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JAL、銀座の老舗レストランの味をホノルル線で楽しめる機内食「資生堂パーラー for Resort」試食会

コンセプトは「西洋モダン機内食」

2016年8月18日 発表

 JAL(日本航空)は8月18日、9月1日から2017年8月31日までの1年にわたり、日本発~ホノルル線のプレミアムエコノミークラスならびにエコノミークラスの機内食として、銀座の老舗レストラン「資生堂パーラー」とコラボレーションした「資生堂パーラー for Resort」を提供することを発表した。成田、関空、セントレア(中部国際空港)を出発するホノルル便の1回目の食事として提供される。羽田(東京国際空港)~ホノルル線については、朝食メニューとなるため対象外となる。

 JALでは「JAL KITCHEN GALLERY」として、これまでも「吉野家」「Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)」「モスバーガー」「大勝軒」などとコラボレーションしたほか、羽田~ホノルル便でも2015年12月からオアフ島のカフェ「カフェ・カイラ」とコラボした「カフェ・カイラ for Resort『パンケーキサンド』」を提供してきた。

 今回提携する資生堂パーラーは、1902年に日本初のソーダ水とアイスクリームの製造販売を行なう「ソーダファウンテン」を資生堂誕生の地である銀座にオープンし、2016年で創業114年を迎えるほか、1928年には西洋料理店を銀座に開業。こちらも、2016年で88周年の老舗レストランとなる。

これまでのコラボメニューの一部
日本航空株式会社 代表取締役社長 植木義晴氏

 発表会ではJAL代表取締役社長 植木義晴氏が、「ホノルル線はお子さまからご年配まで幅広い年代が利用される路線なので、長年のファンを持つ資生堂パーラーのメニューをぜひとも提供したいという思いから、JALからメニュー監修を依頼した」と明かし、「2012年12月に国内線ファーストクラス機内食導入5周年記念のメニューで一度監修をしてもらっており、一つ一つの食材、メニューにこだわりをもって、本物を追求していることを知っていたので、多くの食数を提供する今回の提案を受けてもらえるか心配だった。こうして発表できて安堵するとともに、うれしく思う」とコラボレーションの実現を喜んだ。

 また、「個人的な話」と前置きしたうえで、「子供の頃、50年ほど前だが、京都から東京に父に連れられて1年に1度程度来て、必ず銀座の資生堂パーラーさんにお邪魔した。父の大好物がポタージュスープとハヤシライスで、必ず同じメニューを頼んで、『ここのポタージュとハヤシライスが世界で一番美味しいんだ』と言っていた父の姿を思い出す。その意味では私も半世紀のお付き合いになる」と、植木氏とお父さんである俳優の片岡千恵蔵さんとのエピソードを交えて、資生堂パーラーとの関わりを披露した。

株式会社資生堂パーラー 代表取締役社長 鈴木真氏
看板商品のチーズケーキ。機内食ではオリジナルのパイナップルフレーバーにアレンジして提供

 資生堂パーラー 代表取締役社長の鈴木真氏は、JALとのコラボについて「伝統と革新、おもてなしの心、日本の心といった姿勢は、業界こそ違うが資生堂パーラーと目指すところをともにし、仕事以上に深いつながりを感じている。また、魅力的な機内食メニューを提供し、食の時間に心を尽くして提供するJALの思いのもと、再びご一緒できることをうれしく思っている」とコメント。

 とはいえ、「機内食には数々の制限がある。地上と違って、上空では気圧の関係で味覚の感じ方が違う。繊細なことを踏まえて仕事をしなければならない。資生堂パーラーのよさ、本質を伝える難しさは前回の国内線ファーストクラスのときに痛感した。今回納得いくものができなければ断わろうと覚悟を決めて、半年間、JALや実際に製造する皆さんと試行錯誤を重ねてきた。そして、いかに美味しく、本来のレストランの味に近付けるか。素材一つ一つの大きさ、味付け、盛り付けなどの深いところにもこだわり、なによりお客さまに『エコノミークラスでも機内食ってこんなに美味しいんだ』と喜んでいただけるような美味しい料理を提供したい、とJALと一丸になって取り組んだ」と苦労を語り、今回披露できたことに喜びを表わした。

