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佐賀県と西鉄、地方創生からインバウンドまで幅広い分野で協力する包括的連携協定を締結
2016年10月20日 16:36
- 2016年10月19日 発表
佐賀県は10月19日、地方創生や県民サービスの充実、観光資源などの魅力を対外的に発信していくことを目的とし、西鉄(西日本鉄道)との包括的な連携を図っていくことを発表した。鉄道やバスなどの交通事業だけでなく、不動産やレジャー施設、ICカードも扱う事業分野の幅広さから「総合生活産業」を謳う“にしてつ”が、佐賀県のポテンシャルを底上げしていく。同日、佐賀県知事の山口祥義(よしのり)氏と、西鉄代表取締役の倉富純男氏が出席した締結式が行なわれた。
今回の包括的連携あたり、発表された連携事項としては、
1. 地域経済の活性化に関する事項
2. 農業の活性化に関する事項
3. 観光振興、国際交流に関する事項
4. 子育て支援及び青少年の育成に関する事項
5. 高齢者・障害者の生活、社会活動の支援に関する事項
6. 公共交通の利用促進に関する事項
7. ICカードの活用に関する事項
8. その他、両者が必要と認める事項
と、多岐に渡る。しかし具体的に連携が動き出しているわけではなく、これから双方の各部署が新たなサービスを打ち出していく段階となる。
協定書への署名のあとは、それぞれがスピーチした。
佐賀県知事 山口祥義氏のスピーチ
「個人的には歴史的な日だと思っております。子供のときから西鉄さんには特別な思いがありました。子供の頃は野球に夢中で、新聞の西鉄ライオンズの記事は隅から隅まで読んでいたほどです。そんな頃から、佐賀県を西鉄が走っていればなあ、と思うときもありましたし、西鉄という会社は新しい時代を切り開いていくような存在だったわけです。
佐賀県は、今盛り上がりを見せている福岡経済圏と一緒に頑張っていきたいと思っております。ちょうど東京都と神奈川県のような感じといいますか。そのような一体的な発展をしていけるのではないか、と思っております。
佐賀県内に西鉄さんの鉄道は走っておりませんが、そのほか、物流や不動産、スーパーマーケットなど幅広いビジネスで成功を収めておられる企業であります。こうした総合的な事業展開からも、佐賀県をもっとプロデュースしていただけることと期待しています。いささか気持ちが先行しておりますが、幅広い協定を結べるということで、とてもうれしく思います。
実際の成果が出るのはこれからでございます。一つずつ確実に実行していきたいと強く思っております。また、この日があったからこそ、という日が将来必ずくるという確信があります」。
さらに、自身の着任当時から西鉄本社に出向いて、提携打診を行なっていたというエピソードも明かされた。
西日本鉄道株式会社 代表取締役 倉富純男氏のスピーチ
「県知事から、温かいお話をいただきまして、私どもも気持ちよく頑張ろう! となりました。社内でも“今日が出発だ!”と檄を飛ばしてきたところでございます。
佐賀県は、福岡と一体となって地域全体を盛り上げていける場所です。我々の企業理念を、“地域とともに歩み、地域とともに発展する”と掲げておりますが、福岡県に留まらず、北部九州である佐賀、大分、熊本と一緒になって発展していくということです。そのなかで佐賀県は欠かせない場所です。
西鉄は、佐賀県内においては鉄道を走らせておりませんが、交通以外の分野も展開する総合生活産業でもありますので、グループとしてまだまだできることがあると思っておりますので、佐賀県の皆さま、よろしくお願いいたします」。
豊富な観光資源のアピールや県民のサービス充実も図る
現状で、この連携協定が行使されてはいないが、まず市内を走るバスに西鉄が提供しているICカード決済システム「nimoca(ニモカ)」の導入が検討されており、段階的に県内全域にも広げていきたいとのことだった。
最後に、県知事から「県自体の魅力は高いものがありながら、県ごとの魅力度調査ではいつも45~47位と最下位の方でしたが、ようやく30位台まで上がってきました。また、佐賀は経済圏の中心でもある福岡への通勤圏内として、不動産の観点からも価値がもっとあるのではないか、と思っています。そのあたりも幅広い事業展開をされている西鉄さんの力を借りてアピールしていきたい」と語った。
佐賀県が誇る有田焼・伊万里焼などの焼物、農産物、温泉、そして不動産開発といった、幅広い分野での連携が期待される。ちなみにこの協定は3年間の期間とし、延長される可能性もあるとのことだ。