ニュース
佐賀県への「移住」をテーマにしたイベント、クラウドワークスらが共同で開催
観光客誘致のアイデアコンテストは、武雄市図書館でサバゲーする「リアル図書館戦争」などが受賞
(2015/11/24 19:09)
- 2015年11月22日 開催
クラウドワークス、スペースマーケット、サーチフィールド、エイチ・アイ・エスの4社と、佐賀県および佐賀県武雄市、鹿島市、嬉野市の4自治体は11月22日、「知ろう、行こう、住もう、佐賀フェスタ in 東京」を東京都内で開催した。
佐賀西部地域への移住をテーマにした催しで、移住につきまとう「仕事をどうするか」といった課題や、移住に対する心構え、佐賀県の「よいところ」について、クラウドワークス担当者や自治体代表らがパネルディスカッションを行なうとともに、会場内では移住相談を随時受け付けていた。
また、事前に一般募集し、ノミネートされた佐賀県の観光スポットにおける「イベントアイデア」の審査および人気投票の結果発表も行なわれ、グランプリには武雄市図書館を舞台にサバイバルゲームを行なう「リアル図書館戦争」など4アイデアが選ばれた。受賞したアイデアは実現へ向け、地域支援に特化したクラウドファンディングサイト「FAAVO」を通じ資金集めをスタートする。
移住の課題解決、自治体が全面的に支援
同フェスタは、武雄市からクラウドワークスに協力を呼びかけたことがきっかけで始まった、移住者を増やすのを目的に、佐賀という地域を広く一般に知ってもらう取り組みの一環として開催されたもの。2015年に就職支援サイトが行なったネットアンケートで、「一生行くことはなさそうな都道府県」の第1位に佐賀県が選ばれたことからも象徴されるように、「佐賀の魅力を知らない」「佐賀へ行く機会がない」という「接点のなさ」を課題と捉え、移住の前段階として「知ってもらう」ためのイベントとして開かれた。
イベントは、東京駅にほど近い「移住・交流情報ガーデン」が会場。佐賀の名産品の即売、鹿島市の酒蔵で製造している日本酒の試飲販売、佐賀への移住を検討している人を対象にした移住・就職相談会、就労・起業支援などを案内していたほか、佐賀に関する仕事、場所、観光資源をテーマにしたトークセッションも同時並行で行なわれた。
「クラウドワーキングで好きな場所に住む」という最初のトークセッションでは、クラウドワークス執行役員の田中氏、佐賀県 統括本部の大草氏、武雄市 総務部の森氏の3人が、移住の際に多くの人にとって最も大きな課題となる「働き口」について意見を交わした。
大草氏は、2015年7月に佐賀への就職・移住について相談できる専用窓口「さが移住サポートデスク」を開設したこと、20~30代の若い層からの相談が多いこと、首都圏からの実際の移住も割合としては少なくないことなどを報告。一方、森氏は、実際にあった例として、60代の夫婦から「カフェをやりたい」という相談や、30代のデザイナーの妻を持つ夫から新たに林業と養蜂を始めたいという相談を受けたことも明かした。
それを受け、都会からの移住後はそれまでの仕事とは異なる業種にチャレンジすることが多くなるのではないか、という問いかけに対しては、「地元でしかできない仕事については、地元の方々(と移住希望の人と)をどうやって繋ぐかが我々の仕事」であると森氏は語り、移住希望者がコミュニティに溶け込み、受け入れてもらえるよう、地元の人との調整を重ねる活動をしているとした。
移住後の収入についても気になるところ。大草氏によれば「東京と比べると収入が減るのは仕方ないが、生活にかかるコストも減る」ことから大きな問題ではないという見方を示し、安定的に仕事が得られるか不安な場合は、「さが移住サポートデスク」を利用して仕事を見つけ、それに加えてクラウドワークスでそれまでの経験を活かした仕事を受けることができれば安心ではないか、と述べた。
