体験であろう。また、提供する側にとっても少子高齢化に伴う過疎化が進む農村部において、住人にとってのありきたりの日常が旅行者にとっては魅力的なものであると知ることは、雇用の増大だけではない効果も期待できるという。
現在国内に点在する歴史的建造物は約149万棟。うち国宝や重要文化財、登録有形文化財など国や行政の保護を受け保存されているものはわずか1万5000棟。147万棟以上の歴史的建造物は活用に困っている状態だという。NOTEによるとそのなかの20%が修復・再生が可能な物件であり、さらにそのうちの10%は短期間で民間資本で収益化が可能だという。そこに世界中にネットワークを展開するHomeAwayがその魅力を発信し、利用者を集うというのが今回の締結の基本的な骨格だ。
もちろん従来から日本語サイトも用意されているので、日本人にとっても魅力的な旅の選択肢が増えることになる。また、国家戦略特別区域法で従来から古民家再生、宿泊施設への転用における高いハードルとなっていた旅館業法や建築基準法における規制緩和や適用除外が認められたことは、今後も両社の目指す地域活性化事業の後押しとなるであろう。
【お詫びと訂正】初出時、梅澤亮氏の名前の表記に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
約260年の歴史をもつ集落丸山は過疎と高齢化が進み12戸のうち7戸が空き家になっていたが、2007年から古民家改修が行なわれ、宿泊施設などに利用されるようになったとのこと。財務など利用者から見えないところはNOTEが担当するものの、運営の主体は集落の人々というスタイルは、集落住民の意識も変えつつあるという。
一棟貸しのスタイルは貸主が旅行者の過ごす時間に立ち入らないものの、到着時のウェルカムドリンクのサービスや、朝食時にはまかないとしてサービスを行なう。これはNOTEが掲げる「単なる宿泊ではなく、古い民家や街の暮らしの体験ができる事業」との理念とも合致する。そのふれあいは宿泊者にとっても集落の住民にとっても意義のあることであろう。
集落丸山以外で篠山市内で展開するNOTEの取り組みも合わせて報道陣に紹介された。