 資生堂パーラーとしては、店舗が首都圏に限られるなど多くの顧客を迎えることが難しい面があり、「お客さまからは遠くてなかなか銀座まで行けないとか、名前はよく聞くけど行ったことがないなどと耳にする。今回、幅広い世代のたくさんの方々が利用するJALのホノルル便で、縁遠かった方に資生堂パーラーを知っていただくよい機会。機内食を体験いただくことで、さらなる旅のわくわく感とともに、資生堂パーラーを知っていただき、感じていただくまたとない機会とチャレンジすることにした」と、コラボに踏み切った理由を説明。

 そして、1年間続くコラボメニューの提供について、「9月からの1年間を4期に分けてメニューを提供する。今年で創業114年、来年は115年。いいご縁(115)をJALから頂戴したという思いで機内食開発に取り組んできた。これからも一緒に取り組んでいきたいと思っている。これからもさらなる美味しさを極めて、一人でも多くのお客さまに笑顔になっていただき、美しくなっていただけるように、取り組んでいく。第2弾、第3弾、第4弾もご期待いただければ」とアピールした。

左から、株式会社資生堂パーラー 銀座本店 調理長 井上直久氏、株式会社資生堂パーラー 代表取締役社長 鈴木真氏、日本航空株式会社 代表取締役社長 植木義晴氏
日本航空株式会社 商品・サービス企画本部 開発部 客室サービスグループ 綱島寛哲氏

 今回提供を開始する資生堂パーラー監修メニュー「資生堂パーラー for Resort」について紹介したJAL 商品・サービス企画本部 開発部 客室サービスグループの綱島寛哲氏は「ホノルル便はJALでも特別。3世代家族や、ホノルルに行く高揚感で機内が楽しい雰囲気にあふれている便。そんな特別な便で、ぜひとも長年にわたって多くのファンをもっている資生堂パーラーの食事を提供して、皆さんに楽しんでいただきたいという思いで開発を進めた」と開発の経緯と思いを説明。

 コンセプトに「西洋モダン機内食」と掲げ、同店の代表メニューを機内食に仕上げたもの。9月から3カ月間提供されるものは「秋メニュー」の位置付け。

「資生堂パーラー for Resort」の紹介スライド

 メインは資生堂パーラーの代表メニュー「ビーフシチュー」にターメリックライスを添えた、「ビーフシチュー 資生堂パーラースタイル ターメリックライスを添えて」。手間暇をかけたデミグラスソースの味わいへのこだわりを表現するために「資生堂パーラー」の文字をメニュー名に盛り込んだ。

 ちなみに、資生堂パーラー 銀座本店 調理長の井上直久氏によれば、ビーフシチューの肉を煮込む段階では脂が付いたまま煮込むが、その後、すべての脂を取って提供することで、さっぱりとしたビーフになるのが同店のビーフシチューの特徴で、もちろんそれも再現している。実際に調理する機内食会社とレシピのやりとりを何度も繰り返して、機内食に合う味わいにアレンジしたそうだ。

 このほか、サイドディッシュに「ベーコンキッシュ&ポテトサラダ」。デザートに「スペシャルフレーバー“パイナップル”のチーズケーキ」を提供。特に後者のチーズケーキは、資生堂パーラーの看板商品である「チーズケーキ」を、JALの機内食のためにパイナップルフレーバーにアレンジしたもの。リゾート感を味わえるとともに、ビーフシチューの濃厚な味わいのあとに、パイナップルの酸味が絶妙な組み合わせだ。

 冬メニュー以降については、やはり資生堂パーラー創業時から続くチキンライスで作られた「オムライス」を使ったメインディッシュや、「ベーコンキッシュ&ポティロンサラダ」などが予定されている。

機内で開かれた試食会
「資生堂パーラー for Resort」。9月から提供の秋メニュー
「ビーフシチュー 資生堂パーラースタイル ターメリックライスを添えて」
「ベーコンキッシュ&ポテトサラダ」
「スペシャルフレーバー“パイナップル”のチーズケーキ」
「スペシャルフレーバー“パイナップル”のチーズケーキ」