田中氏からは、クラウドワークスについての紹介もあった。クラウドワークスは、サイトに登録しているフリーランスを中心としたユーザーが、それぞれのスキルを活かして企業などから発注される仕事の依頼を受けることができる、クラウドソーシングサービスの運営元。同プラットフォームを利用することで、住む場所や働く時間にとらわれることなく、ネットを通じてお金を稼ぐことができる仕組みとして、現在76万人ものユーザーが登録している。
田中氏によれば、ユーザー層は男女半々で、97%が個人名義もしくはフリーランス、20~35歳のユーザーが全体のおよそ半数を占めている。クラウドワークス登録ユーザーの74%ほどが東京以外在住であり、依頼された仕事のうち東京以外のユーザーが受注したものも8割程度と、地方のユーザーが活躍するプラットフォームとなっている。働き盛りの人の場合、移住したくても「仕事が見つかるかどうか」が大きな壁となって立ちはだかるが、その1つの解決策としてクラウドワークスの利用を挙げた。
観光スポットで行なうイベントアイデア、図書館でサバゲーやドローンレースなどが受賞
同フェスタの最後には、事前に一般の人たちから募集した佐賀西部地域の観光スポットを舞台に行なうユニークなイベントのアイデアについて、優秀作品を発表する表彰式も執り行なわれた。
あらかじめ候補として挙げられた観光スポットは8カ所。武雄市の武雄市図書館、武雄温泉通、御船山楽園 竹林亭、御船山楽園に加え、酒蔵で有名な鹿島市の浜宿 東蔵、浜宿 漬物蔵たぞう、そして嬉野市にある志田焼の里博物館と、忍者村肥前夢街道。
この8カ所の候補地を舞台にしたイベントのアイデア応募数は計177個。うち10個の案が最終選考へと進み、インターネット上の投票と同フェスタの会場に設けられた当日投票分とを合わせ、3自治体とクラウドワークスがそれぞれ審査したうえで、3つの自治体が選ぶ賞とクラウドワークスが選ぶグランプリの4つの賞を授与した。
見事グランプリに輝いたのは、武雄市図書館を舞台にサバイバルゲームを行なう「リアル図書館戦争」。創作物を武力でもって取り締まる政府側と、それに抵抗する図書館の抗争を描いた有川浩原作の小説「図書館戦争」に着想を受け、人気が高まっているサバイバルゲームを実際の図書館を舞台に繰り広げるというアイデアで、今回のコンテストの舞台候補となった場所をはじめ、ユニークなイベントスペースの提供を行っているスペースマーケットの担当者は「静かにしなければいけない図書館に、にぎやかなサバゲーをもってくる、話題性、意外性が(投票で)人気になったのではないか。ユニークな空間を使って、ユニークなコンテンツで、ユニークな体験ができる、面白い企画」だとコメントした。
武雄市賞は、武雄温泉通と御船山を舞台にした「ドローンレースGP」。風光明媚で変化の多い地形を活かしたコースをドローンが駆け抜ける空中レースで、佐賀の自然の素晴らしさも同時にアピールできるとしたアイデア。森氏によれば、「御船山の所有者が自らドローンをやる人で、最も実現性の高いアイデア」であることが受賞の理由だとした。
鹿島市賞は、浜宿 東蔵で実施する「歴史ある酒蔵と技術の融合、プロジェクションマッピング」。酒蔵の内部でプラネタリウムのように幻想的な映像を四方の壁に投影するというアイデアで、鹿島市役所 総務部の中村氏は、「ジャズ、クラシックなどのコンサートを酒蔵の中でやっているが、そういったイベントの合間にちょっとしたスパイスとして加えれば、楽しく息抜きできる。子供などにターゲットを絞って実施することも考えられる」と話した。
嬉野市賞は、忍者村肥前夢街道での「Road to Ninja in SAGA!!」。海外でも人気の忍者をモチーフにした漫画「NARUTO」のコスプレをしながら、忍者の訓練を受けられるという主に外国人観光客向けのイベントアイデア。嬉野市 総務企画部の小野原氏は、「NARUTOは外国人観光客に大変人気なので、実現できたら本当に楽しいイベントになるんじゃないか」と述べ、実現に期待感を示した。
なお、以上4つのイベントアイデアは今後実現に向け、サーチフィールドが運営する地域支援にフォーカスしたクラウドファンディングサイト「FAAVO」で資金募集が行なわれる予定。佐賀における地域振興のイベントに開催前から関わることができる、またとないチャンスとなる。